東京都行政書士会世田谷支部所属・目黒区在住の特定行政書士です。

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行政書士萩本昌史事務所
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旅行サービス手配業務取扱管理者とは|ランドオペレーター必須資格の取り方と5年ごとの研修義務

旅行サービス手配業務取扱管理者とは|ランドオペレーター必須資格の取り方と5年ごとの研修義務
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旅行サービス手配業務取扱管理者とは、ランドオペレーター(旅行サービス手配業)の営業所ごとに1人以上の選任が義務づけられている国家資格です。根拠は旅行業法第28条第1項。選任しないまま営業すると30万円以下の罰金、そもそも登録を受けずに営業すれば1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象になります。

この記事では、旅行業法・同法施行令・同法施行規則・登録免許税法といった一次情報の条文にあたって、資格を得る3つのルート、研修の中身と費用、5年ごとの継続研修義務、選任のルールで間違えやすい点、そして東京都での登録実務までを整理します。

この記事の結論(30秒サマリー)

  • 誰に必要か:旅行サービス手配業(ランドオペレーター)の登録を受ける/受けている事業者。営業所ごとに1人以上、常勤かつ専任で選任します(旅行業法第28条第1項)。
  • 資格の取り方:①登録研修機関の「旅行サービス手配業務取扱管理者研修」を修了する、②総合旅行業務取扱管理者試験に合格する、③国内旅行業務取扱管理者試験に合格する(本邦内の旅行のみを取り扱う営業所に限る)——の3ルート(同条第5項)。地域限定旅行業務取扱管理者試験は対象外です。
  • 研修:たとえば日本旅行業協会(JATA)の初回研修はオンライン動画(法令約5時間30分+実務約6時間30分)+CBT方式の修了テスト。受講料27,000円(税込)、合格基準は各科目6割以上。
  • 5年ごとの継続研修が義務:旅行業法第28条第6項・同法施行規則第47条。守らないと勧告→命令→30万円以下の罰金へ進みます。
  • 登録は都道府県知事へ:条文上は「観光庁長官」ですが、旅行業法施行令第5条第2項ですべて都道府県知事の事務です。登録免許税はかかりません(登録免許税法施行令第24条第3項)。東京都の手数料は15,000円、標準処理期間は30〜40日。

旅行サービス手配業務取扱管理者とは何か(旅行業法第28条)

旅行業法第28条第1項は、次のように定めています。

旅行サービス手配業者は、営業所ごとに、一人以上の第五項の規定に適合する旅行サービス手配業務取扱管理者を選任して、当該営業所における旅行サービス手配業務に関し、その取引に係る取引条件の明確性、旅行に関するサービスの提供の確実性その他取引の公正、旅行の安全及び旅行者の利便を確保するため必要な国土交通省令で定める事項についての管理及び監督に関する事務を行わせなければならない。
(旅行業法第28条第1項)

つまりこの資格は、「試験に受かった人が名乗れる肩書き」ではなく、事業者が営業所ごとに置かなければならない法定の管理責任者です。資格者を確実に選任できると認められなければ、そもそも旅行サービス手配業の登録が拒否されます(旅行業法第26条第1項第5号)。

管理者が担う「4つの職務」

職務の中身は旅行業法施行規則第46条で具体化されています。

管理・監督すべき事項
1号 旅行業法第30条の規定による書面の交付に関する事項
2号 旅行サービス手配業務に関する苦情の処理に関する事項
3号 契約締結の年月日、契約の相手方その他契約内容の重要事項についての明確な記録・関係書類の保管に関する事項
4号 そのほか、取引の公正・旅行の安全・旅行者の利便を確保するため必要な事項として観光庁長官が定める事項

