東京都行政書士会世田谷支部所属・目黒区在住の特定行政書士です。

事務所概要

行政書士萩本昌史事務所
代表者 特定行政書士 萩本昌史
所在地 東京都世田谷区北烏山7-25-8-401
TEL  03-6783-6727
FAX  03-6750-2225
お問合せ
Mail       contact@office-hagimoto.com
WEB  https://office-hagimoto.com
https://shoubou.tokyo.jp
休業日 土曜・日曜日・祝日

建設業許可の専任技術者が退職したら?東京都の変更届・後任選び・許可を守る手順【2026年版】

建設業許可の専任技術者が退職したら?東京都の変更届・後任選び・許可を守る手順【2026年版】
目次[閉じる]

結論:建設業許可を取得している会社で専任技術者(現在の法令・東京都の様式では「営業所技術者等」)が退職する場合、まず後任候補の要件と常勤性を確認し、変更内容に応じた届出を原則として変更後2週間以内に許可行政庁へ提出します。後任が決まらないまま放置すると、営業所の許可要件を満たせなくなり、受注や更新に影響するおそれがあります。

本記事では、「建設業許可 専任技術者 退職」と検索している経営者・担当者に向けて、東京都知事許可を前提に、退職の予定が分かった時点から変更届提出後までの実務を整理します。営業所技術者等の交代、後任がいない場合、一般建設業と特定建設業の違い、2026年7月から東京都で変わった常勤性確認資料もまとめました。

この記事で分かること

  • 専任技術者が退職するときに最初に確認すること
  • 後任者の資格・実務経験・常勤性のチェックポイント
  • 東京都へ提出する変更届と添付書類の考え方
  • 後任が間に合わない場合の選択肢と避けるべき対応

1. 専任技術者が退職すると、建設業許可はどうなる?

建設業の営業所では、請負契約の見積り、入札、契約締結などを適正に行うため、許可を受ける業種に応じた営業所技術者等を営業所ごとに専任で置く必要があります。長く「専任技術者」と呼ばれてきたこの役割は、令和6年(2024年)12月13日施行の改正建設業法により、法律上の名称が「営業所技術者」(一般建設業/建設業法第7条第2号)および「特定営業所技術者」(特定建設業/同法第15条第2号)に改められました。この2つを合わせた総称が「営業所技術者等」です。呼称の変更であり、求められる資格・実務経験の要件そのものが緩和されたわけではありません。

つまり、技術者が退職して営業所に誰もいなくなると、単なる人事異動ではなく、建設業許可の要件に関わる変更です。退職日を過ぎても許可が自動的に一定期間維持される、と考えてしまうのは危険です。営業所ごとに営業所技術者等を専任で置くことは、許可を受けるための基準そのものです(建設業法第7条第2号、特定建設業は同法第15条第2号)。そして、この基準を満たさなくなった場合、許可行政庁は許可を取り消さなければならないと定められています(同法第29条第1項第1号)。国土交通省も、許可取得後に営業所技術者等が不在となった場合は許可の取消しの対象等になり得るとして注意を促しています。

ただし、退職予定が分かった段階で、後任者の要件を確認し、会社の在籍状況と変更日を整理して、適切な変更届を出せば、許可を維持できる可能性があります。重要なのは「退職してから考える」のではなく、退職日を基準に逆算することです。

「工事現場の技術者」と「営業所技術者等」は別の確認が必要

工事現場に置く主任技術者・監理技術者と、営業所に置く営業所技術者等は役割が異なります。営業所技術者等の退職では、営業所の許可要件を確認しなければなりません。一方、退職者が工事現場の専任技術者を兼ねている場合は、現場ごとの配置や引継ぎも別途確認が必要です。当サイトには、営業所技術者等の兼務ルールを整理した専任技術者の兼務に関する解説もあります。

2. 退職が分かったら行う5つの初動

Step1 許可業種と所属営業所を一覧にする

まず、退職予定者がどの営業所で、何業種の営業所技術者等として登録されているかを確認します。建設業許可通知書、許可申請書の営業所技術者等一覧表、直近の変更届の控えなどを突き合わせ、登録業種に漏れがないかを見ます。同じ人が複数業種を担当している場合、一部の業種だけ後任を置けるケースもあるため、業種単位で整理します。

