東京都行政書士会世田谷支部所属・目黒区在住の特定行政書士です。

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行政書士萩本昌史事務所
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工事経歴書の書き方|建設業許可・決算変更届で迷わない記載例と提出前チェックリスト【東京都】

工事経歴書の書き方|建設業許可・決算変更届で迷わない記載例と提出前チェックリスト【東京都】
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結論:工事経歴書(様式第二号)は、注文者・元請/下請の別・工事名・工事場所・配置技術者・請負代金の額・工期を、契約書や請求資料と照合しながら、建設工事の種類ごとに用紙を分けて作成します。経営事項審査を受ける場合は、消費税抜きで作成したうえで、元請工事の完成工事高のおおむね7割→全体の完成工事高のおおむね7割という記載順が決まっています。この記事では、東京都知事許可を維持する事業者が迷いやすいポイントを、根拠となる法令と東京都の手引きに沿って、提出前のチェックリストまで含めて解説します。

この記事で分かること

  • 工事経歴書を提出するタイミングと法令上の根拠、準備する資料
  • 様式第二号の各欄に何を記載するか(記載要領のポイント)
  • 経審を受ける場合の記載順(7割ルール)と、税込・税抜の使い分け
  • 東京都(都市整備局建設業課)で提出前に確認したい実務チェックポイント

工事経歴書とは?建設業許可で求められる理由

工事経歴書は、許可を受けようとする業種について、どのような工事を、誰から、いくらで、いつ施工したかを示す書類です。単なる実績紹介ではなく、申請する建設工事の種類と実際の施工実績が対応しているかを、行政庁が確認するための添付書類です。

法令上は、建設業法第6条第1項第1号により、許可申請書に添付すべき書類として定められています。そのため、新規申請、業種追加などの申請時に提出するほか、許可取得後は事業年度終了後の決算変更届(変更届出書・決算報告)に添付します。経営事項審査を申請する場合にも必要になります。

工事経歴書の様式は、建設業法施行規則の別記様式第二号(第二条、第十三条の二、第十三条の三、第十九条の八関係)です。様式や記載要領は改正されることがあるため、国土交通省の許可申請の手続き・様式案内と、東京都知事許可であれば東京都都市整備局「建設業許可 手引、申請書類等」で最新版を確認してから作成するのが安全です。

※東京都知事許可の窓口は「東京都都市整備局 市街地建築部 建設業課」です(都庁第二本庁舎3階南側)。道路・河川を所管する建設局ではありませんのでご注意ください。

いつ提出する?まず期限と申請区分を整理する

1.新規申請・業種追加など

新たに許可を取得する場合や、許可業種を追加する場合は、申請する業種に関係する工事経歴を整理します。実績がない業種を、似た名称の工事で代用できるとは限りません。工事内容、契約形態、施工範囲が申請業種に該当するかを、契約書・注文書・請求書などで確認します。

2.事業年度終了後の決算変更届

許可業者は、建設業法第11条第2項により、毎事業年度終了時の工事経歴書および直前3年の各事業年度における工事施工金額などの書類を、毎事業年度経過後4か月以内に提出しなければなりません。東京都の手引きでも「決算報告 事業年度終了後4か月以内」と明記されています。届出を怠ると、許可の更新や業種追加の審査が進まないだけでなく、監督処分の対象にもなり得ます。

なお東京都では、提出が遅れた決算変更届を複数年度分まとめて1冊にとじ込んで提出することはできません。年度ごとに1冊ずつ作成します。決算作業が終わってから着手すると資料の不足や担当者の記憶違いが起きやすいため、決算月の翌月から工事台帳を整理しておくと安心です。

3.経営事項審査

経審を受ける場合は、工事経歴書が完成工事高や工事種類の確認資料になります。元請・下請の区分、請負代金の額、工期などが、直前3年の各事業年度における工事施工金額(様式第三号)や財務諸表と整合していなければなりません。経審を予定している会社は、工事が完了した時点で必要な情報を記録する運用に切り替えましょう。

作成前にそろえる資料

いきなり様式へ転記するのではなく、まず1年分の工事資料を一覧表にします。最低限、次の資料を工事ごとにまとめます。

  • 請負契約書、注文書、注文請書、契約変更書類
  • 請求書、入金記録、完成・引渡しが分かる資料
  • 工事台帳、原価台帳、現場の作業記録
  • 工事場所が分かる資料と、工期の記録
  • 配置技術者の氏名、資格、主任技術者・監理技術者の別(交代があった場合は交代前の技術者も)
  • 元請からの受注か、一次・二次下請かが分かる契約関係資料

