目次[閉じる]
- 1記事の内容を、実際の手続きにつなげる
- 2自衛消防組織とは|法律上の「自衛消防組織」は大規模建築物だけの制度
- 3【判定基準】自衛消防組織の設置義務がある建物(消防法施行令第4条の2の4)
- 4よくある誤解|中小規模のビル・飲食店は対象外です
- 5自衛消防組織の編成と要員の基準(令第4条の2の8・規則第4条の2の11)
- 6消防計画への記載と消防署への届出(令第4条の2の6・法第8条の2の5第2項)
- 7東京都の上乗せ規制|自衛消防活動中核要員(東京都火災予防条例第55条の5)
- 8防災管理者・統括防火管理者との関係を整理する
- 9自衛消防訓練は年何回必要か(消防法施行規則第3条第10項・第11項)
- 10ケース別|自衛消防組織の要否判定
- 11よくある質問(FAQ)
- 12まとめ|「階数×延べ面積」で判定し、法令と条例を分けて考える
- 13参照条文・出典
- 14自衛消防組織の要否判定から届出まで、まとめてご相談ください
自衛消防組織の設置義務があるのは、消防法施行令第4条の2の4に定める大規模・高層の防火対象物です。具体的には、①地階を除く階数11以上で延べ面積1万㎡以上、②同5〜10階で延べ面積2万㎡以上、③同4階以下で延べ面積5万㎡以上のいずれかに該当する建物と、④延べ面積1,000㎡以上の地下街です(根拠条文は消防法第8条の2の5第1項)。
つまり、延べ面積1,000㎡程度の飲食店ビルや、5,000㎡程度の事務所ビルは、自衛消防組織の設置義務の対象ではありません。ここは「防火管理者の選任義務(延べ面積・収容人員で判定)」や「東京都火災予防条例の自衛消防活動中核要員」と混同されやすく、実務でも誤解が非常に多い部分です。
この記事では、東京都内でビル・商業施設・大規模事務所を管理される方がご自身で判定できるよう、設置義務の判定基準、要員の編成ルール、消防署への届出、そして東京都独自の上乗せ規制までを、条文番号を示しながら整理します。
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自衛消防組織とは|法律上の「自衛消防組織」は大規模建築物だけの制度
自衛消防組織とは、火災が発生したときに、消防隊が到着するまでの初期消火・通報・避難誘導・救出救護を担うために、あらかじめ建物内に編成しておく組織をいいます。根拠は消防法第8条の2の5で、平成19年(2007年)の消防法改正により創設され、平成21年(2009年)6月1日から施行されました。
ここで注意したいのが、日常的に使われる「自衛消防隊」という言葉との違いです。消防計画に基づいて任意に編成する自衛消防隊は、規模を問わずどの建物にも置くことができます。これに対して法律上の「自衛消防組織」は、多数の者が出入りする大規模・高層の建物に限って設置が義務づけられた法定の組織で、統括管理者の資格要件や消防署への届出義務まで法令で定められている点が決定的に異なります。
| 項目 | 自衛消防組織(法定) | 自衛消防隊(任意) |
|---|---|---|
| 根拠 | 消防法第8条の2の5、令第4条の2の4〜第4条の2の8 | 消防計画(法第8条、令第3条の2)に基づく任意編成 |
| 対象 | 大規模・高層の防火対象物および地下街 | すべての防火対象物(規模不問) |
| 資格要件 | 統括管理者は自衛消防業務講習の修了者等 | 法令上の資格要件なし |
| 届出 | 設置時・変更時に消防長または消防署長へ届出 | 消防計画の届出に含めて記載 |
【判定基準】自衛消防組織の設置義務がある建物(消防法施行令第4条の2の4)
消防法第8条の2の5第1項は「政令で定めるもの」に設置義務を課しており、その政令が消防法施行令第4条の2の4です。判定は、①用途、②地階を除く階数、③延べ面積の3つの組合せで行います。
① 単一用途の防火対象物|階数と延べ面積の組合せで判定
まず、対象となる用途は消防法施行令別表第一の次の項です。
(一)項〜(四)項、(五)項イ、(六)項〜(十二)項、(十三)項イ、(十五)項、(十七)項
= 劇場・映画館、キャバレー・遊技場、飲食店、物品販売店舗、旅館・ホテル、病院・福祉施設、学校、図書館、公衆浴場、車両の停車場、神社・寺院、工場、スタジオ、駐車場、事務所、文化財 など
この用途に該当したうえで、次のいずれかを満たす場合に設置義務が生じます。
| 区分 | 地階を除く階数 | 延べ面積 |
|---|---|---|
