民泊開設の消防手続の注意点

民泊を開設する際には、法令に基づいた届出や設備の設置が必要です。​特に、東京都内では各行政区によって追加の制限が設けられている場合があります。​また、消防法に基づき、適切な消防設備の設置も義務付けられています。以下に詳細を説明します。​


1. 民泊開設に必要な届出要件

民泊を運営するためには、以下の法令に基づく手続きが必要です。​

① 住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく届出

住宅宿泊事業を営む場合、都道府県知事への届出が必要です。​この届出には、以下の要件を満たす必要があります。​c

  • 住宅の要件:​台所、浴室、トイレ、洗面設備が設置されていること。​
  • 居住要件:​年間の宿泊提供日数が180日を超えないこと。​
  • 衛生管理:​清掃やリネン類の交換、ゴミの適切な処理などの衛生管理が行われること。​
  • 安全確保:​非常用照明器具の設置や避難経路の確保など、安全対策が講じられていること。​

② 旅館業法に基づく許可

提供日数や施設の形態によっては、旅館業法に基づく許可が必要となる場合があります。​特に、年間提供日数が180日を超える場合や、簡易宿所として運営する場合は、旅館業法の適用を受けます。​


2. 東京都内の行政区による制限

東京都内では、各行政区が独自の条例やガイドラインを設けており、民泊運営に関して追加の制限や要件が課されることがあります。​具体的な制限内容は区ごとに異なるため、以下の点に注意が必要です。​

  • 営業日数の制限:​年間提供日数が180日以内であっても、特定の期間や曜日に営業が制限される場合があります。​
  • 地域要件:​住宅専用地域など、特定の用途地域での民泊営業が制限されている場合があります。​
  • 近隣対策:​近隣住民への事前説明や同意が必要とされる場合があります。​

これらの制限は各区の条例やガイドラインによって異なるため、民泊を開設する予定の行政区の担当部署に直接確認することが重要です。​


3. 設置が義務となる消防設備

民泊施設では、消防法に基づき、適切な消防設備の設置が義務付けられています。​必要な設備は、施設の規模や形態によって異なります。​

① 消火器

建物の延べ面積が150㎡以上の場合、消火器の設置が必要です。​各階ごとに、全ての部分から歩行距離20m以下となる位置に設置することが求められます。

② 自動火災報知設備

建物の延べ面積が300㎡以上の場合、全館に自動火災報知設備の設置が必要です。​延べ面積が300㎡未満の小規模な建物の場合、簡易的に取り付けられる「特定小規模施設用自動火災報知設備」の設置が認められることがあります。 ​f

③ 誘導灯

宿泊施設として取り扱われる部分には、避難口や通路に誘導灯の設置が必要です。​ただし、特定の条件を満たす場合、設置が免除されることもあります。 ​

④ 防炎物品

宿泊施設として取り扱われる部分のカーテン、じゅうたん等は、防炎物品とする必要があります。​


以上のように、民泊を開設する際には、法令や地域の規制に基づいた適切な手続きと設備の設置が求められます。​具体的な要件や制限は、施設の所在地や規模によって異なるため、事前に関係当局に確認し、適切な対応を行うことが重要です。