資料が見つからない工事を先に書き始めると、後で数字や名称を修正することになります。工事台帳の一覧と契約書の束に同じ管理番号を付け、確認済み・未確認を色分けするだけでも作業が安定します。

工事経歴書の書き方:様式第二号を欄ごとに確認

建設工事の種類(業種ごとに用紙を分ける)

工事経歴書は、法別表第一に掲げる建設工事の種類ごとに作成します。工事の名称に「内装」「改修」と書いてあっても、それだけで内装仕上工事に決まるわけではありません。実際に請け負った施工内容と、許可業種の区分を確認します。複数の作業を含む工事は、契約範囲と主たる工事を資料で説明できるようにしておきます。

東京都の手引きでは、あわせて次の点が示されています。

  • 工事の実績がない業種でも、建設工事の種類ごとに「実績なし」と記入して添付する(実績のない業種が複数ある場合は、工事経歴書を1枚にまとめてよい)
  • 1件の請負契約を分割して、複数の建設工事の経歴としてはならない

「実績なしの業種は出さなくてよい」と誤解して添付漏れになるケースが少なくありません。許可を受けている全業種分をそろえてください。

記載する期間(完成工事と未成工事)

記載対象は、申請または届出をする日の属する事業年度の前事業年度に完成した建設工事(完成工事)と、前事業年度末において完成していない建設工事(未成工事)です。完成予定年月だけで判断せず、実際の完成・引渡し日で区分します。

税込・税抜と金額の単位

様式の「税込・税抜」は、該当するものに丸を付けます。ここは「どちらでもよい」わけではありません。

  • 経営事項審査を申請する場合は、消費税抜きで作成します。ただし免税事業者は、財務諸表に合わせて税込で作成します。
  • 経営事項審査を申請しない場合は、税込・税抜のいずれかを選び、財務諸表や工事施工金額と統一します。

金額の単位は千円です(様式に印字されています)。端数処理の方法も含めて、様式第三号(直前3年の各事業年度における工事施工金額)や会計帳簿と合わせます。

また、東京都の手引きでは「合計」欄は、この工事経歴書に記入したものの合計ではなく、直前決算期における建設工事の種類ごとの件数および金額を記入するとされています。したがって各業種の合計金額は、様式第三号の各建設工事の合計金額と一致します。7割で記載を打ち切った場合でも、合計欄は打ち切り前の総額である点に注意してください。「小計」欄はページごとの合計です。

注文者、元請・下請、JVの別

注文者は契約書上の商号または名称を確認して記載します。下請工事の場合、「注文者」欄にはその下請工事の直接の注文者の商号または名称を、「工事名」欄にはその下請工事の名称を記載します。

元請工事とは発注者から直接請け負った建設工事をいいます。元請会社から工事を受けていても、施主と直接契約していなければ下請です。共同企業体として行った工事は「JVの別」欄に「JV」と記載し、請負代金の額には共同企業体全体の請負代金の額に出資の割合を乗じた額、または分担した工事額を記載します。

工事名と工事場所

工事名は、工事の場所・内容が分かるよう具体的に記入します。ただし記載要領では、「注文者」および「工事名」の記入に際して、その内容により個人の氏名が特定されることのないよう十分に留意することとされています。個人発注の工事は、東京都の記載例のように注文者を「A」、工事名を「A邸新築工事」などとします。契約書の名称をそのまま写して施主の氏名が出てしまうのは、よくある不備です。

一方で、法人名、店舗・建物・施設の名称(ビル名等)は個人名ではないので、そのまま記入します。社内の略称に置き換えるのではなく、契約書と照合できる具体的な名称にしてください。工事場所は都道府県と市区町村まで記載し、現場名だけで場所が分からない状態を避けます(現場が外国の場合は国名を記入します)。

配置技術者と工期

「配置技術者」欄には、完成工事について、建設業法第26条第1項または第2項の規定により各工事現場に置かれた技術者の氏名と、主任技術者・監理技術者の別を記載します。記載要領で特に注意したいのは次の点です。

  • 施工中に配置技術者の変更があった場合は、変更前の者も含むすべての者を記載する
  • 監理技術者補佐を置いた場合、または特定専門工事に該当して主任技術者を配置しなかった場合は、その旨を記載する

着工年月、完成または完成予定年月は、施工体制台帳や現場記録と照合します。工期が延長されている場合は、変更の経緯が分かる資料を残します。

請負代金の額

請負代金は、契約変更、追加・減額、消費税の扱いを反映した最終的な金額と一致させます。工事の一部を別契約にした場合に、同じ金額を二重に計上しないよう注意してください。記載金額は、請求書の合計と機械的に合わせるのではなく、工事ごとの契約単位で確認します。

