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「経営事項審査の評点を上げたい」と考えたとき、売上を増やすことだけに集中してはいけません。経営事項審査(経審)の総合評定値Pは、完成工事高、財務内容、技術力、社会性などを複数の角度から評価する制度です。しかも、審査基準日までに整えておかなければ、後から資料を足してもその年度の評価には反映できません。
この記事では、建設業者が自社の評点を上げるために、P・X・Y・Z・Wの関係、優先順位、東京都での準備方法を実務目線で整理します。検索キーワード「経営事項審査 評点 上げ方」で情報を探している方が、今日から着手できるチェックリストも掲載しています。
この記事の結論
- まず直近の結果通知書をP・X1・X2・Y・Z・Wに分解する
- 短期では証拠書類と技術者・社会性項目の取りこぼしをなくす
- 中長期では利益、自己資本、借入、完成工事高、技術者体制を改善する
- 点数だけでなく、入札参加資格や発注者の評価項目まで確認する
経営事項審査の評点は何で決まる?
経審では、経営規模等評価の結果などをもとに、総合評定値Pが算出されます。一般的な整理では、Pは次の5区分を一定の割合で合成した数値です。
P=0.25X1+0.15X2+0.20Y+0.25Z+0.15W
X1・X2=経営規模、Y=経営状況、Z=技術力、W=その他の審査項目(社会性等)
X1は許可業種別の完成工事高、X2は自己資本額や利益、Yは財務比率、Zは技術職員数と元請完成工事高、Wは担い手育成・法令遵守・防災活動・建設機械などを評価します。区分ごとに評点テーブルや確認書類が異なるため、Pだけを見て「何点足りないか」と考えるより、どの区分がボトルネックかを特定することが重要です。
なお、2026年7月1日以降の申請では、社会性等の評価や総合評定値の取扱いに改正があります。対象となる審査基準日、申請時期、再審査の可否は個別に異なるため、最新の東京都の手引きと説明書で確認してください。
評点を上げる前に行う3つの診断
1 結果通知書を区分別に並べる
直近の「経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書」を用意し、P、X1、X2、Y、Z、Wの数値を表にします。さらに、同業・同規模の過去結果や、発注者が求める総合評定値と比較します。改善の余地が大きい区分と、少ない工数で取り戻せる区分は同じとは限りません。
2 許可業種と実績の対応を点検する
完成工事高や元請完成工事高は、許可業種と工事内容の整理が前提です。工事台帳、契約書、請求書、注文書、完成引渡しの記録が一致しているかを確認し、どの業種の実績として計上するかを早めに検討します。工事名だけで判断せず、契約内容と実際の施工範囲を確認することが大切です。
3 審査基準日から逆算する
経審は、審査基準日に在籍している技術者、対象期間の完成工事高、決算書や経営状況分析など、基準日と期間が決まっています。「今から資格を取ればすぐ加点」という制度ではありません。次回の審査基準日を起点に、3か月前、6か月前、1年前の準備項目を工程表にします。
X1・X2を改善する方法|規模と収益の土台
X1:完成工事高は「増やす」だけでなく「正しく残す」
X1は許可業種別の完成工事高が中心です。受注量を増やすことはもちろん、工事台帳を毎月更新し、完成基準・売上計上の時期・業種区分を社内で統一することで、計上漏れや区分誤りを防げます。
ただし、評点のためだけに不自然な受注や売上計上を行うのは危険です。利益率、入金条件、外注費、工期、現場体制まで含めて、継続的に利益が残る受注かを判断します。元請を増やしたい場合は、実績の裏付けとなる契約書、施工体制、完成検査、請求記録を一式で保存してください。
X2:利益と自己資本は一事業年度で急に変えられない
X2では自己資本額や、利払前税引前償却前利益などが評価対象になります。短期的な節税だけを優先すると、利益や自己資本を小さく見せる結果になり、X2やYに影響することがあります。税務上適正な処理を前提に、工事別原価、未成工事支出金、完成工事未収入金、借入金の返済計画を月次で管理します。
経営者が見るべき指標は、売上高だけではありません。工事別の粗利率、完成工事高の増減、営業キャッシュフロー、借入金の返済負担、自己資本比率を並べ、利益が現金として残っているかを確認します。ここは行政書士だけでなく、税理士や金融機関とも連携して改善する領域です。
Yを改善する方法|経営状況は財務の積み重ね
Yは登録経営状況分析機関の分析結果をもとに、負債抵抗力、収益性・効率性、財務健全性、絶対的力量などの観点から評価されます。営業利益を確保し、不要な借入や高金利の負債を整理し、売掛金の回収サイトと未成工事の資金繰りを管理することが基本です。
具体的には、次の順番で確認します。
- 工事別に実行予算と実績原価を比較し、赤字工事を早期発見する
- 請求漏れ、出来高請求の遅れ、長期滞留債権をなくす
- 借入金を目的別に一覧化し、返済額と資金繰りを確認する
- 役員貸付金・仮払金・未収入金など、説明が必要な残高を整理する
