東京都行政書士会世田谷支部所属・目黒区在住の特定行政書士です。

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建設業許可の専任技術者は兼務できる?同一営業所・経営業務管理責任者・工事現場のルールを東京都向けに解説【2026年版】

建設業許可の専任技術者は兼務できる?同一営業所・経営業務管理責任者・工事現場のルールを東京都向けに解説【2026年版】
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建設業許可を取得・維持する会社では、「専任技術者を一人で複数の業種に置けるのか」「経営業務の管理責任者と兼務できるのか」「本店と支店の両方を担当できるのか」という相談がよくあります。人材が限られる中小建設業者にとって、専任技術者の兼務は許可取得の可否や変更届の要否に直結する重要な論点です。

結論からいうと、同一営業所内で複数業種の営業所技術者等(旧称・専任技術者)を兼ねることは、資格・実務経験の要件を満たす限り可能です。一方、別々の営業所を一人で担当することは、営業所ごとの専任性との関係で原則として認められません。また、経営業務の管理責任者や工事現場の主任技術者・監理技術者との兼務には、それぞれ別の条件があります。

この記事では、東京都知事許可を検討する建設業者を想定し、兼務できるケース・できないケース、確認すべき書類、申請前のチェック手順を整理します。

この記事の要点

  • 同一営業所なら、複数業種の営業所技術者等を一人で担当できる場合がある
  • 本店では、経営業務の管理責任者との兼務が認められる場面がある
  • 別営業所との兼務は、営業所ごとの専任性があるため慎重な判断が必要
  • 工事現場との兼務は、令和6年12月13日施行の特例(建設業法第26条の5)を別途確認する

専任技術者(営業所技術者等)とは

建設業許可を受けるには、許可を受けようとする業種について、営業所ごとに一定の資格または実務経験を有する技術者を配置します。令和6年12月13日施行の改正建設業法により、法令上の名称は「営業所技術者」(建設業法第7条第2号)および「特定営業所技術者」(同法第15条第2号)に改められ、この2つをあわせて「営業所技術者等」と呼びます。実務や過去の書類では従来どおり「専任技術者」「専技」と呼ばれることもありますが、指しているものは同じです。

営業所技術者等の役割は、営業所で行われる見積り、入札、請負契約の締結など、建設工事の技術面を確認・管理することです。そのため、単に資格者の名前を登録すればよいのではなく、その営業所に常勤し、担当業務を実際に行える状態であることが求められます。

一般建設業の営業所技術者は、建設業法第7条第2号イ〜ハのいずれかに該当する必要があります。具体的には、指定学科を修めて高校卒業後5年以上(大学・高専卒業後3年以上)の実務経験(イ)、当該業種に関し10年以上の実務経験(ロ)、または国土交通大臣がこれらと同等以上と認定した者=国家資格者等(ハ)です。

特定建設業の特定営業所技術者は、同法第15条第2号イ〜ハにより、1級国家資格等(イ)、一般の要件を満たしたうえで元請として請負代金4,500万円以上の工事に関し2年以上の指導監督的実務経験を有する者(ロ、建設業法施行令第5条の3)、または大臣認定者(ハ)となります。

ここで見落としやすいのが指定建設業の7業種(土木一式・建築一式・電気・管・鋼構造物・舗装・造園)です。この7業種で特定建設業の許可を受ける場合、特定営業所技術者は1級国家資格者(イ)または国土交通大臣の認定を受けた者(ハ)に限られ、指導監督的実務経験(ロ)による要件充足は認められません(建設業法第15条第2号ただし書、同法施行令第5条の2)。兼務を考える場合は、まず「担当するすべての業種について、一般・特定の別に応じた要件を満たすか」を確認しましょう。

同一営業所内で複数業種を兼務する場合

最も典型的な兼務は、同じ本店・支店において、同一人物が複数業種の営業所技術者等を担当するケースです。たとえば、建築一式工事と内装仕上工事、電気工事と消防施設工事など、保有資格や実務経験がそれぞれの業種要件を満たしていれば、一人で複数業種を担当できる場合があります。

ただし、「資格が一つあるから何業種でも担当できる」という意味ではありません。資格区分によって認められる業種は異なり、実務経験で申請する場合は、工事内容と期間を業種ごとに説明できる必要があります。資格者証だけでなく、実務経験証明書や工事実績の裏付けが必要になることもあります。

確認項目 見るポイント
営業所 担当する業種の契約営業を行う同一営業所か
資格・経験 申請するすべての業種で要件を満たすか
常勤性 勤務実態・雇用関係・社会保険等を説明できるか
職務の実行可能性 複数業種を担当しても営業所業務に支障がないか

