はじめに

建設業許可(知事許可)を取得するためには、建設業法に基づく一定の要件をクリアする必要があります。ですが、実際には「申請したが不許可になった」というケースも少なくありません。この記事では、知事許可において不許可となる主な理由や、実務上の注意点・改善策を、実際の行政手続きに精通した行政書士の視点から詳しく解説します。


1. 建設業許可(知事許可)とは?

建設業許可は、一定規模以上の建設工事を請け負う際に必要な公的許認可です。 都道府県単位で完結する事業者は「知事許可」が必要です。

許可の種類には「一般建設業許可」と「特定建設業許可」があり、通常は「一般建設業許可」での申請が多くなります。


2. 不許可の主な原因と対策

① 経営業務管理責任者(経管)の要件を満たさない

不許可理由解説
経営経験年数が不足同種業種で5年以上の役員経験が必要だが、個人事業経験との整合が取れないケースあり
他社と兼任している他法人の代表取締役等と兼任している場合、専任性が疑われる

対策:退任登記・補佐役の変更、経営経験を証明する資料(確定申告書・契約書等)を精査・整備

② 専任技術者の要件を満たしていない

不許可理由解説
実務経験の証明が不十分専門工事に10年以上従事した証明ができない(工事台帳・注文書等が不足)
該当資格が不一致申請業種に対応する国家資格を所持していない

対策:実務経験証明書の整備、資格の適合確認(国交省ガイドライン参照)

③ 財産的基礎(資金要件)を満たしていない

不許可理由解説
自己資本・預金残高不足500万円の証明ができない(直近決算の純資産や預金残高が不足)
借入金で補填したが証明不可借入先・返済条件が不明確で信頼性に欠ける

対策:融資契約書の添付、親族からの贈与・資金移動証明を明記

④ 欠格要件に該当している

不許可理由解説
過去に許可取消処分を受けた処分から5年以内は申請できない
暴力団との関係が疑われる実質経営者が反社会的勢力との関係を有していた
破産・成年被後見等の履歴登記簿・裁判所記録等で確認される

**対策:**履歴確認を事前に実施し、必要に応じて復権証明や取締役変更を行う

⑤ 書類の不備・虚偽記載

不許可理由解説
書類の添付漏れ・記載ミス特に経管・技術者の資料に不備が多い
故意の虚偽記載事実と異なる経歴・工事内容等を申告した場合は重度の違反扱い

**対策:**チェックリストで徹底確認、第三者(行政書士)による点検


3. 不許可となった場合の対応策

(1)不許可通知の確認

  • 不許可理由は文書で通知される(都道府県によっては口頭説明あり)
  • 不許可の理由が明確でない場合は、役所に「理由書」の開示請求が可能

(2)再申請に向けた準備

  • 経管・技術者・資金要件のうち、不足部分を補う
  • 必要に応じて人員構成・出資体制の見直し
  • 再申請の際は、前回の不備をカバーする書類と説明文書が有効

(3)行政書士への依頼

  • 許可申請のプロによる確認と書類整理により、再申請の成功率が大幅に上がる
  • 実務に通じた行政書士なら、都道府県ごとのローカルルールにも対応可能

4. よくある誤解

誤解正しい理解
自分で申請すれば費用が浮く不備があれば却下され、結果的に時間と費用がかかることも多い
資本金が100万円あればOK許可の資金要件は資本金ではなく「自己資本額または預金残高」で判断される
経管・技術者は親族でもOK血縁関係は不問だが、必要な実務経験や勤務実態がないと不許可

5. まとめ

建設業許可(知事許可)の申請は、一見すると書類中心の手続きに見えますが、実際は「人的要件(経管・技術者)」「資金要件」「法的適格性(欠格)」という総合的な審査が行われます。

不許可を避けるためには、事前準備・要件確認・証明資料の整備が何より重要です。万が一不許可となってしまっても、原因を明確にし、適切に対応すれば再申請での許可取得も十分可能です。

初めての申請や過去に不許可となった経験がある場合は、建設業許可に精通した行政書士に相談することで、大きな失敗を回避できます。

信頼される建設業者として第一歩を踏み出すために、許可取得の準備は慎重に行いましょう!