Step2 退職日・最終出勤日・変更日を分けて確認する

退職日、最後に出勤する日、会社が営業所技術者等として扱える最終日が一致しないことがあります。社会保険や給与の在籍資料、雇用契約、退職辞令などとも整合させてください。変更届の期限は「いつから変更が生じたか」と結び付くため、日付の整理が曖昧だと補正の原因になります。

Step3 後任候補の要件と常勤性を同時に確認する

資格を持っているだけでは足りません。許可業種に対応する資格・実務経験があるか、その営業所に常勤していると説明できるかを同時に確認します。候補者が別会社の役員・従業員、個人事業の専従者、他営業所の技術者などを兼ねている場合は、常勤性に疑義が生じることがあります。

Step4 空白が出る場合の影響を経営判断する

後任者が退職日までに決まらない場合、許可業種の一部廃業、営業所の変更、採用・出向による体制整備など、複数の選択肢を比較します。許可を持つ業種であっても、営業所技術者等が不在のまま新規契約を進めるのは避け、受注予定や工事の継続に与える影響を許可行政庁へ確認します。

Step5 東京都の最新手引と様式で届出を準備する

東京都は様式や常勤性の確認資料を更新します。令和8年(2026年)7月1日からは、常勤役員等(経管)、営業所技術者等(専技)、直接補佐者、令3条の使用人について、常勤性確認書類の取扱いが変更されました。古い控えをそのまま流用せず、東京都の最新手引・案内で確認してから提出しましょう。

3. 後任の営業所技術者等に必要な条件

許可業種に応じた資格・実務経験

後任者は、一般建設業か特定建設業か、担当する建設業の種類は何かによって必要な要件が変わります。国家資格等で要件を満たす場合は資格証の写し、実務経験で要件を満たす場合は実務経験証明書や経験を裏付ける資料が必要になります。特定建設業では、一般建設業より高い技術要件が求められることがあるため、「一般許可の担当者をそのまま特定許可へ移せる」とは限りません。

実務経験ルートを検討する場合は、経験年数だけでなく、どの業種の工事に関する経験か、経験期間が重複していないか、勤務先・工事内容を証明できるかを確認します。経験資料の整理方法については、実務経験要件の確認に関する記事も参考になります。

営業所への常勤性

営業所技術者等は、原則としてその営業所に常勤して専任する立場です。資格者を名義だけ借りる、別会社の仕事を継続しながら登録する、実際には別の場所で勤務しているのに営業所勤務として申請する、といった対応は認められません。テレワークや複数営業所との関係は個別条件があるため、会社の勤務実態・営業所の所在地・担当業種を一体で確認します。

経営業務の管理責任者等との兼務

同一営業所内で、営業所技術者等と常勤役員等(経営業務の管理責任者等)を兼ねることが可能な場合があります。しかし、常勤性や職務の実態を満たす必要があり、誰でも兼務できるわけではありません。複数営業所をまたぐ兼務、工事現場との兼務、特定建設業の専任配置はさらに慎重な確認が必要です。

4. 東京都へ提出する変更届の考え方

届出期限は原則2週間以内

営業所技術者等の交代、追加、削除、担当業種の変更などは、変更内容に応じて定められた期限内に届出を行います。退職に伴う交代・削除は、変更後2週間以内に届け出ます。これは運用上の目安ではなく法定の期限です。後任者を置いて交代する場合は建設業法第11条第4項、後任者がおらず許可の基準(同法第7条第2号)を満たさなくなる場合は同条第5項が根拠となり、いずれも2週間以内とされています。東京都都市整備局『建設業許可申請・変更の手引』でも、営業所技術者等(専技)の変更は「変更後2週間以内」と明記されています(役員等・商号・営業所などの変更は30日以内、決算変更届は事業年度終了後4か月以内で、期限が異なる点に注意してください)。期限を過ぎた場合も放置せず、遅れた理由を整理して速やかに許可行政庁へ相談してください。届出をしないまま放置すると、6月以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金の対象になり得ます(建設業法第50条第1項第2号・第3号)。また東京都では、必要な届出がない状態では、般・特新規申請、業種追加申請、更新申請、事前認可申請が受け付けられません。更新直前に過去の未届出が発覚して間に合わない、という事態を避けるためにも、期限内の提出が重要です。