東京都の手引きでも、同一営業所内であれば、一人で複数業種の営業所技術者等を兼ねられる考え方が示されています。ただし、申請時点の様式や常勤性の確認方法は改定されることがあるため、東京都の建設業許可手引・申請書類で最新版を確認してください。

経営業務の管理責任者との兼務はできるか

「経営業務の管理責任者」は実務上の通称で、法令上は建設業法第7条第1号・同法施行規則第7条第1号にいう「常勤役員等」を指します。この常勤役員等と、同じ営業所の営業所技術者等を一人が兼ねることは、要件を満たす場合に認められます。東京都では常勤役員等は主たる営業所に常勤していることが求められるため、兼務できる相手は主たる営業所の営業所技術者等に限られます。なお、令第3条の使用人(支店長・営業所長等)と営業所技術者等も、同一営業所内であれば兼務できます。会社の規模によっては、代表者や役員が経営業務を管理しながら、技術者としても登録する設計が現実的です。

ただし、兼務できるかどうかは肩書きだけで決まりません。経営業務の管理責任者としての経験要件、営業所技術者等としての資格・実務経験要件、主たる営業所での常勤性をそれぞれ確認します。別の会社で常勤している、他の営業所を実質的に管理している、勤務実態を示す資料が整わないといった事情があれば、兼務が否定される可能性があります。

また、複数の代表取締役を置いている法人では、許可上の代表者との関係や常勤性確認書類が論点になりやすいので、役員構成を変更する前に行政庁の取扱いを確認することが安全です。

本店と支店など、別営業所の兼務は認められない

建設業法第7条第2号・第15条第2号は、いずれも「その営業所ごとに」営業所技術者等を「専任の者として置く」ことを求めています。そのため、本店の営業所技術者等が、支店の営業所技術者等も同時に担当するという設計は認められません。一人が複数の営業所に同時に常勤し、それぞれの営業所で専任の職務を行うことはできないからです。常勤役員等や令第3条の使用人との兼務が同一営業所内に限られるのも、同じ考え方によるものです。

ここで注意したいのは、「同じ会社で働く」ことと「複数営業所の専任技術者を兼ねる」ことは別だという点です。会社全体の技術統括、工事現場の応援、社内研修を担当することと、許可上の営業所技術者等として二つの営業所に登録することは同じではありません。

営業所を移転した、支店を新設した、実態のない営業所を整理したなどの場合は、営業所技術者等の変更・削除・追加が必要になることがあります。営業所の所在地だけでなく、契約締結をどこで行っているか、看板・固定電話・机・帳簿などの実態も確認しましょう。

工事現場の主任技術者・監理技術者との兼務は別制度

営業所技術者等が工事現場の主任技術者・監理技術者を兼ねられるかという論点は、営業所間の兼務とは別に考えます。前提として、工事現場に専任の技術者を置かなければならないのは、公共性のある施設等に関する重要な工事で、請負代金の額が4,500万円(建築一式工事は9,000万円)以上の場合です(建設業法第26条第3項、同法施行令第27条第1項)。この金額に満たない工事であれば、そもそも現場専任は求められません。

そのうえで、令和6年12月13日施行の改正建設業法により、「営業所技術者等に関する主任技術者又は監理技術者の職務の特例」(建設業法第26条の5)が新設されました。一定の要件をすべて満たす場合、営業所技術者は主任技術者の職務を、特定営業所技術者は監理技術者の職務を兼ねて行うことができます。要件には、当該営業所で締結した請負契約に係る工事であること、請負代金の額が政令で定める金額未満であること、営業所と工事現場との移動時間・連絡方法が国土交通省令の基準に適合すること、情報通信技術を利用した措置が講じられていることが含まれ、兼務できる工事現場の数にも上限があります(同条第1項・第2項)。

この特例は、工事現場との距離、連絡体制、現場の施工管理を補助する者の配置、工事の規模・内容など、複数の条件を確認して適用します。単に「人手不足だから兼務できる」「同じ会社だから大丈夫」という制度ではありません。対象工事ごとに、適用可否と必要書類を確認する必要があります。

詳しい制度の趣旨や参考様式は、国土交通省「営業所技術者等の専任現場兼務」で確認できます。営業所技術者等の変更届と、工事現場の配置技術者の確認を混同しないようにしましょう。

兼務の可否を判断する5つのチェックポイント

1.兼務する場所は同じ営業所か

まず、二つの業務が同一営業所内で完結するかを確認します。主たる営業所と従たる営業所、東京本店と地方支店など、所在地が異なる場合は、同一営業所内の複数業種兼務とは扱いません。

