
はじめに
外国人が日本に長期間滞在し、日本国籍を取得するためには、**「帰化申請」**を行う必要があります。帰化申請は、単なる在留資格の変更ではなく、日本の法律に基づく国籍の取得手続きであるため、厳格な審査が行われます。
本記事では、帰化の要件、手続きの流れ、必要書類、審査のポイント、事前準備すべき事項について詳しく解説します。
1. 帰化とは?
帰化とは、外国籍の人が日本国籍を取得し、日本人となるための法的手続きです。
帰化が認められると、日本の戸籍に登録され、在留資格は不要になります。しかし、申請には一定の要件を満たす必要があり、個別の事情によっては許可されない場合もあります。
2. 帰化申請の要件
日本国籍を取得するためには、国籍法第5条に基づく以下の条件を満たす必要があります。
✅ 1. 住所要件
申請者は、原則として引き続き5年以上、日本に居住していることが必要です。
- 在留資格「永住者」や「定住者」でなくても、5年以上の在留実績があれば申請可能。
- 留学・技能実習などの一時的な在留資格は、対象とならない場合が多い。
📌 特例: 日本人と結婚している場合は、3年以上の在留で帰化申請が可能(国籍法第7条)。
✅ 2. 能力要件
申請者は、年齢が20歳以上で、かつ本国の法律において成人の要件を満たしていることが必要です。
- 申請時に未成年(18歳未満)の場合、親の帰化申請に同行する形で申請が可能。
✅ 3. 品行要件
申請者の素行が善良であることが求められます。
- 過去の交通違反や犯罪歴、税金未納がある場合は不許可の可能性がある。
- 日常生活で社会的ルールを守り、日本の法律を遵守していることが求められる。
📌 注意点:
- 過去に犯罪歴がある場合は、内容によっては申請が厳しくなる。
- 交通違反が多い場合も、不許可になることがあるため、事前に違反歴を整理しておくこと。
✅ 4. 生計要件
申請者またはその家族(世帯単位)が、安定した生計を営めることが求められます。
- 安定した収入(給与・事業所得・年金など)があること。
- 生活保護を受けていないこと。
- 家族が経済的に支えている場合もOK(例:専業主婦が帰化申請する場合、配偶者の収入が十分であること)。
📌 ポイント:
- 会社員の場合:給与明細・源泉徴収票が重要。
- 自営業者の場合:確定申告書・決算書・納税証明書の提出が必要。
- 無職やアルバイトの場合:家族の経済状況を考慮されるが、収入が不安定な場合は不許可の可能性がある。
✅ 5. 国籍要件(重国籍の禁止)
帰化が許可された場合、日本国籍を取得すると同時に、元の国籍を放棄することが求められます(重国籍禁止の原則)。
📌 注意点:
- 国によっては国籍離脱の手続きが困難な場合がある(韓国・中国など)。
- 国籍離脱が困難な場合、日本政府は一定の猶予期間を設けることがある。
✅ 6. 日本語能力要件
帰化申請者は、日常会話程度の日本語能力が必要とされています。
- ひらがな・カタカナの読み書き、簡単な漢字が理解できるレベル。
- 口頭での質問に対応できること。
- 読み書きに不安がある場合、事前に学習を進めることを推奨。
📌 特に重視される場面
- 面談時に日本語で質問されるため、基礎的な会話力が求められる。
3. 帰化申請の流れ
- 事前相談(法務局)
- 必要書類の収集(戸籍謄本、住民票、納税証明書、収入証明書など)
- 書類作成・申請書提出(法務局)
- 面談・追加資料提出(申請後3〜6ヶ月)
- 審査・許可通知(審査期間:6ヶ月〜1年)
- 帰化許可→日本国籍取得(官報に掲載後、日本の戸籍作成)
📌 注意点:
- 申請から許可まで約1年かかるため、計画的に準備する。
- 面談では、申請者の生活状況や動機を詳しく聞かれるため、事前準備が重要。
4. まとめ
✅ 帰化申請には、日本での5年以上の居住、安定した収入、素行善良、日本語能力が必要。
✅ 申請には、多くの書類が必要で、収集・作成に時間がかかるため、計画的に準備すること。
✅ 審査には6ヶ月〜1年以上かかるため、法務局の相談を早めに受けることが推奨。
✅ 国籍離脱が必要な場合があるため、母国の法律も事前に確認しておくこと。
帰化申請は非常に手間のかかる手続きですが、専門家(行政書士)に依頼することでスムーズに進めることができます。確実に申請を成功させたい方は、在留資格や帰化申請の専門家に相談することをおすすめします!
東京都世田谷区で行政書士事務所です。消防計画、建設業許可、在留許可、相続、防火管理などでお悩みの方はお気軽にご相談ください。
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