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建設業許可を申請する前に、経営業務の管理責任者や営業所技術者の経験だけを確認していませんか。実務上は、許可要件を満たしていても「欠格要件」に一つでも該当すると許可を受けられません。しかも、確認対象は申請者本人だけではなく、法人の役員等や政令で定める使用人まで広がります。
結論:建設業許可の欠格要件とは、建設業法第8条に定められた、許可を受けられない事由です。破産から復権していない、一定の処分を受けてから5年を経過していない、一定の刑罰を受けてから5年を経過していない、暴力団員等に該当する、申請書に重要な虚偽・記載漏れがある、といったケースが代表例です。申請前に「会社」「役員等」「政令使用人」「個人事業主本人」を横断して確認することが重要です。
この記事では、東京都で建設業許可を検討している事業者向けに、欠格要件の全体像、よくある確認漏れ、申請前のチェック方法、行政書士へ相談するタイミングを整理します。法令や東京都の手引は改訂されることがあるため、最後は必ず最新の公式資料で確認してください。
建設業許可の「欠格要件」は許可要件と別に確認する
建設業許可には、経営業務の管理責任者等、営業所技術者等、誠実性、財産的基礎、社会保険加入などの許可要件があります。これらを満たすことに加えて、欠格要件にも該当しないことが必要です。
ここで注意したいのは、欠格要件が「能力不足」ではなく、申請者の信用や過去の処分・刑罰、法人の支配関係などを確認する制度だという点です。例えば、自己資本が十分で、技術者の資格も揃っている会社でも、取締役の一人が欠格要件に該当すれば、法人として許可を受けられない可能性があります。
誰が確認対象になるのか
法人の場合は、法人そのものに加えて、役員等と政令で定める使用人が確認対象です。個人事業主の場合は、事業主本人と政令で定める使用人、未成年者であれば法定代理人も確認対象になります。
- 役員等:取締役、執行役、業務を執行する社員、法人格のある組合の理事等
- 実質的な支配者:名称にかかわらず、取締役等と同等以上の支配力を持つと個別に判断される者。東京都の手引では、議決権の5%以上を持つ株主等が例として挙げられています
- 政令で定める使用人:支店長や営業所長など、請負契約の締結等について一定の権限を持つ使用人
- 個人事業主:事業主本人、政令で定める使用人、該当する場合は法定代理人
「名前だけの役員だから関係ない」「現場担当者だから見なくてよい」と自己判断するのは危険です。登記上の役員だけでなく、実際の権限関係や申請書類上の区分を確認しましょう。
欠格要件の14項目を実務向けに整理
国土交通省と東京都の資料では、欠格要件が複数の項目に分けて整理されています。細かな条文の適用は事案ごとに異なりますが、申請前の一次チェックとして、次の14項目を確認します。
- 破産手続開始の決定を受け、復権を得ていない。破産した事実だけで永久に申請できないわけではありませんが、復権の有無を確認します。
- 不正な手段などにより許可を取り消され、取消しから5年を経過していない。過去の許可取消しの原因と取消日を確認します。
- 許可取消しに関する聴聞通知後に廃業届を提出し、その届出から5年を経過していない。廃業届を出したから直ちに問題が消える、とは限りません。
- 前項の期間に廃業届を提出した法人の役員等・政令使用人だった。聴聞通知前60日以内の在籍状況が関係する場合があります。
- 営業停止命令の期間中である。停止期間が終わっているか、処分通知の内容を確認します。
- 営業禁止の期間中である。許可を受けようとする建設業について営業禁止処分を受けていないかを確認します。
- 拘禁刑以上の刑に処せられ、執行終了等から5年を経過していない。罪名だけでなく、刑の執行終了等の日からの期間が重要です。
- 建設業法等の違反や一定の刑法上の罪などにより罰金刑を受け、執行終了等から5年を経過していない。交通違反などすべての罰金が同じ扱いになるわけではなく、対象法令・罪名の確認が必要です。
- 暴力団員、または暴力団員でなくなった日から5年を経過していない。本人だけでなく、法人の役員等や実質的な支配関係も確認対象になります。
- 心身の故障により、建設業を適正に営むために必要な認知・判断・意思疎通を適切に行えない。個別の事情と法令上の基準に沿って判断されます。
- 営業について成年者と同一の能力を有しない未成年者の法定代理人が、欠格要件に該当する。個人事業の承継や未成年者の申請で注意が必要です。
- 法人の役員等・政令使用人の中に、一定の欠格要件該当者がいる。法人では本人だけでなく、構成員の一人の該当が許可に影響します。
- 個人事業主の政令使用人の中に、一定の欠格要件該当者がいる。営業所長等を置いている場合は、その人の確認が必要です。
- 暴力団員等が事業活動を支配している。表面的な役職だけでなく、実質的な支配関係が見られます。
なお、申請書や添付書類に重要な虚偽の記載がある場合、または重要な事実の記載が欠けている場合も、欠格要件の確認以前に許可されません。過去の処分や刑罰を「書かない方が通りやすい」と考えるのは、最も避けるべき対応です。
特に相談が多い3つの確認漏れ
1.取締役を確認していない
新規申請の準備では、代表取締役と営業担当者だけを確認し、非常勤取締役や就任直後の取締役を見落とすことがあります。しかし、役員等に該当するかは肩書きのイメージではなく、法令と申請書類の区分で判断されます。役員変更の直後は、履歴事項全部証明書と役員の申告内容を突き合わせてください。
2.過去の許可取消し・廃業届を「会社の昔の話」として処理している
