
ドローンの飛行には、日本の航空法や各種規制が関係しており、一定の条件下では飛行許可の申請が必要になります。本記事では、ドローン飛行許可が必要となるケースを詳細に解説します。
1. 航空法による飛行許可が必要なケース
航空法では、以下のケースに該当するドローン飛行には国土交通大臣の許可が必要とされています。
(1) 人口密集地(DID地区)での飛行
日本では、総務省が定める「国勢調査による人口集中地区(DID地区)」において、ドローンを飛行させる場合には許可が必要です。
例:
- 都市部での空撮
- イベント会場付近での飛行
(2) 夜間飛行
日没後から日の出までの間にドローンを飛行させる場合、航空法上の許可が必要になります。
例:
- 夜間の工事現場撮影
- 夜景の空撮
(3) 目視外飛行
ドローンを直接目視できない状態で操縦する場合には許可が必要です。FPV(First Person View)ゴーグルを使用する場合も対象になります。
例:
- 山岳地帯の点検でドローンを遠方に飛行させる
- 無人での長距離飛行
(4) 人・建物・車両から30m以内での飛行
第三者がいるエリアや建物の近くで飛行させる場合、許可が必要です。
例:
- 工事現場での点検作業
- 街中でのプロモーション撮影
(5) 高度150m以上の飛行
航空機の航行に影響を与える可能性があるため、150m以上の高度での飛行には許可が必要です。
例:
- 高層ビルの撮影
- 高高度でのデータ収集
2. 飛行制限がある空域での飛行許可が必要なケース
以下のエリアでは、特別な許可なしにドローンを飛行させることは禁止されています。
(1) 空港周辺
空港付近(概ね3~9km以内)の上空でのドローン飛行は、航空機の安全運行の観点から厳しく制限されており、事前の許可が必要です。
例:
- 成田空港付近での撮影
- 伊丹空港周辺での測量
(2) 自衛隊施設・米軍基地周辺
自衛隊や米軍基地の周辺では、飛行規制が敷かれている場合があり、許可が必要になることがあります。
例:
- 自衛隊駐屯地付近での撮影
- 米軍基地周辺での調査
(3) 重要施設周辺
原子力発電所、国会議事堂、首相官邸などの重要施設周辺では、飛行が厳しく規制されています。
例:
- 国会議事堂付近での空撮
- 官邸周辺でのライブ配信
3. その他、ドローン飛行に関する自治体・管理者の許可が必要なケース
航空法以外にも、自治体の条例や特定施設の管理者による規制がある場合があります。
(1) 公園や観光地での飛行
自治体が管理する公園や観光地では、独自の条例によりドローンの飛行が禁止または許可制になっていることがあります。
例:
- 東京都の公園での撮影(都立公園条例により禁止)
- 世界遺産エリアでの空撮
(2) 私有地・企業施設での飛行
個人や企業が所有する土地や施設で飛行させる場合、管理者の許可が必要です。
例:
- ゴルフ場での撮影
- 商業施設の上空飛行
4. 申請手続きの流れ
ドローン飛行許可を申請するには、国土交通省のオンライン申請システム「DIPS(ドローン情報基盤システム)」を利用するのが一般的です。
(1) 申請準備
申請には以下の情報が必要です。
- 飛行計画の詳細(日時、場所、目的)
- ドローンの機体情報
- 操縦者の技能証明
(2) 許可・承認申請
DIPSを通じて申請し、審査を受けます。申請から許可取得まで通常10日~2週間程度かかります。
(3) 飛行実施
許可が下りた後、計画通りに飛行を行います。飛行日誌の作成や事故時の報告義務もあります。
5. まとめ
ドローンの飛行には、航空法をはじめとするさまざまな法律や規制が関係しています。特に以下のケースでは事前の許可申請が必要です。
- 人口密集地での飛行
- 夜間・目視外・高度150m以上の飛行
- 空港・重要施設・私有地上空での飛行
事前に飛行計画を立て、必要な許可を取得することが重要です。ドローンを安全かつ適法に運用するため、ルールを理解し、適切な手続きを行いましょう。
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