工事進行基準を採用している場合、または顧客との契約に基づく義務の履行の状況に応じて収益を認識している場合は、その完成工事高を括弧書きで付記します

「うち、PC・法面処理・鋼橋上部」欄

次の業種の工事経歴書を作成する場合で、該当する工事があるときは、略称に丸を付し、工事ごとに該当する請負代金の額を記載します。記入漏れが多い欄です。

  • 土木一式工事 → プレストレストコンクリート構造物工事(PC)
  • とび・土工・コンクリート工事 → 法面処理工事(法面処理)
  • 鋼構造物工事 → 鋼橋上部工事(鋼橋上部)

解体工事の取扱い

解体工事は、平成28年5月31日までに請け負ったものは「とび・土工」に、平成28年6月1日以降に請け負ったもののうち、解体工事業の許可を受けようとする(または受けている)場合は「解体」に計上し、それ以外は「その他」として取り扱います。過年度分をさかのぼって整理するときに間違えやすいポイントです。

経審を受ける場合の記載順:おおむね7割の考え方

経営事項審査(経営規模等評価)を申請する場合、工事経歴書は金額の大きい工事を並べるだけでは足りません。記載要領で定められた順序は次のとおりです。

  1. 元請工事に係る完成工事について、その請負代金の額の合計額のおおむね7割を超えるところまで、請負代金の額の大きい順に記載する。
  2. それに続けて、①で記載した以外の元請工事および下請工事に係る完成工事について、すべての完成工事に係る請負代金の額の合計額のおおむね7割を超えるところまで、請負代金の額の大きい順に記載する。
  3. さらに続けて、主な未成工事について、請負代金の額の大きい順に記載する。

①②のいずれについても、次の打ち切りルールがあります。

  • 軽微な建設工事(建設業法施行令第1条の2第1項の工事=税込500万円未満、建築一式工事は税込1,500万円未満または木造住宅で延べ面積150㎡未満)については、①②通算で10件を超えて記載する必要はありません
  • 請負代金の額の合計額が1,000億円を超える場合には、その額を超える部分に係る完成工事は記載を要しません。

なお、金額の大きい下請工事があったとしても、必ず元請工事の下に記載します。①で元請工事を全部書き切る必要はなく、②で残りを金額順に続ける形です。

経審を受けない場合

経営規模等評価の申請を行わない場合は、主な完成工事について請負代金の額の大きい順に記載し、それに続けて主な未成工事を請負代金の額の大きい順に記載します。東京都の手引きでは、主な完成工事の目安として10件程度が示されています。

よくある不備と、修正の仕方

不備1:工事の種類と工事内容が合っていない

工事名に含まれる言葉だけで業種を決めると、実際の施工内容とずれることがあります。契約書、見積書、図面、施工範囲を確認し、どの業種の工事として整理したかを社内メモに残します。

不備2:完成工事と未成工事を混同している

工事が終わって引渡しまで済んだものと、決算日時点で施工中のものを分けます。完成予定年月だけで判断せず、実際の完成・引渡し日を確認します。

不備3:元請・下請の区分が請求先と一致しない

請求書の宛名だけでなく、誰と請負契約を結んだかを確認します。一次下請からさらに受注した工事は、契約関係をたどって区分します。

不備4:金額が決算書や工事施工金額と合わない

税込・税抜(経審を受ける場合は税抜)、契約変更、進行基準、工事間の振替を確認します。特に「合計」欄は直前決算期の業種ごとの総額であり、様式第三号と一致しなければなりません。差額が出たら、どの資料のどの数字を採用したか説明できる状態にします。

不備5:注文者名・工事名から個人が特定できてしまう

個人発注の工事で、契約書の名称をそのまま転記して施主の氏名が読み取れる状態になっている例が多く見られます。注文者は「A」、工事名は「A邸○○工事」のように、個人が特定されない書き方にします。逆に、法人名やビル名などは個人名ではないため、略さずそのまま記入します。