手配の現場で「言った・言わない」が起きやすい部分、そして料金や安全にかかわる部分を、資格者が組織として管理する——というのが制度の設計思想です。

そもそも「旅行サービス手配業」とは?登録が必要な行為・不要な行為

旅行サービス手配業は、旅行業法第2条第6項に定義があります。かみ砕くと、報酬を得て、旅行業を営む者のために、旅行者に提供される運送・宿泊などを手配する事業です。旅行者と直接契約するのが旅行業者、その裏側でバスや宿を押さえるのがランドオペレーター、という関係になります。

ただし、手配すれば何でも登録が必要になるわけではありません。旅行業法施行規則第1条が、登録の対象から外れる行為を定めています。整理すると次のとおりです。

手配の内容 登録の要否 根拠
本邦内の運送(鉄道・バス等)または宿泊(ホテル・旅館等)の手配 必要 法2条6項
全国通訳案内士・地域通訳案内士以外の者が報酬を得て行う通訳案内の手配 必要 規則1条2号かっこ書
免税店(輸出物品販売場)における物品譲渡の手配 必要 規則1条2号かっこ書
本邦外における運送等サービス・運送等関連サービスの手配(海外の現地手配) 不要 規則1条1号
本邦内のレストラン・劇場チケットなど運送等関連サービスのみの手配(通訳案内・免税店物販を除く) 不要 規則1条2号
旅行業者が自ら行う手配行為 不要 法34条1項

とくに実務で誤解が多いのが最後の2つです。旅行業の登録を受けていれば、旅行サービス手配業の登録を重ねて受ける必要はありません(旅行業法第34条第1項)。一方、旅行業者が手配行為を外部に委託するときは、委託先も旅行サービス手配業者か他の旅行業者でなければならないという制限があります(同法第33条第2項)。

制度ができた背景

旅行サービス手配業の登録制度は、通訳案内士法及び旅行業法の一部を改正する法律(平成29年法律第50号)によって創設され、2018年(平成30年)1月4日に施行されました。訪日旅行の急増に伴い、旅行業者とバス会社等の間に入る手配業者の実態が行政から把握できず、無理な行程や不当に安い取引、土産物店での強引な販売といった問題が表面化したことが背景にあります。

この経緯は、いまも条文に残っています。旅行業法施行規則第52条は、旅行サービス手配業者の禁止行為として、①取引相手に法令違反行為をあっせん・便宜供与すること、②企画旅行用の運送サービス提供者に対し輸送の安全確保を不当に阻害する行為をすること、③旅行者に特定のサービス利用や物品購入を強要する行為をあっせん・便宜供与することを挙げています。

資格を得る3つのルート(旅行業法第28条第5項)

旅行サービス手配業務取扱管理者になれるのは、欠格事由に該当しない者のうち、次のいずれかに当たる人です。

ルート 本邦内の旅行のみを取り扱う営業所 それ以外の営業所
①旅行サービス手配業務取扱管理者研修を修了(登録研修機関が実施)
②総合旅行業務取扱管理者試験に合格
③国内旅行業務取扱管理者試験に合格 ×
④地域限定旅行業務取扱管理者試験に合格 × ×

ポイントは3つあります。

  1. 研修ルートは営業所の取扱範囲を問わず使える。第28条第5項本文で「研修の課程を修了したもの又は次に掲げるもの」と書き分けられており、営業所の区分による限定は試験合格ルート(第1号・第2号)にだけかかっています。
  2. 国内試験合格者は、本邦内の旅行のみを扱う営業所に限られる(第5項第1号)。それ以外の営業所では使えません。
  3. 地域限定旅行業務取扱管理者試験は条文に列挙されていない。第5項が挙げるのは総合と国内だけなので、地域限定の合格者はこの資格を満たしません。

実務上は、圧倒的に①の研修ルートが選ばれます。試験のように年1回の受験機会を待つ必要がなく、短期間で確実に要件を満たせるためです。

研修の中身・受講料・修了テスト

研修を実施できるのは、観光庁長官の登録を受けた登録研修機関だけです(旅行業法第28条第5項、第29条)。観光庁が公表しているリストによれば、2026年4月1日現在で13機関が登録されています(第1号の一般社団法人日本旅行業協会から、第13号の株式会社中和旅行まで)。