2.担当する業種の要件をすべて満たすか

「建築の資格がある」だけでは、内装、電気、管、消防施設などのすべてを担当できるとは限りません。資格区分、実務経験の工事内容、一般・特定の別を業種ごとに一覧化してください。

3.常勤性を示せるか

雇用契約、給与支払い、社会保険、勤務場所など、行政庁が求める常勤性の資料を準備します。東京都では令和8年7月1日から、常勤役員等・営業所技術者等・直接補佐者・令第3条の使用人にかかる常勤性確認書類の取扱いが変更されているため、古い申請書の控えや旧年度の手引だけで判断しないことが大切です。

4.他の会社・他の専任職との重複がないか

他社の技術者、他の許認可で専任を求められる職種、常勤役員等との関係を確認します。名義だけを借りるような配置は、許可後の立入確認や更新時に問題になります。

5.変更届や許可申請のタイミングは適切か

役員変更、営業所の移転、資格者の退職、業種追加などでは、営業所技術者等の変更が発生します。営業所技術者等や常勤役員等に変更があったときは、変更後2週間以内に変更届を提出しなければなりません(建設業法第11条第4項)。商号、営業所の所在地、資本金、役員等の変更は30日以内です(同条第1項)。先に人を動かしてから届出を考えるのではなく、変更日と申請日を整理して、許可要件に空白が生じないように進めます。

申請前にそろえたい資料

  • 現在の建設業許可通知書・許可申請書の控え
  • 営業所の一覧と、各営業所で契約する業種
  • 技術者の資格証、卒業証明、実務経験の資料
  • 雇用契約・給与・社会保険など常勤性を確認できる資料
  • 経営業務の管理責任者や他の技術者の配置状況
  • 工事現場との兼務を検討する場合は、工事概要と配置体制

資料を先に並べると、兼務の可否だけでなく、「業種追加を先にするか」「営業所の変更届を出すか」「技術者を採用するか」といった選択肢も比較しやすくなります。

よくある質問

Q1.一人の技術者が建築と内装の専任技術者を兼ねられますか?

同一営業所で、建築工事業と内装仕上工事業のそれぞれについて資格または実務経験の要件を満たし、常勤性と職務の実行可能性を説明できるなら、兼務できる可能性があります。資格の対象業種と実務経験の内容を確認してください。

Q2.社長ならどの営業所の専任技術者にもなれますか?

社長であることだけで複数営業所の専任技術者になれるわけではありません。営業所ごとの専任性、常勤性、担当業種の要件が必要です。主たる営業所の経営業務の管理責任者との兼務は、別途要件を確認します。

Q3.営業所技術者等が現場に出ると許可違反ですか?

現場に出ることが直ちに違反となるわけではありませんが、専任性と職務への支障が問題になります。専任現場兼務の特例が使える工事かどうか、国土交通省の制度要件を確認して判断してください。

Q4.東京都の申請で常勤性資料は何を出しますか?

必要書類は申請区分や申請時期によって変わります。東京都では令和8年7月1日から常勤性確認資料の取り扱いが変更されています。最新の手引、申請書類、送付票兼審査票を確認し、不明な場合は申請前に行政庁または専門家へ相談してください。

まとめ:兼務は「同じ場所・要件・常勤性」の3点で確認する

建設業許可の専任技術者の兼務は、次の順番で整理すると判断しやすくなります。

  1. 同一営業所内の複数業種兼務なのか、別営業所の兼務なのかを分ける
  2. 担当する各業種の資格・実務経験要件を確認する
  3. 常勤性と、実際に営業所業務を行える体制を確認する
  4. 経営業務の管理責任者や工事現場との兼務は別ルールで確認する
  5. 変更届・業種追加・営業所移転の時期を整理してから申請する

専任技術者の兼務は、人件費を抑えながら許可業種を増やせる可能性がある一方、要件を誤ると申請の補正や許可後の変更対応につながります。特に、複数営業所・役員変更・実務経験証明・現場兼務が重なるケースでは、書類を作り始める前に全体像を確認することが重要です。

東京都の建設業許可で、専任技術者の兼務可否や必要書類を確認したい方へ

営業所の所在地、許可業種、技術者の資格・経験、役員構成を整理したうえで、個別に確認するとスムーズです。

建設業許可専門サイトで要件を確認する

萩本昌史行政書士事務所の相談窓口を見る

参考資料・関係法令

本記事は、次の法令および行政庁の公表資料を参照して作成しています。

※この記事は2026年8月時点で公表されている制度・東京都の案内をもとにした一般的な解説です。個別の許可要件や必要書類は、許可区分、業種、営業所、技術者の勤務実態によって異なります。申請前には最新の行政庁資料をご確認ください。

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