
はじめに
日本で安定した生活を送りたい外国人にとって、永住許可の取得は大きな目標の一つです。永住許可を取得することで、在留期間の更新が不要となり、自由な就労が可能になるなど、多くのメリットがあります。しかし、永住許可の申請には厳格な基準が設けられており、慎重な準備が求められます。
本記事では、永住許可の基本的な要件、特例措置、申請の流れ、必要書類について詳しく解説します。
1. 永住許可とは?
永住許可は、外国人が永住者として日本に滞在できる在留資格を得るための手続きです。日本の法務大臣が許可を与える形で、これは在留資格変更の一種とみなされます。
📌 永住許可の特徴
- 在留活動や在留期間に制限がない
- 就労制限がなくなる(どの職種でも働ける)
- 在留資格の更新が不要
- 社会的信用が向上し、住宅ローンなどの審査が通りやすくなる
このように、永住許可を取得することで安定した生活基盤を確保しやすくなります。
2. 永住許可の基本要件
永住許可を取得するためには、以下の3つの主要な法律要件を満たす必要があります。
✅ 2-1. 素行が善良であること
法律を守り、社会的に非難される行為をしていないことが求められます。
📌 具体的な審査基準
- 過去に罰金刑や懲役刑を受けていないこと
- 交通違反の履歴が多くないこと
- 出入国管理違反がないこと
- 税金・社会保険料を適切に納付していること
✅ 2-2. 独立した生計を営む能力があること
安定した収入があり、公共の負担にならないことが求められます。
📌 具体的な審査基準
- 継続した年収が300万円以上あること(家族がいる場合は世帯収入も考慮)
- 正社員、契約社員、または安定した事業を営んでいること
- 生活保護を受給していないこと
- 預貯金が一定額以上あること(審査のプラス要素)
✅ 2-3. 日本国の利益に合致すること
📌 具体的な要件
- 原則として10年以上日本に継続して在留していること
- そのうち5年以上は就労資格(技能実習・特定技能1号を除く)または居住資格での在留が必要
- 公的義務(税金、年金、健康保険)の納付を適切に行っていること
- 在留資格の最長期間を持っていること
- 健康状態に問題がなく、公衆衛生上のリスクがないこと
3. 永住許可の特例(10年在留要件の例外)
通常、永住許可を申請するためには10年以上の継続在留が求められますが、以下の特例に該当する場合、短縮されることがあります。
✅ 3-1. 日本人・永住者の配偶者または子の場合
- 婚姻生活が3年以上継続し、1年以上日本に在留していること
- 日本人の実子の場合は、1年以上日本に在留していること
✅ 3-2. 「定住者」の在留資格を持つ者
- 5年以上継続して日本に在留していること
✅ 3-3. 難民認定者・補完的保護対象者
- 認定後5年以上継続して在留していること
✅ 3-4. 日本への貢献がある者
- 外交、社会、経済、文化等の分野で貢献が認められる者で、5年以上在留していること
✅ 3-5. 高度専門職の場合
- 「高度専門職」のポイント計算で70点以上を取得し、3年以上在留
- 80点以上を取得し、1年以上在留
- 特別高度人材として認定され、1年以上在留
4. 永住許可申請の流れと必要書類
✅ 4-1. 申請の流れ
- 必要書類を準備
- 地方出入国在留管理局に申請を提出
- 審査期間(通常6か月〜1年)
- 許可が下りた場合、永住者の在留カードを受領
✅ 4-2. 必要書類一覧
- 永住許可申請書
- パスポートのコピー
- 在留カードのコピー
- 住民票(世帯全員分)
- 税金・年金の納付証明書(直近3年分)
- 健康保険証のコピー
- 身元保証書(日本人または永住者が保証人になる必要あり)
- 雇用証明書または確定申告書(個人事業主の場合)
5. まとめ
✅ 永住許可は、日本に安定的に滞在し続けるために重要な在留資格である。 ✅ 申請には厳格な基準があり、特に素行の善良性や経済的安定が重視される。 ✅ 原則10年の在留要件があるが、日本人配偶者や高度専門職などは短縮される可能性がある。 ✅ 申請には多くの書類が必要で、適正な納税・社会保険加入が必須。 ✅ 不許可を防ぐためには、慎重な準備が重要であり、専門家のサポートを受けるのが望ましい。
永住許可の取得を目指す方は、事前にしっかりと準備をし、スムーズな申請を心掛けましょう!
東京都世田谷区で行政書士事務所です。消防計画、建設業許可、在留許可、相続、防火管理などでお悩みの方はお気軽にご相談ください。