研修科目は法令上2科目

旅行業法別表第二(第29条関係)は、研修科目を「この法律に関する科目」「旅行サービス手配業務に関する科目」の2つとし、それぞれの講師要件まで定めています。どの登録研修機関で受けても、この2本立てである点は変わりません。

JATA初回研修の例

項目 内容
形式 オンライン講義動画(全14本)+修了テスト(CBT方式・全国のテストセンターで受験)
講義時間 旅行業法および旅行業約款:約5時間30分/旅行サービス手配実務:約6時間30分
受講期間 受講料の決済日から30日間
受講料 27,000円(1名あたり・消費税10%込)
修了テスト 2科目、各30分・30問。各科目6割以上で合格

難易度は高くありません。動画をきちんと視聴していれば通る水準で、実務者向けの確認テストに近い位置づけです。ただし2科目それぞれで6割を求められるため、法令科目だけ/実務科目だけの対策では足りません。

なお、観光庁長官が自ら研修を行う場合の手数料は17,900円と旅行業法施行令第4条第4項で定められていますが、実際には登録研修機関が実施するため、受講料は機関ごとに異なります。

5年ごとの継続研修(定期研修)が法律上の義務

この資格でもっとも見落とされやすいのが、取ったら終わりではないという点です。

旅行サービス手配業者は、旅行サービス手配業務取扱管理者について、三年以上五年以内において国土交通省令で定める期間ごとに、旅行サービス手配業務に関する法令、旅程管理その他の旅行サービス手配業務取扱管理者の職務に関し必要な知識及び能力の向上を図るため、登録研修機関が実施する研修を受けさせなければならない。
(旅行業法第28条第6項)

この「国土交通省令で定める期間」は5年です(旅行業法施行規則第47条)。義務を負うのは資格者本人ではなく事業者(旅行サービス手配業者)である点にも注意してください。条文は「受けさせなければならない」と書かれています。研修ルートで資格を得た人だけでなく、試験合格者を管理者に選任している場合も対象です。

守らないとどうなるか:勧告 → 命令 → 罰金

  1. 行政庁が、期限を定めて必要な措置をとるべきことを勧告(第28条第7項)
  2. 勧告に従わないときは、期限を定めて措置を命令(同条第8項)
  3. 命令に違反すると30万円以下の罰金(第79条第5号)。法人にも同額の罰金が科されます(両罰規定・第82条)

加えて、第28条第9項は、苦情の解決に関する講習の受講など、知識・能力の向上を図る措置を講ずる努力義務も定めています。

実務の落とし穴:「申請日前5年以内の修了」

東京都が公表している新規登録申請案内書は、選任する管理者について次のように整理しています。

総合又は国内の旅行業務取扱管理者試験に合格した者、若しくは旅行サービス手配業務取扱管理者研修課程を申請日前5年以内に修了した者を選任すること。……修了後5年以上経過した者については、旅行サービス手配業務取扱管理者の継続研修を修了すること。
(東京都「旅行サービス手配業 新規登録申請案内書」)

つまり、以前に研修を受けたものの登録に至らなかった、あるいは別会社で管理者をしていて久しぶりに選任される——といったケースでは、修了証があっても5年を超えていれば継続研修が必要になります。登録申請の直前に気づくと、研修の空き枠待ちで1〜2か月止まることがあります。