よく使われる書類の例

書類・資料 主な役割
変更届出書(様式第22号の2) 退職・交代など変更の概要を届け出る
営業所技術者等証明書(様式第8号) 後任者の担当業種・資格等を確認する
営業所技術者等一覧表(別紙4) 営業所ごとの技術者配置を整理する
資格証・実務経験証明書等 後任者が要件を満たすことを証明する
常勤性の確認資料 変更日時点の在職・常勤を確認する

後任者がいない状態で営業所技術者等を削除する場合は、交代の場合と必要書類が異なります。東京都の手引では、後任者がおらず技術者を削除するのみの場合、届出書(様式第22号の3)を添付し、この場合は必ず一部廃業を伴うため廃業届(様式第22号の4)もあわせて必要とされています。なお交代の場合は、前任者と後任者双方の確認資料が必要です。一部廃業の届出期限は通常「廃業後30日以内」ですが、営業所技術者等の変更を伴って一部廃業(あわせて営業所の新設・廃止、業種追加・業種廃止を届け出る場合を含む)を提出するときは、東京都の手引により変更後2週間以内とされています。複数の届出が重なるときは、短い方の期限に合わせて準備してください。必要書類は、許可区分、変更内容、東京都への提出方法によって変わるため、最新様式のチェックが必要です。

2026年7月以降の常勤性確認に注意

東京都は令和8年(2026年)7月1日から、建設業許可の申請・変更届における常勤性確認書類の取扱いを変更しています。法人の場合は、まず「申請者への所属を証明する資料」(健康保険・厚生年金保険被保険者に関する標準報酬決定通知書の写し、資格取得確認及び標準報酬決定通知書の写し、住民税特別徴収税額通知書(徴収義務者用)の写し、直近決算の法人用確定申告書の写しなど)が必要で、その資料に生年月日の記載がない場合は、健康保険の資格確認書の写し・運転免許証の写し(両面)・発行後3か月以内の住民票のいずれかを併せて提出します。個人事業主の場合は、他の事業者の社会保険へ加入していないことを証する直近決算の所得税確定申告書の写しと、生年月日を確認できる資料が必要です。後任者の在職が確認できる書類があるか、法人か個人事業主か、資料に事業所名や生年月日が記載されているかによって追加資料が必要になる場合があります。退職者と後任者の変更日時点の在職状況を、同じ基準で説明できるように準備することが重要です。

5. 退職日までに後任が決まらない場合の対応

やってはいけない3つの対応

  • 後任者の要件を確認せず、資格証だけを借りて名前を登録する
  • 退職日を実態と違う日付にして、届出期限を先送りする
  • 営業所技術者等が不在のまま、許可業種の新規契約を通常どおり進める

これらは許可要件、常勤性、届出内容の正確性に関わるため避けます。特に名義だけの登録は、後の更新、立入確認、経営事項審査などで問題が表面化しやすい対応です。

現実的な選択肢を比較する

候補者が社内にいない場合は、採用、適法な出向、担当業種の整理、営業所の再編、許可業種の一部廃止などを比較します。いつまでに何を決めるかを、退職日・工事契約・許可更新日から逆算してください。後任者の資格取得を待つ方法は、試験日や登録時期があるため、短期の空白解消策にはならないことがあります。

迷ったら、最初に作るべき1枚

「営業所名/許可業種/退職日/後任候補/資格・経験ルート/常勤性資料/提出期限/工事への影響」を1枚にまとめると、社内判断と行政書士への相談が早くなります。

6. よくある質問

Q1. 退職者が有給消化中なら、まだ専任技術者として扱えますか?

