
今回は、現在「技術・人文知識・国際業務」ビザで日本に在留している外国人の方が、建設業(現場作業などに従事するために必要なビザの変更方法について、詳しく解説していきます。
現行制度では、「技術・人文知識・国際業務」ビザ保持者は原則として現場作業に従事できません。そこで、建設業に従事できるビザへの適切な変更方法を知っておくことが重要です。
この記事では、
- 特定技能1号への変更方法
- 定住者への変更方法
- 永住者への変更方法
の3パターンに分け、要件・準備書類・手続きの流れを徹底解説します。
1. 技術・人文知識・国際業務ビザとは?
まず前提として、「技術・人文知識・国際業務」ビザは、**ホワイトカラー職種(事務職・通訳・設計・営業・マーケティングなど)**で活動する外国人向けの在留資格です。
建設業における**現場作業(型枠工事、大工、土木作業など)**は、このビザの活動内容には該当せず、原則不可とされています。
そのため、現場作業を行いたい場合は、別の在留資格への変更が必要となります。
2. 特定技能1号に変更する場合
2-1 特定技能1号とは?
「特定技能1号」は、建設業を含む特定14分野で一定の技能水準を満たした外国人が、現場作業に従事できる在留資格です。
建設分野では、例えば、型枠施工、左官、電気工事、鉄筋施工、土工などの業種が対象です。
2-2 要件
- 分野別の特定技能評価試験(建設分野)に合格すること
- 日本語能力試験N4以上または国際交流基金日本語基礎テスト合格
- 建設キャリアアップシステム(CCUS)への登録(現場配属前に必要)
2-3 必要書類
- 在留資格変更許可申請書
- パスポート・在留カード
- 雇用契約書(建設業種での雇用)
- 会社概要書
- 特定技能試験合格証明書
- 日本語試験合格証明書
- 建設キャリアアップシステム登録確認書
- 住民票、納税証明書
2-4 手続きの流れ
- 特定技能評価試験に合格
- 日本語試験に合格
- 雇用契約締結
- 建設キャリアアップシステム登録
- 在留資格変更許可申請(出入国在留管理局)
- 許可後、特定技能1号のビザ取得
2-5 ポイント
- 雇用企業が出入国在留管理庁に登録されていること(特定技能受入機関の登録)
- 特定技能1号は最長5年まで在留可能(ただし家族帯同原則不可)
3. 定住者に変更する場合
3-1 定住者とは?
「定住者」は、出入国在留管理庁が個別に事情を考慮して許可する在留資格で、比較的自由に職業を選べます。建設業の現場作業も可能です。
3-2 要件
- 日本人の配偶者や永住者の配偶者との離婚・死別等の事情がある
- 日系3世・4世などの特別な血縁背景がある
- 中長期滞在中に特別な事情(難民認定者、定住許可を受けた者など)がある
「技術・人文知識・国際業務」ビザ保持者単独では定住者への変更は原則困難ですが、例外的に以下のようなケースで認められることがあります。
例:
- 日本で長期間(例えば10年以上)安定して就労・納税し、社会統合が進んでいる
- 家族事情(日本人配偶者との子供の養育責任など)が認められる
3-3 必要書類
- 在留資格変更許可申請書
- 理由書(なぜ定住者へ変更する必要があるか)
- 生活状況を証明する書類(所得証明書、納税証明書、在職証明書など)
- 戸籍謄本や住民票(家族関係証明)
3-4 手続きの流れ
- 生活実態、経済状況などを整える
- 理由書を作成
- 在留資格変更許可申請を提出
- 出入国在留管理局の審査
- 許可されれば定住者ビザへ変更
3-5 ポイント
- 許可されるかは個別審査(出入国在留管理局の裁量)
- 理由書の作成が極めて重要
4. 永住者に変更する場合
4-1 永住者とは?
「永住者」は、在留活動や就労に制限がなく、日本人とほぼ同等の自由度で生活・労働できる在留資格です。もちろん建設業の現場作業も可能です。
4-2 要件
- 日本に原則10年以上継続して在留していること
- そのうち就労資格で5年以上在留していること
- 素行が善良であること(犯罪歴がないこと)
- 独立して生計を営めること(一定以上の収入・納税実績)
年収300~400万 扶養家族の人数が増えるとさらに収入要件が厳しくなる。 - 原則として在留期間が3年以上の在留資格を持っていること(更新時の年数)
4-3 必要書類
- 永住許可申請書
- パスポート・在留カード
- 写真(4cm×3cm)
- 納税証明書(市区町村・税務署)
- 住民票
- 在職証明書・源泉徴収票
- 理由書(推奨)
- 身元保証書(身元保証人が必要)
4-4 手続きの流れ
- 必要書類を整備
- 出入国在留管理局へ永住許可申請
- 約6〜12か月の審査期間
- 許可後、永住者ビザへ変更
4-5 ポイント
- 審査期間が非常に長い(半年〜1年)
- 永住許可が下りれば、在留期間の更新手続きが不要に
- 家族帯同、転職、起業も自由
5. 各パターンの比較表
項目 | 特定技能1号 | 定住者 | 永住者 |
---|---|---|---|
建設現場作業 | 可能 | 可能 | 可能 |
家族帯同 | 原則不可 | 可 | 可 |
在留期間 | 最長5年 | 更新制 | 更新不要 在留カードの更新は7年に1度必要 |
難易度 | 試験あり | 個別審査 | 厳しい要件あり |
申請期間 | 比較的短い | 中程度 | 長期間 |
6. まとめ
現在「技術・人文知識・国際業務」のビザで在留している外国人が、建設業の現場作業に従事したい場合は、特定技能1号への変更が最も現実的です。
ただし、将来的に家族帯同や長期安定在留を希望する場合は、定住者や永住者への変更も視野に入れるべきでしょう。
それぞれのビザ変更には、明確な要件と慎重な準備が求められます。失敗しないため
東京都世田谷区で行政書士事務所です。消防計画、建設業許可、在留許可、相続、防火管理などでお悩みの方はお気軽にご相談ください。
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