選任ルールで間違えやすい5つのポイント

ポイント 内容 根拠
①他営業所との兼任は不可 「旅行サービス手配業務取扱管理者は、他の営業所の旅行サービス手配業務取扱管理者となることができない」。営業所を増やせば、その数だけ資格者が要ります。 法28条4項
②1人だけの営業所でも必要 「旅行サービス手配業務を取り扱う者が一人である営業所についても適用がある」。代表者ひとりの会社でも、代表者本人が資格を取る必要があります。 法28条3項
③欠けたら新規契約は禁止 管理者が全員欠格事由に該当した、あるいは退職して不在になったときは、新たに選任するまでその営業所で手配業務の契約を締結できません。違反は30万円以下の罰金。 法28条2項、79条18号
④常勤・専任であること 東京都は「常勤専任で就業のこと」と明記。名義だけの選任は認められません。 東京都申請案内書
⑤従業員10人以上の営業所は複数選任 東京都の運用では、従業員数10人以上の営業所には複数の管理者を選任することとされています。 東京都申請案内書

また、業務の運営に問題があると認められた場合、行政庁は「旅行サービス手配業務取扱管理者を解任すること」を業務改善命令の内容として命じることができます(法第36条第1号)。命令違反は30万円以下の罰金です(第79条第5号)。

登録手続きと費用(東京都の場合)

提出先は「都道府県知事」

旅行業法第23条は「観光庁長官の行う登録を受けなければならない」と書いていますが、これをそのまま読むと間違えます。旅行業法施行令第5条第2項により、旅行サービス手配業に関する第2章第2節の権限はすべて主たる営業所の所在地を管轄する都道府県知事の事務とされているためです(報告徴収・立入検査だけは観光庁長官も自ら行えます)。申請書の提出先も、施行規則第42条で都道府県知事と明記されています。

登録免許税はかからない

ここは解説記事でも取り違えが目立つところです。登録免許税法別表第一第142号(三)には「旅行業法第23条の旅行サービス手配業の登録」が9万円として掲げられていますが、括弧書きで「政令で定めるものに限る」と限定されています。その政令、すなわち登録免許税法施行令第24条第3項は、課税対象を「旅行業法施行令第5条第2項の規定により都道府県知事が行うこととされる事務に係るもの以外のもの」と定めています。

前述のとおり旅行サービス手配業の登録はすべて都道府県知事の事務ですから、現行制度のもとで旅行サービス手配業の新規登録に登録免許税は課されません。東京都の申請案内書にも登録免許税の記載はなく、都の手数料15,000円のみが示されています。「登録免許税9万円が必要」という記述は、観光庁長官登録である第1種旅行業の話と混線したものです。

東京都での費用と期間

項目 内容
申請先 東京都産業労働局 観光部 振興課 旅行業担当(都庁第一本庁舎19階)
登録免許税 不要(登録免許税法施行令24条3項)
都の手数料 15,000円(東京都旅行業法関係手数料条例第2条)。登録通知書の受領時に納付
標準処理期間 30〜40日(営業所調査を含む)
申請の予約 予約制。受付日は月・水・金曜日。申請時は管理者本人も来庁
定款の目的 必ず「旅行サービス手配業」または「旅行業法に基づく旅行サービス手配業」と記載
商号 既存の旅行業者・旅行業者代理業者・旅行サービス手配業者との類似商号を避ける(申請前に要確認)

手数料の額と受付方法は都道府県ごとに異なります。東京都以外で登録する場合は、必ず当該都道府県の手数料条例と申請案内をご確認ください。

旅行業とここが違う:手配業に「ない」義務

旅行サービス手配業は、旅行業に比べて参入のハードルが低く設計されています。第2章第2節(第23条〜第40条)に規定が置かれていない義務は、そもそも課されません。

項目 旅行業 旅行サービス手配業
登録行政庁 第1種=観光庁長官/第2種・第3種・地域限定=都道府県知事 都道府県知事のみ
登録の有効期間 5年(更新登録が必要。法6条の3) 定めなし(更新不要)
営業保証金の供託 必要(法8条) 不要
基準資産額(財産的基礎) 必要(規則4条ほか) 不要
旅行業約款の認可・掲示 必要(法12条の2) 不要
料金の掲示 必要(法12条) 不要
標識(登録票)の掲示 必要(法12条の9) 不要
選任する管理者 旅行業務取扱管理者 旅行サービス手配業務取扱管理者
登録免許税 第1種のみ9万円(知事登録は非課税) 不要