| イ | 11階以上 | 10,000㎡以上 |
| ロ | 5階以上10階以下 | 20,000㎡以上 |
| ハ | 4階以下 | 50,000㎡以上 |
階数が低くなるほど必要な延べ面積が大きくなる、という構造です。「高さ31mを超えるかどうか」は高層建築物としての統括防火管理や防炎規制の判定基準であって、自衛消防組織の判定には高さの基準は使いません。
② 複合用途防火対象物(令別表第一(十六)項)|対象用途部分の床面積で判定
テナントビルのように複数の用途が混在する(十六)項の建物は、①の対象用途に供される部分が存在することを前提に、建物全体の階数と、その用途部分がどの階にあるかで基準が変わります。
| 建物の階数(地階を除く) | 対象用途部分の位置 | 床面積の合計 |
|---|---|---|
| 11階以上 | 11階以上の階に存する場合 | 10,000㎡以上 |
| すべて10階以下(5〜10階)に存する場合 | 20,000㎡以上 | |
| すべて4階以下に存する場合 | 50,000㎡以上 | |
| 5階以上10階以下 | 5階以上の階に存する場合 | 20,000㎡以上 |
| すべて4階以下に存する場合 | 50,000㎡以上 | |
| 4階以下 | — | 50,000㎡以上 |
③ 地下街(令別表第一(十六の二)項)|延べ面積1,000㎡以上
地下街は、延べ面積1,000㎡以上で設置義務の対象となります。階数の基準はありません。ただし「地下街なら面積を問わず義務」ではなく、1,000㎡という下限がある点に注意してください。なお、ここでいう地下街は建築基準法上の地下街を指し、単に地階のあるビルは含まれません。
(五)項ロ(共同住宅・寄宿舎)、(十三)項ロ(航空機の格納庫)、(十四)項(倉庫)、(十六の三)項(準地下街)は、令第4条の2の4の対象用途に含まれていません。倉庫は延べ面積がどれだけ大きくても自衛消防組織の設置義務はありません。「大規模=すべて対象」と考えると判定を誤ります。
よくある誤解|中小規模のビル・飲食店は対象外です
実務のご相談で最も多い誤りが、防火管理者の選任基準や東京都独自の規制と混同して、中小規模の建物にも自衛消防組織の設置義務があると考えてしまうケースです。次の4点を押さえておけば、誤判定はほぼ防げます。
| よくある誤解 | 正しい理解 |
|---|---|
| 特定用途で延べ面積1,000㎡以上なら義務がある | 1,000㎡は地下街の基準。一般の建物は最低でも1万㎡以上(かつ11階以上)が必要 |
| 非特定用途は5,000㎡以上で義務がある | 5,000㎡では対象外。事務所ビルなら階数に応じ1万〜5万㎡以上 |
| 高さ31mを超えれば用途を問わず義務がある | 高さは判定要素ではない。階数と延べ面積で判定する |
| 根拠条文は消防法第36条である | 第36条は防災管理制度の条文。自衛消防組織の直接の根拠は第8条の2の5 |
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自衛消防組織の編成と要員の基準(令第4条の2の8・規則第4条の2の11)
統括管理者を1名置く|自衛消防業務講習の修了者等に限られる
自衛消防組織には、組織全体を統括する統括管理者を置かなければなりません(令第4条の2の8第1項・第2項)。そして統括管理者に就けるのは、次のいずれかに該当する者に限られます(同条第3項)。
- 都道府県知事、消防長または総務大臣の登録を受けた法人が行う自衛消防組織の業務に関する講習(自衛消防業務講習)の課程を修了した者
- 上記に準ずる者で、統括管理者として必要な学識経験を有すると認められる者(消防職員・消防団員として管理監督的な職にあった者など)
この講習は防火管理講習とは別の講習です。防火管理者の資格を持っていても、それだけでは統括管理者になれない点に注意してください。実務上は、統括管理者に加えて本部隊の各班長にも自衛消防業務講習の修了を求める運用がとられています。
4つの業務にそれぞれ「おおむね2人以上」の要員を置く
消防法施行規則第4条の2の11は、次の4つの業務について、それぞれおおむね2人以上の自衛消防要員を置くことを求めています。
| 業務 | 主な任務 | 要員数 |
|---|---|---|
| 火災の初期の段階における消火活動 | 消火器・屋内消火栓等による初期消火 | おおむね2人以上 |
| 情報の収集・伝達および設備の監視 | 119番通報、館内放送、防災センターでの設備監視 | おおむね2人以上 |