不備6:実績のない業種の工事経歴書が添付されていない

許可を受けている業種は、実績がなくても「実績なし」と記入して添付します。実績のない業種が複数ある場合は1枚にまとめて構いません。

不備7:1件の契約を分割して複数件として記載している

件数を増やす目的でも、金額を調整する目的でも、1件の請負契約を分割して複数の建設工事の経歴とすることはできません。

提出前チェックリスト

  1. 申請・届出の対象事業年度(前事業年度)と対象期間を確認した
  2. 許可業種すべてについて用紙を分け、実績のない業種は「実績なし」と記入した
  3. 経審を受ける場合は税抜、受けない場合は選択した区分で統一されている(免税事業者は税込)
  4. 千円単位・端数処理が全体で統一されている
  5. 工事名が場所・内容の分かる具体的な記載になっており、個人の氏名が特定されない
  6. 注文者名が契約書(下請の場合は直接の注文者)と一致している
  7. 元請・下請、JVの別を確認し、JVは出資割合または分担工事額で計上した
  8. 工事場所、配置技術者(交代前を含む全員)、工期を資料と照合した
  9. 完成・未成の区分を決算日時点で確認した
  10. 請負代金が契約変更後の金額になっており、1件の契約を分割していない
  11. PC・法面処理・鋼橋上部の内訳欄、解体工事の分類を確認した
  12. 小計・合計欄を記入し、合計が様式第三号(工事施工金額)および財務諸表と一致している
  13. 経審を受ける場合は記載フローと7割の順序、軽微な工事10件・1,000億円の打ち切りを確認した
  14. 最新の様式・提出先の手引き・提出部数・提出方法(窓口/郵送/電子申請)を確認した

毎年の作成を楽にする社内運用

工事経歴書を年に一度だけ作る会社ほど、資料探しに時間がかかります。おすすめは、工事の受注時・変更時・完成時に、最低限の項目を工事台帳へ入力する方法です。受注時には正式な工事名、契約相手、元請・下請、建設工事の種類、契約金額を登録し、変更契約があれば差額と変更日を追記します。完成時には完成日、最終請負金額、配置技術者(交代があれば全員)、工事場所を確定させます。

決算月の翌月には、工事台帳から「完成」「未成」を分け、契約書の有無と金額の一致を確認します。そのうえで、業種ごとの一覧、元請・下請の区分、完成工事高の集計を行えば、ゼロから記憶をたどる必要がありません。クラウドや表計算を使う場合も、ファイル名の付け方と保存場所を統一し、契約変更前の古い金額が残らないよう履歴を管理します。

社内で判断が分かれやすいのは、複合工事の業種区分、追加工事の扱い、未成工事の計上、元請・下請の区分です。迷った案件だけを「確認待ち」一覧にし、工事経歴書へ転記する前にまとめて確認すると、担当者ごとのばらつきを減らせます。

なお、決算変更届の提出後に内容の誤りが見つかった場合、東京都では既に提出した届出を書き換えることはできず、決算訂正の変更届を1期ごとに作成して提出します。訂正する業種分の工事経歴書を新たに作成して添付する取扱いです。

東京都で迷ったら、書類作成の前に確認すること

東京都知事許可では、申請区分によって必要書類、提出方法、確認資料が異なります。窓口・郵送のほか、国土交通省の「建設業許可・経営事項審査電子申請システム(JCIP)」による電子申請も利用できます(事前にGビズIDの取得が必要です)。

工事経歴書だけを先に完成させても、営業所技術者等(従来の専任技術者)の常勤性、常勤役員等(経営業務の管理責任者等)の経験、社会保険、財務書類など別の確認で止まることがあります。また、決算期内に業種追加等の申請を行った場合は、追加した業種についての工事経歴書と直前3年の工事施工金額の作成も忘れないようにしてください。

特に、業種追加や経審を予定している会社は、工事経歴書を作った後ではなく、作り始める段階で「この工事をこの業種に計上できるか」「資料で説明できるか」を確認するのがおすすめです。提出期限が近い場合は、資料収集、記載、電子申請の準備、補正対応の時間も見込んでください。

工事経歴書・決算変更届をまとめて確認したい方へ

工事経歴書の記載だけでなく、建設業許可の更新、業種追加、決算変更届、経営事項審査まで一体で整理したい場合は、東京都の建設業許可に特化した案内をご覧ください。

東京都の建設業許可サポートを見る →

建設業許可以外の手続きも含めて、まず状況と期限を相談したい場合は、事務所の総合窓口からご連絡ください。初回相談30分無料で、必要な手続きを整理します。

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まとめ:工事ごとの証拠と数字を先にそろえる

工事経歴書の書き方で最も大切なのは、様式の空欄を埋めることではなく、工事ごとの契約・施工・請求・入金・技術者の情報を一つの記録としてつなげることです。工事名、業種、元請・下請、金額、工期が資料と一致していれば、決算変更届や経審の準備も進めやすくなります。

一方で、様式の改正や提出先ごとの運用、経審の記載フローには細かな条件があります。この記事は一般的な整理方法です。実際の申請・届出では、最新の行政庁の手引きと記載要領を確認し、判断に迷う工事は早めに専門家へ相談してください。

参考

※本記事は2026年8月時点で確認できる公開情報(東京都「建設業許可申請変更の手引」令和7年度版を含む)をもとにした一般的な解説です。個別案件の可否、必要書類、提出期限、審査結果を保証するものではありません。最新の様式・手引きは必ず提出先で御確認ください。

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