更新登録が不要である一方、管理者の5年ごとの継続研修だけは回り続ける——これが旅行サービス手配業の管理サイクルの特徴です。更新の通知が来ないぶん、社内で受講期限を管理する必要があります。

罰則一覧(2025年6月1日から「懲役」は「拘禁刑」に)

刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律(令和4年法律第68号)により、2025年(令和7年)6月1日から旅行業法の罰則も「懲役」から「拘禁刑」に改められました。これより前に書かれた解説記事は表記が古いままなのでご注意ください。

違反行為 根拠条文 法定刑
登録を受けずに旅行サービス手配業を営む 法23条違反 → 法74条6号 1年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金(併科あり)
不正の手段により登録を受ける 法74条7号 同上
名義貸し・他人に経営させる 法32条違反 → 法74条8号 同上
業務停止命令に違反 法37条1項 → 法76条 6月以下の拘禁刑もしくは50万円以下の罰金(併科あり)
手配業務を旅行業者・旅行サービス手配業者以外に委託 法33条違反 → 法78条 50万円以下の罰金
管理者を選任しなかった 法28条1項違反 → 法79条17号 30万円以下の罰金
管理者が欠けたまま手配業務の契約を締結 法28条2項違反 → 法79条18号 30万円以下の罰金
継続研修に関する命令に違反 法28条8項 → 法79条5号 30万円以下の罰金
業務改善命令に違反 法36条 → 法79条5号 30万円以下の罰金
登録事項の変更届出を怠る・虚偽の届出 法27条1項 → 法79条1号 30万円以下の罰金
書面を交付しない・虚偽記載の書面を交付 法30条 → 法79条19号 30万円以下の罰金
重要事項の不告知・不実告知 法31条1項 → 法79条20号 30万円以下の罰金
廃業・譲渡・合併・相続の届出を怠る 法35条 → 法83条2号 20万円以下の過料

第74条および第76条〜第79条の違反については、行為者だけでなく法人にも同額の罰金刑が科されます(両罰規定・法第82条)。

登録後も続く実務:届出・書面・禁止行為

取引ごとの書面交付(法30条・規則49条)

旅行サービス手配業者は、手配業務に関し契約を締結したときは、遅滞なく相手方に書面を交付しなければなりません。記載事項は施行規則第49条で7項目に定められています。

  1. 取引をする者の氏名・商号・住所(旅行業者等・手配業者ならその登録番号も)
  2. 契約を締結する旅行サービス手配業者の氏名・商号・住所・登録番号
  3. 旅行者に提供すべき旅行に関するサービスの内容
  4. 取引相手に支払う対価または手配業務の取扱料金に関する事項
  5. 当該契約に係る手配業務を取り扱う営業所の名称・所在地
  6. 当該契約に係る旅行サービス手配業務取扱管理者の氏名
  7. 契約締結の年月日

6号に注目してください。管理者の氏名は、取引書面に必ず書かれることになっています。選任がいい加減だと、書面交付のたびに矛盾が表面化する仕組みです。なお、相手方の承諾を得れば電磁的方法での提供も認められます(法30条2項)。

届出の期限

事由 期限 根拠
氏名・商号・住所・代表者名、営業所の名称・所在地の変更 変更の日から30日以内 法27条1項
事業の廃止、事業全部の譲渡・分割承継 その日から30日以内 法35条1項
法人の合併による消滅(旧役員が届出) その日から30日以内 法35条2項
事業者の死亡(相続人が届出) 死亡を知った日から30日以内 法35条3項

営業所の新設・移転は「営業所の名称及び所在地」の変更にあたり、30日以内の届出対象です。新設した営業所には、当然そこにも専任の管理者が必要になります。

営業所を構えるときに一緒に確認したい他法令

旅行サービス手配業の登録では、営業所の調査が行われます。事務所を新たに借りる・移転するタイミングでは、旅行業法とは別に次の2つを確認しておくと手戻りがありません。