| 在館者が避難する際の誘導 | 避難経路の確保、避難誘導、逃げ遅れの確認 | おおむね2人以上 |
| 在館者の救出および救護 | 負傷者の救出、応急手当、救急隊への引継ぎ | おおむね2人以上 |
本部隊と地区隊|大規模建築物では2階層で編成する
実務では、統括管理者の直近下位の内部組織として本部隊を編成し、フロアや区画ごとの初動を担う地区隊を必要に応じて置く2階層構成が標準です。本部隊には上記4業務に対応する班(消火班・通報連絡班・避難誘導班・応急救護班)を設け、各班に班長を置きます。
また、1つの防火対象物に管理権原者が複数いる場合(テナントビルなど)は、それぞれが個別に組織を置くのではなく、権原者が共同して1つの自衛消防組織を置くこととされています(令第4条の2の5第2項)。ビル全体で1組織、という考え方です。
消防計画への記載と消防署への届出(令第4条の2の6・法第8条の2の5第2項)
自衛消防組織は、編成しただけでは足りません。次の2つの手続がセットで必要です。
| 手続 | 内容 | 根拠条文 |
|---|---|---|
| 消防計画への記載 | 管理権原者は、選任した防火管理者に、防火管理に係る消防計画のなかで自衛消防組織の業務に関する事項を定めさせなければならない | 令第4条の2の6 |
| 消防署への届出 | 自衛消防組織を置いたときは、遅滞なく要員の現況等を所轄消防長または消防署長に届け出る。変更したときも同様 | 法第8条の2の5第2項 |
届出は「自衛消防組織設置(変更)届出書」により行います。人事異動で統括管理者や班長が交代した場合も変更届の対象になるため、年度替わりのタイミングで見直す運用にしておくと漏れがありません。
消防長または消防署長は、自衛消防組織が置かれていないと認めるときは、管理権原者に対して設置を命ずることができます(法第8条の2の5第3項)。この命令に従わない場合は罰則の対象となるほか、東京消防庁の違反対象物の公表制度では「自衛消防組織未設置」「自衛消防組織未届」「自衛消防組織変更未届」が公表対象の違反として掲げられています。
東京都の上乗せ規制|自衛消防活動中核要員(東京都火災予防条例第55条の5)
自衛消防活動中核要員とは
東京都火災予防条例第55条の5は、一定規模以上の防火対象物の管理権原者に対し、自衛消防技術認定証を有する者のうちから、自衛消防活動の中核となる要員を置くことを義務づけています。認定証は東京消防庁が実施する自衛消防技術試験に合格すると交付されるもので、消防法上の自衛消防業務講習とは別の制度です。
配置義務の対象となる規模(主なもの)
| 用途(令別表第一) | 規模の目安 |
|---|---|
| (一)項 劇場・映画館・集会場 | 延べ面積10,000㎡以上、または収容人員2,000人以上 |
| (二)項・(三)項 キャバレー・遊技場・飲食店等 | 延べ面積3,000㎡以上、かつ収容人員300人以上 |
| (四)項 物品販売店舗・百貨店 | 延べ面積5,000㎡以上 |
| (五)項イ 旅館・ホテル | 延べ面積3,000㎡以上 |
| (六)項イ 病院 | 延べ面積10,000㎡以上、かつ収容人員500人以上 |
| (十二)項 工場・作業場 | 延べ面積5,000㎡以上 |
| (十五)項 事務所 | 延べ面積30,000㎡以上 |
| (十六の二)項 地下街 | 床面積3,000㎡以上 |
人数は原則5人以上で、延べ面積が大きくなるほど加算されます(火災予防条例施行規則第11条の5・第11条の6)。本部と各担当区域にそれぞれ5人以上を配置する必要があるため、ワンフロア単位ではなく建物全体の配置計画として設計するのが実務のポイントです。正確な必要人数は用途ごとの基準面積により変わるため、所轄消防署または東京消防庁の算定表で確認してください。
防災センターに関する規制(東京都火災予防条例第55条の2の2)
一定規模以上の防火対象物では、消防用設備等の総合操作盤および制御装置等を防災センターにおいて集中して管理することが求められます。防災センターの要員にも自衛消防技術認定証が要求されるため、中核要員と併せて有資格者の確保計画を立てておく必要があります。
防災管理者・統括防火管理者との関係を整理する
防災管理制度(消防法第36条)とは対象範囲が一致する
消防法第36条は、地震などの火災以外の災害に備える防災管理制度の条文です。そして消防法施行令第46条は、防災管理を要する建築物その他の工作物を「第4条の2の4の防火対象物」と定めています。つまり、自衛消防組織の設置義務がある建物は、同時に防災管理者の選任義務も生じるという関係です。