過去に別法人で建設業を営んでいた、親族の会社を引き継いだ、事業承継や法人化をした、といった場合は、以前の会社の許可取消しや廃業届が関係することがあります。取消しの原因、聴聞通知の有無、廃業届の日、当時の役員等の在籍期間を時系列で整理すると、判断しやすくなります。
3.罰金刑の対象法令を確認していない
「罰金を払ったことがある」という一言だけでは、欠格要件に該当するか分かりません。対象となる法令・罪名、刑の種類、執行終了等の日を確認する必要があります。判断材料が手元にない場合は、処分通知書や判決・略式命令等の資料を確認したうえで、申請前に専門家へ相談しましょう。
許可要件を満たしていても不許可になるケース
欠格要件と、経営業務の管理責任者等・営業所技術者等の要件は別の審査です。そのため、実務経験が十分、資格者がいる、自己資本があるという理由だけでは許可の可否を判断できません。
| 確認項目 | 主な確認内容 | 見落としやすい点 |
|---|---|---|
| 許可要件 | 常勤役員等、営業所技術者等、財産的基礎など | 経験年数や常勤性の証明資料 |
| 欠格要件 | 処分、刑罰、破産、暴力団関係、申請書の正確性 | 役員等・政令使用人の確認範囲 |
| 誠実性 | 請負契約に関する不正・不誠実のおそれ | 他法令の処分歴が影響する場合 |
実際の申請では、この3つを別々に確認し、最後に全体をつなげて判断します。欠格要件に不安がある場合、申請書を作り始める前に確認する方が、補正や申請手数料の無駄を減らせます。
東京都で申請する前のチェックリスト
次の項目を、法人・個人事業主ごとに一覧化して確認しましょう。
- 法人の履歴事項全部証明書を取得し、現在の役員等を一覧にしたか
- 支店長・営業所長など、政令で定める使用人を洗い出したか
- 役員等と実質的な支配者に該当し得る人を確認したか
- 過去の建設業許可、取消し、営業停止、営業禁止、廃業届を確認したか
- 刑罰・罰金について、対象法令、罪名、刑の種類、日付を確認したか
- 破産手続から復権しているかを確認したか
- 誓約書など、欠格要件を確認する書類の内容と他の申請書の記載が一致しているか
- 不明点を自己判断で省略せず、東京都の最新手引と専門家に照らして確認したか
東京都の最新手引では、欠格要件の確認用として誓約書が案内されています。提出窓口や様式、必要な確認資料は改訂される可能性があるため、申請直前に東京都都市整備局の「建設業許可 手引、申請書類等」を確認してください。
申請前に、許可要件と欠格要件をまとめて確認しませんか。
東京都の建設業許可に必要な確認項目を整理し、該当しそうな事項がある場合は、状況に応じた準備の順番をご案内します。
欠格要件に不安があるときの進め方
- 事実を時系列で整理する:処分・刑罰・廃業届・役員就任などを、日付が分かる資料と一緒に並べます。
- 対象者を確定する:役員等、政令使用人、実質的な支配者など、誰の確認が必要かを洗い出します。
- 該当条項を確認する:「昔のことだから大丈夫」とせず、法令・最新手引と照らします。
- 申請書類の記載方針を決める:重要事項を省略せず、必要な説明や資料を準備します。
- 提出前に全体確認する:欠格要件だけでなく、常勤性、経験、財産的基礎、社会保険加入も同時に点検します。
欠格要件は、該当するかどうかの判断を誤ると申請全体に影響します。一方で、過去の事実があるからといって、直ちに永久に申請できないとは限りません。5年の起算点や対象者の範囲、処分の内容によって結論が変わるため、資料を揃えて個別に確認することが大切です。
よくある質問
建設業許可の欠格要件に該当すると、必ず永久に申請できませんか?
いいえ。破産からの復権、刑の執行終了等から5年、処分取消しから5年など、期間が定められている項目があります。ただし、すべてが一律に5年ではなく、現在も営業停止・営業禁止中である場合や、法人の支配関係に関する項目などは別の検討が必要です。
役員が過去に罰金を受けていたら申請できませんか?
罰金があるという事実だけでは判断できません。欠格要件の対象となる法令・罪名か、刑の執行終了等からの期間はどうかを確認します。対象資料がなければ、処分内容を確認してから申請方針を決めてください。
欠格要件に不安がある場合、申請書に書かなければよいですか?
重要な事実の虚偽記載や記載漏れは、許可されない原因になります。隠す方向で考えるのではなく、事実を整理し、該当性と記載方法を専門家や提出先に確認するのが安全です。
東京都のどこに相談・申請しますか?
東京都知事許可の申請は、東京都都市整備局の最新手引に従って進めます。新規申請や許可要件に関する変更届などは、提出窓口や受付時間が決まっているため、最新案内を確認してください。
まとめ:欠格要件は「申請前の全員確認」がポイント
建設業許可の欠格要件は、申請者本人だけの問題ではありません。法人の役員等、政令で定める使用人、実質的な支配者など、許可申請に関係する人を漏れなく確認する必要があります。
確認のポイントは、次の3つです。
- 許可要件と欠格要件を分けて確認する
- 処分・刑罰・廃業届などは日付と資料で時系列に整理する
- 重要な事実を省略せず、申請前に東京都の最新手引と専門家へ確認する
建設業許可の申請準備を、事業の状況に合わせて進めたい方へ
東京都の建設業許可に関する要件確認、必要書類の整理、申請前の不安点の確認について、行政書士萩本昌史事務所がご相談を承ります。
参考資料
※この記事は2026年8月時点で公開されている法令・公的資料をもとに、一般的な確認ポイントを解説したものです。個別の許可可否を断定するものではありません。処分歴、刑罰、役員構成、事業承継などに関する判断は、最新の法令・手引と個別資料をご確認ください。