建築基準法:事務所への用途変更に確認申請は原則不要

建築基準法第87条第1項は、建築物の用途を変更して同法第6条第1項第1号の特殊建築物(その用途に供する部分の床面積の合計が200㎡超のもの)とする場合に、確認申請の規定を準用しています。事務所は同法別表第一に掲げられておらず特殊建築物にあたらないため、事務所として使うための用途変更に建築確認は原則として不要です。

もっとも、2025年(令和7年)4月1日施行の改正で、いわゆる4号特例が縮小され、木造2階建て等は「新2号建築物」として大規模の修繕・模様替も建築確認の対象になりました。内装や外壁に手を入れる規模の改修を伴うなら、賃貸借契約の前に設計者へ確認することをおすすめします。

消防法・火災予防条例:使用開始の届出と防火管理者

手続 内容 根拠
防火対象物使用開始届出 東京都では、防火対象物またはその部分を使用しようとする者は、使用を開始する日の7日前までに消防署長へ届出 東京都火災予防条例56条の2第1項
防火管理者の選任・届出 事務所(消防法施行令別表第一(15)項)などの非特定用途は、建物全体の収容人員50人以上で選任義務。選任・解任は遅滞なく消防長または消防署長へ届出 消防法8条1項・2項、同法施行令1条の2第3項1号ハ

収容人員は建物全体で数えます。自社のオフィスが数名でも、雑居ビル全体で50人以上(特定用途が入る建物なら30人以上)になれば、管理権原者に選任義務が生じます。使用開始届は入居のたびに必要で、届出をせずに使用した場合の罰則も条例に定められています。

消防関係の届出については、当事務所の専門サイトで詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

よくある質問

Q. 旅行業の登録を持っていれば、旅行サービス手配業の登録も必要ですか?

A. 不要です。旅行業法第34条第1項が「旅行業者は、第23条の規定にかかわらず、旅行サービス手配業の登録を受けなくても、第2条第6項に規定する行為を行うことができる」と明記しています。ただし、その手配行為を他人に委託する場合は、委託先を旅行サービス手配業者または他の旅行業者に限る必要があります(同条第2項)。

Q. 社長ひとりの会社ですが、それでも管理者を選任しなければいけませんか?

A. 必要です。旅行業法第28条第3項が「旅行サービス手配業務を取り扱う者が一人である営業所についても適用がある」と定めています。社長自身が研修を修了するか試験に合格して、自ら管理者になるのが一般的です。

Q. 国内旅行業務取扱管理者の資格を持っています。そのまま管理者になれますか?

A. その営業所が本邦内の旅行のみについて手配業務を取り扱うのであれば、なれます(法28条第5項第1号)。それ以外の営業所では、総合旅行業務取扱管理者試験の合格者であるか、旅行サービス手配業務取扱管理者研修を修了している必要があります(同項第2号、同項本文)。なお、地域限定旅行業務取扱管理者試験の合格者は、いずれの営業所でも要件を満たしません。

Q. 研修は何日かかりますか。修了テストは難しいですか?

A. 現在はオンライン受講が主流です。JATAの初回研修は講義動画あわせて約12時間、決済日から30日以内に視聴し、その後CBT方式の修了テストを受けます。テストは2科目・各30分30問で、合格基準は各科目6割以上。講義を通して受けていれば十分に対応できる水準です。

Q. 5年ごとの継続研修を受け忘れたらどうなりますか?

A. まず行政庁から期限を定めて必要な措置をとるよう勧告され(法28条7項)、従わなければ命令が出ます(同条8項)。命令に違反すると30万円以下の罰金で、法人にも同額の罰金が科されます(法79条5号、82条)。受け忘れただけで直ちに罰金になるわけではありませんが、行政指導の記録は残ります。受講期限は社内で管理してください。