そのため、対象建物では実務上、次の3点が同時に必要になります。
- 自衛消防組織の設置と届出(法第8条の2の5)
- 防災管理者の選任と届出(法第36条第1項において準用する法第8条第1項・第2項)
- 防災管理に係る消防計画の作成・届出
統括防火管理者が必要になるのは「管理権原が分かれている」場合
テナントビルだからといって、常に統括防火管理者が必要になるわけではありません。統括防火管理者の選任義務(消防法第8条の2)は、管理について権原が分かれている防火対象物のうち、次のいずれかに該当するものに生じます。
| 対象 | 要件 |
|---|---|
| 高層建築物 | 高さ31mを超える建築物(用途不問) |
| 特定防火対象物(避難困難施設を含むもの) | 地階を除く階数3以上、かつ収容人員10人以上 |
| その他の特定防火対象物 | 地階を除く階数3以上、かつ収容人員30人以上 |
| 非特定用途の複合用途防火対象物((十六)項ロ) | 地階を除く階数5以上、かつ収容人員50人以上 |
| 地下街 | 消防長または消防署長が指定するもの |
| 準地下街 | 該当するもの |
自衛消防組織の設置義務がある大規模建築物は、ほぼ確実にこの統括防火管理の要件も満たします。自衛消防組織・防災管理者・統括防火管理者・統括防災管理者は同時並行で検討すると理解しておくとよいでしょう。
自衛消防訓練は年何回必要か(消防法施行規則第3条第10項・第11項)
訓練の回数は「年1回以上」ではありません。防火対象物の区分によって次のように定められています。
| 区分 | 消火訓練・避難訓練 | 事前通報 |
|---|---|---|
| 特定防火対象物 (令別表第一(一)〜(四)項、(五)項イ、(六)項、(九)項イ、(十六)項イ、(十六の二)項) |
それぞれ年2回以上(規則第3条第10項) | 実施前にあらかじめ消防機関へ通報が必要(規則第3条第11項) |
| 上記以外の防火対象物 | 消防計画に定めるところにより実施 | 法令上の義務なし(消防計画の定めによる) |
通報訓練については、消防計画に定めるところにより実施することとされています。また東京都では、火災予防条例第55条の4により、自衛消防訓練を実施したときは実施結果の記録を作成し、保存することが求められます。立入検査では、訓練の実施記録と消防計画の記載内容の整合が確認されるため、記録の保存を運用に組み込んでおくことが重要です。
ケース別|自衛消防組織の要否判定
| 建物 | 階数・延べ面積 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|---|
| 飲食店ビル | 3階建・1,200㎡ | 不要 | 4階以下は50,000㎡以上が要件。防火管理者の選任は必要 |
| 事務所ビル | 10階建・6,000㎡ | 不要 | 5〜10階は20,000㎡以上が要件 |
| 地下街 | 延べ面積800㎡ | 不要 | 地下街は1,000㎡以上が要件 |
| 地下街 | 延べ面積1,500㎡ | 必要 | 令第4条の2の4第3号に該当 |
| 複合商業ビル(店舗+事務所) | 15階建・対象用途部分12,000㎡(11階以上にも存する) | 必要 | (十六)項で11階以上に用途部分があり10,000㎡以上 |
| オフィスビル | 20階建・25,000㎡ | 必要 | 11階以上かつ10,000㎡以上。防災管理者の選任も必要 |
| 物流倉庫 | 5階建・60,000㎡ | 不要 | (十四)項倉庫は対象用途に含まれない |
| タワーマンション | 30階建・40,000㎡ | 不要 | (五)項ロ共同住宅は対象用途に含まれない |
よくある質問(FAQ)
Q. 自衛消防組織の根拠条文は消防法第36条ですか。
いいえ。自衛消防組織の設置義務を定めているのは消防法第8条の2の5で、対象となる建物の範囲は同施行令第4条の2の4に定められています。消防法第36条は地震等に備える防災管理制度の条文です。ただし施行令第46条により防災管理の対象建物は自衛消防組織の対象建物と同一とされているため、両制度は必ずセットで生じます。
Q. 延べ面積1,000㎡の飲食店ビルにも設置義務がありますか。