- 決算直前だけでなく、月次試算表で改善の効果を追う
財務数値の見栄えを整えるだけでは、経審の改善になりません。日々の現場管理と会計処理をつなげ、決算書の数字を経営判断に使える状態にすることが、Yの改善と資金調達の両方に役立ちます。
Zを改善する方法|技術者体制と元請実績
Zは、許可業種別の技術職員数と元請完成工事高が中心です。技術者の資格・登録、担当業種、雇用関係、常勤性、講習受講の状況を確認し、技術職員名簿と社会保険関係の資料が一致しているかを点検します。審査基準日前に慌てて名義だけを整えるのではなく、普段から人事・資格・現場配置を一元管理してください。
資格取得を支援する場合は、会社の許可業種と受注方針に合う資格から優先します。資格手当だけでなく、受験計画、実務経験の証明、講習の受講、更新期限まで管理すると、技術者の定着にもつながります。元請完成工事高を伸ばすには、見積・契約・施工管理・完成検査の品質を高め、元請として説明できる書類を残すことが欠かせません。
Wを改善する方法|取りこぼしが起きやすい社会性等
Wは、担い手の育成・確保、営業継続、防災活動、法令遵守、建設業経理、研究開発、建設機械、規格認証など、幅広い取組を評価します。CPD、CCUS、就業履歴、ワーク・ライフ・バランスに関する認定、災害協定や防災活動など、制度の対象期間と証明方法が細かい項目もあります。
ここでのポイントは、加点対象になりそうな活動を増やすことより、すでに行っている活動を証明できるようにすることです。例えば、講習の修了証、CPDの記録、CCUSの取組資料、災害協定・活動実績、建設機械の所有またはリース資料、ISO等の登録証、建設業経理に関する資格資料を、年度ごとのフォルダーに整理します。
2026年7月以降は、東京都の説明書で別紙3の様式や評価項目を確認する必要があります。建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度や、対象となる建設機械など、申請時期によって扱いが変わる項目もあるため、古いチェックリストをそのまま使わないでください。
評点改善でやってはいけないこと
- 審査基準日後に取得した資料を、基準日前の実績のように扱う
- 実態のない常勤性や雇用関係を作る
- 業種区分が不明確な工事を、点数の高い業種へ一律に振り替える
- 決算書と工事台帳、契約書、請求書の数字を一致させない
- 他社の書類や証明を流用し、事実確認をしない
経審の評点は、発注者が建設業者を客観的に評価するための制度です。虚偽申請や不適切な資料作成は、評点以前に許可・入札参加・行政処分などの重大な問題につながるおそれがあります。分からない項目は、申請前に行政庁や専門家へ確認してください。
東京都の建設業者向けチェックリスト
- 次回の審査基準日と、総合評定値通知書の有効期限を確認した
- P・X1・X2・Y・Z・Wを一覧にして、改善目標を決めた
- 許可業種別の完成工事高と元請完成工事高を工事台帳で確認した
- 技術職員の資格、雇用、常勤性、講習・CPD・CCUSの資料を確認した
- 決算変更届、経営状況分析、経審申請のスケジュールを逆算した
- Wの証明書類を年度別に整理し、2026年7月以降の最新様式と照合した
- 東京都の最新の手引き・説明書を確認し、必要なら事前相談を予約した
専門家へ相談するタイミング
「何点上がるか」だけを先に尋ねるより、通知書と決算書、工事台帳、技術者資料を並べて、次回審査までに改善可能な項目を洗い出すことが有効です。建設業許可の業種追加、専任技術者の配置、決算変更届、経営状況分析、経審申請は相互に関係します。許可と経審を別々に考えず、一つの工程表で管理しましょう。
建設業許可・経審の準備を、次回審査基準日から逆算しませんか?
東京都の建設業許可や経営事項審査について、現状の資料を確認し、必要な手続きと優先順位を整理します。まずは建設業許可の要件チェックからご確認ください。
まとめ|評点アップは「数字・人・証拠書類」を一体で整える
経営事項審査の評点を上げる方法は、単発の裏技ではありません。Pの構造を理解し、X1・X2で売上と利益の土台を整え、Yで財務の健全性を高め、Zで技術者と元請体制を強化し、Wで日常の取組を証明できる状態にします。
最初に取り組むなら、直近の総合評定値通知書を区分別に分解し、次回審査基準日までの改善項目を「すぐできること」「半年必要なこと」「次年度に回すこと」に分けてください。東京都の最新資料を確認しながら、社内だけで判断しにくい許可業種、技術者、工事実績、証明書類は専門家に早めに相談するのが安全です。
許可・経審・会社全体の手続きをまとめて相談したい方へ
行政書士萩本昌史事務所では、建設業許可を含む許認可手続きと、事業者の状況に合わせた書類準備をサポートしています。事務所案内や相談窓口は、以下の公式サイトからご確認ください。
参考情報
※本記事は2026年8月時点で公開されている情報をもとに、一般的な考え方を整理したものです。評点・加点項目・必要書類は審査基準日、許可区分、申請先、改正内容によって変わるため、実際の申請では最新の公的資料をご確認ください。
