株式会社の取締役変更 / 営業所専任技術者変更
建設業許可を取得した後、届出事項に変更が生じた場合は、建設業法に基づき所定の期限内に変更届出書を許可行政庁に提出しなければなりません。届出を怠った場合は、建設業法違反として処分の対象となるほか、許可の更新が受理されないリスクがあります。
本書では、株式会社において特に発生頻度の高い「取締役の変更」および「営業所の専任技術者(営業所技術者等)の変更」の2つのケースについて、必要な手続きを解説します。
1. 取締役の変更
1-1. 届出の概要
株式会社の取締役(代表取締役を含む)に就任・退任・氏名変更等があった場合、建設業許可の変更届出が必要です。
届出期限
| 変更の内容 | 届出期限 |
| 経営業務の管理責任者(経管)を兼ねていない取締役の変更 | 変更後 30日以内 |
| 経営業務の管理責任者(経管)を兼ねる取締役の変更 | 変更後 14日(2週間)以内 |
注意:代表取締役が経営業務の管理責任者(経管)や専任技術者を兼任している場合は、単なる役員変更ではなく、経管・専技の変更届としても処理する必要があるため、届出期限が14日以内に短縮されます。
届出の前提条件
取締役の変更届出を行う前に、法務局での変更登記が完了している必要があります。登記簿謄本は届出の添付書類となるため、先に登記手続きを済ませてから建設業許可の変更届を提出してください。
1-2. 必要書類
取締役が就任した場合
- 変更届出書(様式第22号の2)
- 役員等の一覧表(様式第1号別紙1)
- 誓約書(様式第6号)
- 商業登記簿謄本(履歴事項全部証明書)※発行から3か月以内
- 登記されていないことの証明書(新任取締役分)※発行から3か月以内
- 身分証明書(本籍地の市区町村発行)(新任取締役分)※発行から3か月以内
- 略歴書(新任取締役分)
取締役が退任した場合
- 変更届出書(様式第22号の2)
- 役員等の一覧表(様式第1号別紙1)
- 商業登記簿謄本(履歴事項全部証明書)※発行から3か月以内
退任の場合は、登記されていないことの証明書・身分証明書・略歴書の添付は不要です。
1-3. 届出先
許可を受けた行政庁(都道府県知事許可の場合は都道府県の建設業担当課、国土交通大臣許可の場合は地方整備局等)に提出します。
2. 営業所専任技術者(営業所技術者等)の変更
令和6年(2024年)12月13日施行の改正建設業法により、従来の「専任技術者」は「営業所技術者等」に名称が変更されています。本書では便宜上、両方の名称を併記して記載します。
2-1. 届出の概要
営業所に配置する専任技術者(営業所技術者等)に交代・追加・削除等の変更が生じた場合、変更届出書の提出が必要です。専任技術者は許可の根幹に関わる要件であるため、届出期限は短く設定されています。
届出期限
| 変更の内容 | 届出期限 |
| 専任技術者(営業所技術者等)の交代・追加・削除 | 変更後 14日(2週間)以内 |
専任技術者は建設業許可の必須要件であるため、不在状態が生じないよう、後任者を確保した上で届出を行うことが重要です。後任者が確保できない場合は、当該営業所での許可業種の営業ができなくなり、廃業届の提出が必要となる場合があります。
2-2. 必要書類
専任技術者を交代(新たに配置)する場合
- 変更届出書(様式第22号の2)
- 専任技術者証明書(営業所技術者等証明書)(様式第8号)
- 資格を証する書類(以下のいずれか)
– 監理技術者資格者証の写し
– 国家資格の合格証明書・免許証の写し
– 実務経験証明書(様式第9号)(実務経験で証明する場合)
- 常勤性を確認する書類(以下のいずれか)
– 健康保険被保険者証の写し及び健康保険被保険者標準報酬決定通知書の写し
– 住民税特別徴収税額通知書(特別徴収義務者用)の写し
専任技術者が退任(削除)のみの場合
変更届出書(様式第22号の2)および専任技術者証明書(様式第8号)の提出が必要です。資格証明書類・常勤性書類の添付は不要です。
2-3. 届出先
取締役変更と同様に、許可を受けた行政庁に提出します。
3. 届出を怠った場合のリスクと注意事項
3-1. 罰則・処分
| リスク | 内容 |
| 行政処分 | 指示処分・営業停止処分の対象となる可能性がある |
| 罰則 | 建設業法第50条により、6か月以下の懲役又は100万円以下の罰金 |
| 許可更新不可 | 変更届が未提出の状態では、5年ごとの許可更新や業種追加の申請が受理されない |
| 始末書の要求 | 期限を過ぎて届出した場合、遅延理由書(始末書)の提出を求められることがある |
3-2. 実務上の注意点
- 変更届の期限は「変更があった日」から起算します。取締役変更の場合は株主総会決議日または登記日、専任技術者の場合は退職日・異動日等が起算日となります。
- 証明書類(登記されていないことの証明書、身分証明書、登記簿謄本等)には有効期限(発行から3か月以内)があります。取得のタイミングに注意してください。
- 必要書類の詳細は許可行政庁によってローカルルールが存在する場合があります。事前に管轄の行政庁の手引きを確認することを推奨します。
- 期限を過ぎてしまった場合でも、気づいた時点で速やかに届出を行ってください。未提出のまま放置することが最もリスクの高い対応です。
届出期限まとめ
| 変更事項 | 届出期限 | 届出先 |
| 取締役の変更(経管以外) | 30日以内 | 許可行政庁 |
| 取締役の変更(経管兼任) | 14日以内 | 許可行政庁 |
| 専任技術者(営業所技術者等)の変更 | 14日以内 | 許可行政庁 |
作成日:令和8年5月29日