有給消化だけで直ちに結論が決まるわけではありません。雇用関係、在職日、常勤性、実際の勤務状況を踏まえた判断が必要です。退職日と変更日を曖昧にせず、東京都の確認資料に沿って整理してください。

Q2. 後任者が同じ資格を持っていれば、すぐ交代できますか?

資格だけでは不十分です。担当業種、一般・特定の許可区分、営業所への常勤性、必要書類を確認します。資格区分が対象業種に対応しているかも必ず確認してください。

Q3. 専任技術者が退職した日から2週間は営業できますか?

2週間は届出の期限(建設業法第11条第4項・第5項)であって、要件を満たさないまま営業してよい猶予期間ではありません。営業所技術者等を欠いた時点で許可の基準(同法第7条第2号)を満たさない状態となり、許可の取消事由(同法第29条第1項第1号)に当たり得ます。空白が生じる場合は、受注・契約・工事継続への影響を含め、すぐに許可行政庁へ確認します。

Q4. 一人の技術者を2つの営業所に置けますか?

営業所ごとの専任性が原則です。複数の営業所を1人で兼ねることは認められません(建設業法第7条第2号・第15条第2号)。ここで混同されやすいのが、令和6年12月13日施行の改正で新設された兼務の特例(同法第26条の5)です。これは営業所どうしの兼務を認めるものではなく、その営業所で締結した請負契約に係る工事について、営業所技術者等が「工事現場」の主任技術者・監理技術者の職務を兼ねられるという制度です。請負代金の額が1億円未満(建築一式工事は2億円未満/建設業法施行令第33条)であること、兼ねられる工事現場は1か所まで(同令第34条)、営業所と現場との移動時間・連絡方法の要件、情報通信技術を利用した確認措置など、法定の要件をすべて満たす場合に限られます。

Q5. 東京都知事許可ではどこへ出しますか?

東京都都市整備局の建設業課が案内する提出方法・窓口に従います。郵送対応の可否や常勤性資料は更新されることがあるため、最新の東京都「建設業許可 手引、申請書類等」を確認してください。

Q6. 相談だけでも依頼できますか?

はい。退職日が迫っている場合は、許可業種と人員配置を先に確認し、後任候補の資格証・職歴資料と直近の許可申請書控えを用意すると、相談がスムーズです。

まとめ:退職日から逆算して、許可業種と後任要件を同時に確認する

建設業許可の専任技術者が退職するときは、次の順番で動くと判断しやすくなります。

  1. 退職者の所属営業所と担当許可業種を一覧化する
  2. 退職日・変更日・届出期限を確定する
  3. 後任候補の資格・実務経験・常勤性を確認する
  4. 東京都の最新様式と添付資料をそろえる
  5. 空白が生じる場合は、受注・契約・許可業種の扱いを先に相談する

営業所技術者等の変更は、単なる人事手続きではなく、建設業許可の継続に関わる手続きです。退職が決まった段階で、許可通知書や直近の変更届控えを見ながら、後任を置ける業種・置けない業種を切り分けておきましょう。

専任技術者の退職、後任要件、変更届をまとめて確認しませんか?

退職日が迫っている会社ほど、許可業種・営業所・後任候補を一緒に確認することが大切です。行政書士萩本昌史事務所では、東京都の建設業許可に関する変更手続きと、必要書類の整理をサポートしています。

変更届・後任要件を個別に相談する

まずは無料で許可要件を確認

「今の人員で許可要件を満たせるか」「後任候補でどの業種を担当できるか」を無料3分診断で確認できます。

建設業許可・要件チェック(無料3分診断)

参考:公的情報

※本記事は2026年8月10日時点の法令(建設業法・建設業法施行令)および東京都都市整備局『建設業許可申請・変更の手引(令和7年度版)』ほかの公開情報をもとにした一般的な解説です。個別の許可区分、営業所の状況、工事契約の内容によって必要な手続きが変わるため、提出前に許可行政庁または専門家へ確認してください。

この記事をシェアする

記事一覧へ戻る

関連記事 Relation Entry

目次