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結論:工事経歴書は、工事名・元請/下請の別・工事場所・配置技術者・請負代金・工期を、契約書や請求資料と照合しながら、建設工事の種類ごとに整理して作成します。経営事項審査を受ける場合は記載順や完成工事高のおおむね7割という考え方が重要です。この記事では、東京都で建設業許可を維持する事業者が迷いやすいポイントを、提出前のチェックリストまで含めて解説します。
- 工事経歴書を提出するタイミングと、準備する資料
- 様式第2号の各欄に何を記載するか
- 経審を受ける場合の記載順と、よくある不備
- 東京都で提出前に確認したい実務チェックポイント
工事経歴書とは?建設業許可で求められる理由
工事経歴書は、許可を受けようとする業種について、どのような工事を、誰から、いくらで、いつ施工したかを示す書類です。単なる実績紹介ではなく、申請する建設工事の種類と実際の施工実績が対応しているかを、行政庁が確認するための添付書類です。
建設業許可の新規申請、業種追加などの申請時に提出するほか、許可取得後は事業年度終了後の決算変更届に添付する場面があります。経営事項審査を申請する場合にも必要になります。提出先や申請区分によって省略できる書類があるため、更新申請であっても「前回と同じだから大丈夫」と決めつけず、最新の手引きと提出先の案内を確認しましょう。
工事経歴書の基本様式は様式第2号です。ただし、様式や記載要領は改正されることがあります。国土交通省の許可申請の手続き・様式案内、提出先の最新手引き、記載例を確認してから作成するのが安全です。
いつ提出する?まず期限と申請区分を整理する
1.新規申請・業種追加など
新たに許可を取得する場合や、許可業種を追加する場合は、申請する業種に関係する工事経歴を整理します。実績がない業種を、似た名称の工事で代用できるとは限りません。工事内容、契約形態、施工範囲が申請業種に該当するかを、契約書・注文書・請求書などで確認します。
2.事業年度終了後の決算変更届
許可業者は、毎事業年度終了後の届出に、工事経歴書や財務諸表などを添付します。国土交通省の案内では、事業年度終了後4か月以内に提出する扱いが示されています。決算作業が終わってから着手すると、資料の不足や担当者の記憶違いが起きやすいため、決算月の翌月から工事台帳を整理しておくと安心です。
3.経営事項審査
経審を受ける場合は、工事経歴書が完成工事高や工事種類の確認資料になります。元請・下請の区分、公共・民間の区分、請負金額、工期などが、工事施工金額や財務書類と整合していなければなりません。経審を予定している会社は、工事が完了した時点で必要な情報を記録する運用に切り替えましょう。
作成前にそろえる資料
いきなり様式へ転記するのではなく、まず1年分の工事資料を一覧表にします。最低限、次の資料を工事ごとにまとめます。
- 請負契約書、注文書、注文請書、契約変更書類
- 請求書、入金記録、完成・引渡しが分かる資料
- 工事台帳、原価台帳、現場の作業記録
- 工事場所が分かる資料と、工期の記録
- 配置技術者の氏名、資格、主任技術者・監理技術者の区分
- 元請からの受注か、一次・二次下請かが分かる契約関係資料
資料が見つからない工事を先に書き始めると、後で数字や名称を修正することになります。工事台帳の一覧と契約書の束に同じ管理番号を付け、確認済み・未確認を色分けするだけでも作業が安定します。
工事経歴書の書き方:様式第2号を欄ごとに確認
建設工事の種類
申請する業種ごとに作成します。工事の名称に「内装」「改修」と書いてあっても、それだけで内装仕上工事に決まるわけではありません。実際に請け負った施工内容と、許可業種の区分を確認します。複数の作業を含む工事は、契約範囲と主たる工事を資料で説明できるようにしておきます。
税込・税抜と金額の単位
税込・税抜のどちらで記載するかを選び、途中で混在させないことが大切です。様式では千円単位の記載が求められるため、端数処理の方法も含めて、工事施工金額や会計帳簿と合わせます。契約金額と完成工事高が異なる場合は、工事進行基準などの会計処理を含めて根拠を説明できるようにします。
注文者、元請・下請、JVの別
注文者は契約書上の名称を確認して記載します。元請工事か下請工事かは、実際の契約相手との関係で判断します。元請会社から工事を受けていても、施主と直接契約していなければ下請になることがあります。JVの場合は、JVの別や自社の立場を記載要領に従って整理します。
工事名と工事場所
工事名は、契約書に記載された名称を勝手に略さず、できるだけそのまま記載します。同じ現場で追加工事や変更契約がある場合は、どの契約の工事かが分かるようにします。工事場所は都道府県と市区町村まで確認し、現場名だけで場所が分からない状態を避けます。
配置技術者と工期
配置技術者の氏名、主任技術者または監理技術者の区分、着工年月、完成または完成予定年月を、施工体制台帳や現場記録と照合します。技術者が途中で交代している場合や、工期が延長されている場合は、変更の経緯が分かる資料を残します。
請負代金の額
請負代金は、契約変更、追加・減額、消費税の扱いを反映した最終的な金額と一致させます。工事の一部を別契約にした場合に、同じ金額を二重に計上しないよう注意してください。記載金額は、請求書の合計と機械的に合わせるのではなく、工事ごとの契約単位で確認します。
