旅行業登録を検討されている方へ：行政書士が解説する申請のポイント

日本で旅行業を営むには、適切な手続きを経て旅行業登録を行う必要があります。本記事では、旅行業登録の概要や申請手続き、必要な要件について詳しく解説し、旅行業を成功させるためのポイントまで詳しく解説します。

1. 旅行業とは？

旅行業とは、旅行者に対して宿泊や交通手段の手配、旅行プランの提供などを行う事業のことを指します。日本では、観光庁の監督のもと、「旅行業法」に基づいて登録が義務付けられています。

旅行業には主に以下の種類があります。

• 第一種旅行業：海外および国内の旅行を取り扱い、募集型・受注型企画旅行の実施が可能。
• 第二種旅行業：国内旅行のみ取り扱い、募集型企画旅行は特定の地域内に限定。
• 第三種旅行業：主に他の旅行業者の手配を請け負う形態。
• 旅行業者代理業：登録を受けた旅行業者の代理として業務を行う。

2. 旅行業登録の要件

旅行業登録を行うには、以下の要件を満たす必要があります。

(1) 資本金・財務基盤

各旅行業の種類ごとに一定の基準資産額が求められます。

• 第一種旅行業：3,000万円以上
• 第二種旅行業：700万円以上
• 第三種旅行業：300万円以上

この基準を満たさない場合、登録申請は受理されません。

(2) 旅行業務取扱管理者の設置

各事業所には、一定の資格を持つ「旅行業務取扱管理者」を配置する必要があります。これには以下の種類があります。

• 総合旅行業務取扱管理者（全ての旅行業に対応）
• 国内旅行業務取扱管理者（国内旅行のみ対応）

管理者は、資格試験に合格するか、一定の実務経験を持つ者でなければなりません。

(3) 営業所の設置

旅行業を行うためには、適切な営業所が必要です。営業所は、単なるバーチャルオフィスではなく、事業の実態がある物理的なオフィスでなければなりません。

(4) 営業保証金または弁済業務保証金制度の利用

旅行業登録後、営業を開始するには「営業保証金」を供託する必要があります。金額は以下の通りです。

• 第一種旅行業：7,000万円
• 第二種旅行業：1,100万円
• 第三種旅行業：300万円

ただし、多くの事業者は「弁済業務保証金制度（旅行業協会に加盟）」を利用し、保証金の負担を軽減しています。

3. 旅行業登録の申請手続き

(1) 申請書類の準備

旅行業登録には、以下の書類を提出する必要があります。

• 旅行業登録申請書
• 定款および登記事項証明書
• 財務諸表（資産要件を満たすことを証明）
• 旅行業務取扱管理者の資格証明書
• 事務所の賃貸契約書（所有の場合は不動産登記簿）
• 営業保証金の供託証明書 または 旅行業協会加盟の証明書

(2) 申請先と審査期間

• 第一種旅行業：観光庁（国土交通大臣の認可）
• 第二種・第三種旅行業：都道府県知事の認可
• 旅行業者代理業：登録を受けた旅行業者の許可

申請後、審査には通常2〜3か月程度かかります。

4. 旅行業登録後の義務

登録を取得した後も、事業者には以下の義務があります。

• 帳簿の作成・保存：取引内容を適切に記録し、一定期間保存。
• 苦情対応：旅行者からのクレームには誠実に対応。
• 定期的な届出：事業内容に変更があった場合は速やかに届出。
• 旅行業協会の会員としての義務（加盟している場合）：各種の義務・研修受講など。

5. 旅行業成功のためのポイント

旅行業を成功させるためには、登録だけでなく、以下の点も重要です。

• ターゲット市場の明確化：顧客層を明確にし、適切な旅行プランを提供。
• マーケティング戦略の強化：SNSやウェブサイトを活用し、集客を最大化。
• 信頼性の向上：口コミやレビューの管理を徹底し、顧客満足度を向上。
• 法令遵守とコンプライアンス：契約や保険などの法的要件を適切に管理。

6. 旅行業の今後の展望

旅行業界は、新型コロナウイルスの影響を受けたものの、インバウンド外国人旅行者の増加によって回復傾向にあります。特に、デジタル化が進み、オンライン予約やAIを活用した旅行プランニングが求められるようになっています。また、SDGs（持続可能な開発目標）への対応として、環境に配慮したエコツーリズムの需要も高まっています。

7. まとめ

旅行業登録は、単なる届出ではなく、厳格な審査を伴う申請手続きです。特に、資産要件や管理者の設置、保証金の供託などは事業計画を慎重に考える必要があります。

行政書士として、これらの手続きをスムーズに進めるためのサポートを行っています。旅行業の登録を検討している方は、専門家に相談し、確実に手続きを進めましょう。

旅行業登録に関するご相談がありましたら、お気軽にお問い合わせください。