Q. 旅行サービス手配業の登録に更新はありますか?

A. ありません。旅行業には5年の有効期間と更新登録があります(法6条の3)が、旅行サービス手配業について第2章第2節に有効期間の定めはありません。ただし、登録事項に変更があったときは30日以内の届出が必要です(法27条1項)。更新の案内が届かないぶん、管理者の継続研修と変更届の管理は自社で行う必要があります。

Q. 登録免許税9万円が必要と書いてあるサイトを見ました。本当ですか?

A. 旅行サービス手配業の登録については、かかりません。登録免許税法別表第一第142号(三)は「政令で定めるものに限る」としており、登録免許税法施行令第24条第3項が課税対象を「旅行業法施行令第5条第2項により都道府県知事が行うこととされる事務に係るもの以外のもの」と限定しています。旅行サービス手配業の登録はすべて都道府県知事の事務なので、課税対象から外れます。9万円は観光庁長官登録である第1種旅行業の登録免許税と混同されたものと思われます。実際にかかるのは都道府県の手数料(東京都は15,000円)です。

Q. 営業所を増やすとき、既存の管理者を兼任させられますか?

A. できません。旅行業法第28条第4項が「他の営業所の旅行サービス手配業務取扱管理者となることができない」と明確に禁じています。営業所を増やす場合は、その営業所に常勤・専任の資格者を新たに確保したうえで、営業所の追加を30日以内に届け出てください。

Q. 海外の現地手配だけを行う会社にも登録は必要ですか?

A. 不要です。旅行業法施行規則第1条第1号が、旅行者に対する本邦外における運送等サービス・運送等関連サービスの手配を、旅行サービス手配業の定義から除外しています。登録が必要になるのは、本邦内の運送・宿泊の手配、有償の通訳案内(全国通訳案内士・地域通訳案内士以外の者によるもの)の手配、免税店における物品譲渡の手配です。

まとめ

  • 旅行サービス手配業務取扱管理者は、ランドオペレーターの営業所ごとに1人以上・常勤専任で置く法定の管理責任者(旅行業法28条1項)。他営業所との兼任はできません(同条4項)。
  • 資格ルートは研修修了/総合試験合格/国内試験合格(本邦内のみの営業所に限る)の3つ。地域限定は不可(同条5項)。
  • 研修はオンライン化が進み、JATAの例で受講料27,000円・各科目6割で修了。5年ごとの継続研修が事業者の義務(同条6項、規則47条)。
  • 登録は都道府県知事へ。登録免許税はかからず、東京都の手数料は15,000円、標準処理期間は30〜40日。
  • 2025年6月1日から罰則の「懲役」は「拘禁刑」に改められています。無登録営業は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金、管理者の未選任は30万円以下の罰金。

制度としては旅行業より軽い一方、資格者の確保と継続研修の管理という、人にひもづく義務が中心になります。登録のタイミングだけでなく、営業所を増やすとき、担当者が退職したとき、修了から5年が近づいたときに、その都度チェックが必要な許認可です。

行政書士萩本昌史事務所

旅行サービス手配業の登録、まとめてお引き受けします

「管理者は誰を選任すればいい?」「定款の目的は足りている?」「営業所を増やしたけれど届出は?」——登録の入口から、登録後に続く届出・継続研修の管理まで。東京都の運用を踏まえてご案内します。

  • 新規登録の要件チェック(管理者・定款の目的・商号の重複)
  • 申請書類の作成と東京都への申請同行
  • 登録後の変更届出・営業所追加・廃業届
  • 取引書面(法30条・規則49条)のひな形整備

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参照した一次情報

本記事は2026年9月7日時点の法令・公表情報に基づいています。手数料・受講料・運用の詳細は都道府県および登録研修機関によって異なる場合がありますので、最新の情報をご確認ください。個別の案件については行政書士等の専門家にご相談ください。

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