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1. はじめに
2019年4月に新設された在留資格「特定技能1号」。
この在留資格を取得するためには、原則として、日本語能力試験(JLPT)N4レベル以上の日本語能力が求められます。
この記事では、特定技能1号に必要な「日本語能力試験N4」について、
- 試験の概要
- 出題内容とレベル
- 合格するための勉強方法
- よくある質問(FAQ)
まで、徹底的にわかりやすく解説します。
外国人支援を行う行政書士の方、人事担当者の方、そしてこれから特定技能1号を目指す外国人本人にも役立つ情報を網羅しました。
2. 特定技能1号における日本語能力の要件とは?
2-1. 特定技能1号とは?
「特定技能1号」とは、日本国内の人材不足が深刻な業種(例:外食業、介護、農業、建設など)で、即戦力となる外国人材を受け入れるための在留資格です。
この在留資格を取得するには、大きく分けて2つの要件があります。
要件 | 内容 |
---|---|
技能要件 | 各業種ごとに定められた「技能試験」に合格すること |
日本語要件 | 日本語能力試験N4以上に相当する日本語力を証明すること |
つまり、日本語能力は、特定技能1号を取得するうえで必須条件なのです。
2-2. 日本語力証明の方法
日本語力の証明は、以下のいずれかで可能です。
- 日本語能力試験(JLPT)N4以上に合格する
- 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)に合格する
ここでは「JLPT N4」に焦点をあてて詳しく見ていきます。
3. 日本語能力試験(JLPT)N4とは?
3-1. 日本語能力試験(JLPT)の概要
日本語能力試験(Japanese Language Proficiency Test, JLPT)は、日本語を母語としない人のための日本語試験です。年に2回(7月と12月)実施され、世界各地で受験できます。
レベルは、N1(最難関)からN5(最も易しい)まで5段階に分かれています。
レベル | 難易度 | 目安 |
---|---|---|
N1 | 最難関 | 大学講義を理解できるレベル |
N2 | 難しい | 日常会話とビジネス日本語ができる |
N3 | 中級 | 日常会話がほぼ問題なくできる |
N4 | 初級 | 基本的な日本語が理解できる |
N5 | 入門 | ごく簡単な日本語がわかる |
特定技能1号では「N4以上」が求められるため、N4レベルの合格を目指すことになります。
3-2. N4の試験内容
N4の試験は、以下の3つのセクションに分かれています。
セクション | 時間 | 内容 |
---|---|---|
文字・語彙 | 約30分 | 漢字・単語の読み方、語彙力 |
聴解(リスニング) | 約35分 | 簡単な会話や案内の聞き取り |
読解・文法 | 約60分 | 短い文章の読解、基本文法 |
合計時間は約2時間程度です。
3-3. N4レベルの日本語とは?
日本語能力試験公式サイトによると、N4レベルは以下のように定義されています。
「基本的な日本語を理解することができる。」
つまり、
- 日常生活に必要な基本的な表現
- ゆっくりと話される簡単な会話
- 短い文章(手紙、案内など)
を理解できることが求められます。
例:
- 「この店は何時まで開いていますか?」
- 「昨日、友だちと映画を見ました。」
こういったシンプルな日本語を使いこなせれば、N4レベルに達していると言えるでしょう。
4. 日本語能力試験N4に合格するためのポイント
4-1. 必要な単語と文法
N4合格には、以下が必要です。
- 語彙:約1,500語程度
- 漢字:約300字程度
- 文法:基本的な助詞・時制・敬語の基礎
特に、「て形」「た形」「ない形」など、動詞の活用を正しく使えることが大切です。
4-2. 勉強時間の目安
日本語未経験者がN4レベルに達するためには、約300~400時間の学習時間が必要だとされています。
レベル | 累積学習時間の目安 |
---|---|
N5 | 約150時間 |
N4 | 約300~400時間 |
N3 | 約600時間 |
すでにN5合格レベルの人であれば、さらに150~250時間の追加学習でN4合格が狙えます。
4-3. 効率的な学習方法
N4合格を目指すための具体的な学習法を紹介します。
(1) 単語と漢字を毎日覚える
- 1日10~20個の新しい単語・漢字を学習
- 書いて覚える、声に出して読む
(2) 文法ドリルで練習
- 「みんなの日本語 初級II」「TRY! N4」などの教科書を活用
- 例文を自分で作って、アウトプット重視
(3) リスニングを毎日聞く
- 簡単な日本語のポッドキャスト、ニュース、アニメなど
- 聞き流しではなく、シャドーイング(真似して声に出す)
(4) 模擬試験で実践練習
- 本番に近い模擬試験を解く
- 時間を計って解答するクセをつける
5. よくある質問(FAQ)
Q1. 日本語能力試験N4以外でも申請できますか?
→ はい、可能です。
**「JFT-Basic(国際交流基金日本語基礎テスト)」**に合格しても、日本語力を証明できます。
Q2. JLPT N4はいつ、どこで受験できますか?
→ 日本国内だけでなく、世界各国の会場で受験可能です。年2回(7月・12月)開催されます。受験には事前申込みが必要です。
【参考リンク】
▶ 日本語能力試験公式サイト:https://www.jlpt.jp/
Q3. N4に合格しないと特定技能の試験を受けられませんか?
→ 原則として、日本語試験の合格が求められます。ただし、一部の技能試験では、日本語問題もセットで出題されるケースがあるため、その場合は別途日本語試験が不要なこともあります。
6. まとめ
特定技能1号の取得に向けて、日本語能力試験N4合格は大きな第一歩です。
N4は「初級レベル」ですが、しっかりとした基礎力が問われる試験でもあります。
この記事で紹介した内容を参考に、
- 毎日のコツコツとした学習
- 模擬試験での実戦練習
- 聴解力と読解力のバランス強化
を意識して、着実にN4合格を目指していきましょう!
あなたの日本での活躍を、心から応援しています。
✅ この記事を書いた人
萩本 昌史(行政書士・在留資格専門家)
特定技能・技能実習・永住許可まで、日本で働く外国人のサポート実績多数。ブログでは「在留資格のリアル」をわかりやすく発信中!