経審を受ける場合の記載順:おおむね7割の考え方
経審を申請する場合、工事経歴書は金額の大きい工事を並べるだけでは足りません。一般的な記載フローは、まず元請工事について、元請に係る完成工事高の合計額のおおむね7割を超えるところまで、請負金額の大きい順に記載します。その後、まだ記載していない元請工事と下請工事を含め、全完成工事高のおおむね7割を超えるところまで金額の大きい順に続けます。最後に、主な未成工事を請負代金の大きい順に記載します。
ただし、軽微な工事の件数上限や、1,000億円を超える場合の扱い、経審を受けない場合の簡略な記載方法など、例外と条件があります。国土交通省の工事経歴書の記載フローと注意事項を読み、提出先の記載例に合わせてください。
よくある不備と、修正の仕方
不備1:工事の種類と工事内容が合っていない
工事名に含まれる言葉だけで業種を決めると、実際の施工内容とずれることがあります。契約書、見積書、図面、施工範囲を確認し、どの業種の工事として整理したかを社内メモに残します。
不備2:完成工事と未成工事を混同している
工事が終わって引渡しまで済んだものと、決算日時点で施工中のものを分けます。完成予定年月だけで判断せず、実際の完成・引渡し日を確認します。
不備3:元請・下請の区分が請求先と一致しない
請求書の宛名だけでなく、誰と請負契約を結んだかを確認します。一次下請からさらに受注した工事は、契約関係をたどって区分します。
不備4:金額が決算書や工事施工金額と合わない
税込・税抜、契約変更、進行基準、工事間の振替を確認します。差額が出たら、どの資料のどの数字を採用したか説明できる状態にします。
不備5:契約書の工事名を短く書き換えている
社内の略称は便利ですが、行政提出書類では契約書の正式名称と照合できることが重要です。工事名を略す必要がある場合は、提出先の記載要領に従い、元の名称を別紙管理します。
提出前チェックリスト
- 申請・届出の対象事業年度と対象期間を確認した
- 申請する建設工事の種類ごとに用紙を分けた
- 税込・税抜、千円単位、端数処理が全体で統一されている
- 工事名・注文者名が契約書と一致している
- 元請・下請、公共・民間、JVの別を確認した
- 工事場所、配置技術者、工期を資料と照合した
- 完成・未成の区分を決算日時点で確認した
- 請負代金が契約変更後の金額になっている
- 工事施工金額、財務諸表、会計帳簿と数字を突合した
- 経審を受ける場合は記載フローと7割の順序を確認した
- 最新の様式・提出先の手引き・提出部数を確認した
毎年の作成を楽にする社内運用
工事経歴書を年に一度だけ作る会社ほど、資料探しに時間がかかります。おすすめは、工事の受注時・変更時・完成時に、最低限の項目を工事台帳へ入力する方法です。受注時には正式な工事名、契約相手、元請・下請、建設工事の種類、契約金額を登録し、変更契約があれば差額と変更日を追記します。完成時には完成日、最終請負金額、配置技術者、工事場所を確定させます。
決算月の翌月には、工事台帳から「完成」「未成」を分け、契約書の有無と金額の一致を確認します。そのうえで、業種ごとの一覧、元請・下請の区分、完成工事高の集計を行えば、ゼロから記憶をたどる必要がありません。クラウドや表計算を使う場合も、ファイル名の付け方と保存場所を統一し、契約変更前の古い金額が残らないよう履歴を管理します。
社内で判断が分かれやすいのは、複合工事の業種区分、追加工事の扱い、未成工事の計上、元請・下請の区分です。迷った案件だけを「確認待ち」一覧にし、工事経歴書へ転記する前にまとめて確認すると、担当者ごとのばらつきを減らせます。
東京都で迷ったら、書類作成の前に確認すること
東京都の建設業許可では、申請区分や許可行政庁によって必要書類、提出方法、確認資料が異なります。工事経歴書だけを先に完成させても、専任技術者の常勤性、経営業務の管理責任者の経験、社会保険、財務書類など別の確認で止まることがあります。
特に、業種追加や経審を予定している会社は、工事経歴書を作った後ではなく、作り始める段階で「この工事をこの業種に計上できるか」「資料で説明できるか」を確認するのがおすすめです。提出期限が近い場合は、資料収集、記載、押印・電子申請、補正対応の時間も見込んでください。
工事経歴書・決算変更届をまとめて確認したい方へ
工事経歴書の記載だけでなく、建設業許可の更新、業種追加、決算変更届、経営事項審査まで一体で整理したい場合は、東京都の建設業許可に特化した案内をご覧ください。
建設業許可以外の手続きも含めて、まず状況と期限を相談したい場合は、事務所の総合窓口からご連絡ください。初回相談30分無料で、必要な手続きを整理します。
まとめ:工事ごとの証拠と数字を先にそろえる
工事経歴書の書き方で最も大切なのは、様式の空欄を埋めることではなく、工事ごとの契約・施工・請求・入金・技術者の情報を一つの記録としてつなげることです。工事名、業種、元請・下請、金額、工期が資料と一致していれば、決算変更届や経審の準備も進めやすくなります。
一方で、様式の改正や提出先ごとの運用、経審の記載フローには細かな条件があります。この記事は一般的な整理方法です。実際の申請・届出では、最新の行政庁の手引きと記載要領を確認し、判断に迷う工事は早めに専門家へ相談してください。
※本記事は2026年8月時点で確認できる公開情報をもとにした一般的な解説です。個別案件の可否、必要書類、提出期限、審査結果を保証するものではありません。