ありません。4階以下の建物は延べ面積50,000㎡以上が要件です。1,000㎡という基準は地下街(令別表第一(十六の二)項)に適用されるものです。ただし、防火管理者の選任義務や消防用設備等の設置義務は別途生じますのでご注意ください。
Q. 高さ31mを超えるビルは自衛消防組織の対象になりますか。
高さは判定基準ではありません。自衛消防組織は「地階を除く階数」と「延べ面積」の組合せで判定します。高さ31m超という基準は、統括防火管理者の選任や防炎規制で用いられるものです。
Q. 統括管理者には誰を選べばよいですか。
自衛消防業務講習を修了した者、または統括管理者として必要な学識経験を有すると認められる者に限られます(令第4条の2の8第3項)。防火管理講習の修了だけでは要件を満たしません。講習は一般財団法人日本消防設備安全センターや各消防機関が実施しています。
Q. テナントごとに自衛消防組織を作る必要がありますか。
いいえ。管理権原者が複数ある場合は、共同して1つの自衛消防組織を置くこととされています(令第4条の2の5第2項)。ビル全体で1組織を編成し、必要に応じてフロアや区画ごとに地区隊を置くのが一般的です。
Q. 東京都では、法令の基準より小さい建物にも設置義務がありますか。
自衛消防組織の設置義務そのものについて、東京都火災予防条例に上乗せの規定はありません。東京都独自の規制は、自衛消防活動中核要員の配置(条例第55条の5)、防災センターでの集中管理(条例第55条の2の2)、自衛消防訓練の実施結果記録(条例第55条の4)です。中核要員の配置基準は自衛消防組織より小さい規模から適用されるため、「自衛消防組織は不要だが中核要員は必要」という建物は多数あります。
Q. 自衛消防組織を置かないとどうなりますか。
消防長または消防署長から設置命令を受けることがあり(法第8条の2の5第3項)、これに従わない場合は罰則の対象となります。また東京消防庁の違反対象物の公表制度では、自衛消防組織の未設置・未届・変更未届が公表対象の違反として掲げられており、建物名と違反内容がインターネット上で公表される可能性があります。
Q. 統括管理者が交代した場合、届出は必要ですか。
必要です。法第8条の2の5第2項は、届け出た事項を変更したときも同様に届け出るよう定めています。人事異動で要員構成が変わった場合は、遅滞なく変更届を提出してください。
まとめ|「階数×延べ面積」で判定し、法令と条例を分けて考える
自衛消防組織の実務は、次の3点を押さえれば大きく誤ることはありません。
- 判定は階数と延べ面積の組合せ。11階以上なら1万㎡、5〜10階なら2万㎡、4階以下なら5万㎡、地下街なら1,000㎡が分岐点です(令第4条の2の4)。
- 設置義務は法令、上乗せは条例。東京都火災予防条例が定めているのは自衛消防活動中核要員の配置等であり、自衛消防組織の設置義務そのものではありません。
- 設置と届出はセット。統括管理者には自衛消防業務講習の修了が必要で、消防計画への記載と消防署への届出、変更時の届出まで行って初めて義務を果たしたことになります。
まずは、自社の建物の「地階を除く階数」「延べ面積」「令別表第一の用途区分」の3つを確認してください。この3つが分かれば、自衛消防組織・防災管理者・統括防火管理者・中核要員のいずれが必要かをほぼ判定できます。義務対象でない建物であっても、初期消火と避難誘導の分担をあらかじめ決めておく意味は大きく、任意での編成を検討する価値は十分にあります。
参照条文・出典
- 消防法第8条の2の5(自衛消防組織の設置)、第8条の2(統括防火管理)、第36条(防災管理)
- 消防法施行令第4条の2の4(自衛消防組織の設置を要する防火対象物)、第4条の2の5、第4条の2の6、第4条の2の7、第4条の2の8(要員の基準)、第46条(防災管理を要する建築物)
- 消防法施行規則第3条第10項・第11項(訓練の実施回数・事前通報)、第4条の2の11(自衛消防組織の要員の員数等)
- 東京都火災予防条例第55条の2の2(防災センター)、第55条の4(自衛消防訓練等)、第55条の5(自衛消防活動中核要員)
- 東京都火災予防条例施行規則第11条の5・第11条の6(中核要員の配置基準)
- 東京消防庁「自衛消防活動中核要員」「違反対象物の公表制度」
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- 自社の建物が自衛消防組織の設置義務対象か判定してほしい
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