
はじめに
近年、日本のオフィスビルやホテルの清掃業務を行うビルクリーニング業界では慢性的な人手不足が続いており、外国人労働者の雇用が拡大しています。しかし、外国人を適法に雇用するためには、適切な在留資格の選定、法的手続きの遵守、適正な労働環境の整備が不可欠です。
本記事では、ビルクリーニング業の会社が外国人を雇用する際の在留資格の種類、手続きの流れ、雇用時の注意点について詳しく解説します。
1. ビルクリーニング業で雇用可能な外国人の在留資格
ビルクリーニング業で外国人を雇用するためには、適切な在留資格を取得する必要があります。代表的な在留資格は以下の通りです。
✅ 1-1. 特定技能1号(ビルクリーニング分野)
📌 概要
- 2019年に創設された特定技能制度により、ビルクリーニング業務での外国人雇用が可能になりました。
- 清掃業務全般(オフィスビル、商業施設、ホテルなど)に従事可能。
📌 主な要件
- 特定技能評価試験(ビルクリーニング分野)に合格
- 日本語能力試験(JLPT N4以上)またはJFT-Basicに合格
- 最大在留期間:5年間(更新可能・家族帯同不可)
📌 雇用主の義務
- 外国人労働者への生活支援(住居探し、行政手続きのサポートなど)
- 適切な労働環境の提供(法令遵守)
- ビルクリーニングに関する技能向上の機会の提供
✅ 1-2. 技能実習(ビルクリーニング職種)
📌 概要
- 技能実習制度を利用し、外国人技能実習生として清掃業務を学ばせることが可能。
- あくまで技能習得が目的であり、人手不足の解消を目的とした雇用ではない。
📌 主な要件
- 監理団体または企業単独型の受け入れスキームに基づく
- 技能実習計画の認定を受けること
- 原則3年間(最大5年間まで延長可能)
📌 注意点
- 転職は原則不可
- 技能実習終了後は原則として帰国する必要がある
✅ 1-3. 永住者・日本人の配偶者等・定住者
📌 概要
- これらの在留資格を持つ外国人は、就労制限がないため、ビルクリーニング業務に従事可能。
📌 対象者
- 永住者(日本に長期在住し、永住許可を取得した外国人)
- 日本人の配偶者等(日本人と結婚した外国人)
- 定住者(日系人など特定の身分を持つ外国人)
📌 メリット
- 雇用主側に手続きの負担が少ない
- 長期的な雇用が可能
✅ 1-4. 留学生のアルバイト(資格外活動許可)
📌 概要
- 留学生が資格外活動許可を取得している場合、週28時間以内のアルバイトとして雇用可能。
📌 主な要件
- 「資格外活動許可」を取得していること
- 学業を優先し、週28時間以内(長期休暇中は週40時間以内)
📌 注意点
- 週28時間を超える勤務は禁止
- 正社員としての雇用は不可
2. 外国人雇用のための手続き
✅ 2-1. 雇用契約の締結
📌 適正な雇用契約を締結し、労働条件を明確にすることが重要。
- 労働条件通知書を交付(賃金・労働時間・業務内容を明記)
- 最低賃金・労働基準法を遵守
✅ 2-2. 在留資格の確認
📌 在留カードを確認し、適切な在留資格を持っているかチェックする。
- 在留期限の確認
- 資格外活動許可の有無を確認
✅ 2-3. ハローワークへの届出
📌 外国人雇用時・退職時には、ハローワークへ「外国人雇用状況届出書」を提出。
- 雇用開始時・終了時に届出が必須
3. 外国人雇用の注意点
✅ 3-1. 違法就労の防止
📌 不法就労を防ぐため、在留資格を必ず確認。
- 無資格労働の禁止
- 在留期限切れを防ぐ管理体制の構築
✅ 3-2. 労働環境の適正化
📌 外国人労働者も日本の労働法が適用されるため、適切な待遇を提供する必要がある。
- 最低賃金の遵守
- 労働時間の適正管理
- 社会保険への加入
✅ 3-3. 文化・言語の違いへの配慮
📌 職場内でのスムーズなコミュニケーションを促進する工夫が必要。
- 多言語マニュアルの導入
- 研修・サポート体制の充実
4. まとめ
✅ ビルクリーニング業で外国人を雇用する際は、適切な在留資格の確認が必須
✅ 特定技能1号・技能実習・永住者・定住者など、適用可能な在留資格を理解する
✅ 雇用契約の締結、ハローワーク届出、労働基準法の遵守を徹底する
✅ 文化・言語の違いを考慮し、外国人スタッフが働きやすい環境を整える
外国人雇用のルールを理解し、適切な手続きを行いましょう!
東京都世田谷区で行政書士事務所です。消防計画、建設業許可、在留許可、相続、防火管理などでお悩みの方はお気軽にご相談ください。
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