特定活動46号の要件・活動範囲・就労可否・申請準備について徹底解説

はじめに

日本の在留資格制度には、多種多様な種類が存在します。その中でも、特定活動46号は、日本の大学や大学院を卒業した外国人が、日本で幅広い職種に就ける在留資格として注目されています。

本記事では、特定活動46号の要件、活動範囲、就労条件、申請準備のポイントなどを**法的根拠(条文)**とともに詳細に解説します。


1. 特定活動46号とは?(出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号)

特定活動46号は、日本の大学(学士)または大学院(修士・博士)を卒業した外国人が、一定の条件を満たせば、専門性に関わらず幅広い業務に従事できる在留資格です。短期大学は対象外です。

この在留資格は、従来の「技術・人文知識・国際業務」などの資格とは異なり、単純労働とされる業務にも従事できるという点が大きな特徴です。

📌 法的根拠(出入国管理及び難民認定法)

  • 出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号「法務大臣が告示で定める活動を行う者には、特定活動の在留資格を付与することができる。」
  • 特定活動告示第46号(平成2年法務省告示第131号)「日本の大学又は大学院を卒業した者で、一定の日本語能力を有し、日本の企業等において、広範な業務に従事する者。」

この規定に基づき、日本の大学・大学院卒業者が特定活動46号の適用を受けることができます。


2. 特定活動46号の要件(告示要件)

✅ 2-1. 学歴要件

📌 「日本の大学または大学院を卒業していること」

  • 対象者
    • 日本の4年制大学(学士号取得者)
    • 日本の大学院(修士号・博士号取得者)
  • 海外の大学卒業者は対象外

✅ 2-2. 日本語能力要件

📌 「一定の日本語能力を有すること」

  • 以下のいずれかを満たすこと:
    1. 日本語能力試験(JLPT)N1に合格していること
    2. 日本の大学・大学院において、日本語を主要言語として学習したこと
    3. BJTビジネス日本語能力テストで480点以上を取得していること

✅ 2-3. 仕事内容要件

📌 「雇用先での業務内容が、一般的な技能労働と管理業務を含むこと」

  • 事務・営業・販売・接客など、多様な業務に従事可能
  • 「技術・人文知識・国際業務」に適合しない職種でも従事可能(例:小売業の販売職、宿泊業のフロント業務など)
  • ただし、単純労働のみを行う業務は不可。従事する業務が、単純労働などの作業だけでなく、日本人と外国人客や他の外国人社員をつなぐ「翻訳・通訳」の要素がある業務や、日本語を使った双方向のコミュニケーションをする業務である必要があります。

✅ 2-4. 雇用契約要件

📌 「雇用先が適正であり、社会保険に加入していること」

  • 雇用契約が日本の労働法に基づいていること
  • 社会保険(健康保険・厚生年金)への加入が義務付けられている
  • 労働条件が適正であること(最低賃金を下回らないこと)

3. 活動範囲(従事できる業務)

✅ 3-1. 就労可能な職種

就労可能な職種

特定活動46号で就労可能な職種は、以下のような業種・職務に分類されます。

1. 事務職・オフィスワーク

  • 総務、人事、経理、営業アシスタント
  • 翻訳・通訳業務を含む業務

2. IT・エンジニア系

  • プログラマー、システムエンジニア
  • ITコンサルタント、データアナリスト

3. 接客・サービス業

  • 宿泊業(ホテルのフロント、カスタマーサービス)
  • 外食産業(レストランの接客スタッフ、ホールマネージャー)

4. 営業・マーケティング

  • 海外取引担当、インサイドセールス
  • 販促企画、SNSマーケティング、ECサイト運営

5. クリエイティブ分野

  • グラフィックデザイン、Webデザイン
  • 広告制作、動画編集、ライター業務

6. 教育・語学関連

  • 語学講師(英語・母国語指導)
  • 企業内研修の通訳・翻訳業務

7. 観光・旅行業

  • 旅行会社のカウンター業務、ツアーガイド
  • 訪日外国人向けの観光プランニング業務

「技術・人文知識・国際業務」では認められなかった接客業・販売業・観光業の業務も、この在留資格なら従事可能です。

✅ 3-2. 就労が制限される職種

📌 以下の職種には従事できない

  • 風俗営業(キャバクラ、ナイトクラブ、パチンコ店など)
  • 単純労働のみの職種(例:工場ライン作業員、清掃作業員)

4. 申請準備のポイント(必要書類)

✅ 4-1. 必要書類

📌 基本的な提出書類

  1. 在留資格変更許可申請書
  2. 雇用契約書(勤務内容・給与が明記されているもの)
  3. 会社の登記事項証明書
  4. 雇用理由書(採用理由や仕事内容を説明した書類)
  5. 日本語能力を証明する書類
    • 日本語能力試験(JLPT N1)の合格証書
    • 大学の卒業証明書(日本語を主要言語とする課程の証明)
  6. 会社の納税証明書
  7. 社会保険加入証明書

5. 申請の流れ(ステップバイステップ)

ステップ1. 雇用先の確保

  • 企業と雇用契約を締結
  • 職務内容が特定活動46号の範囲内であることを確認

ステップ2. 書類準備

  • 企業・申請者が必要書類を準備
  • 「雇用理由書」を適切に作成(業務内容を詳細に記載)

ステップ3. 入国管理局へ申請

  • 地方出入国在留管理局で申請
  • 審査期間:約1〜3ヶ月

ステップ4. 在留資格の取得

  • 許可されると「特定活動46号」の在留資格が付与
  • 在留期間は最長5年(1年・3年・5年で更新可能)

ステップ5. 転職には在留資格の変更が必要


6. まとめ

特定活動46号は、日本の大学・大学院卒業者が幅広い職種に就ける特別な在留資格!
「技術・人文知識・国際業務」では認められない業種にも就労可能!
日本語能力要件(JLPT N1など)が必須!
単純労働のみの職種には従事できないため注意!
適切な雇用契約と書類準備が重要!

「特定活動46号」を活用すれば、日本での就職の幅が広がります!
申請を検討されている方は、当事務所にご相談ください!