
はじめに
日本で「日本人の配偶者等」または「永住者の配偶者等」の在留資格を持つ外国人が、婚姻関係が破綻した場合でも在留期間を更新できるのかは、多くの人が疑問に思う点です。
結論として、婚姻関係が法律上存続していても、事実上破綻している場合は、在留資格の更新が難しくなる可能性があります。
本記事では、婚姻の破綻状態が在留資格に与える影響、更新が可能なケース、更新が困難なケースについて詳しく解説します。
1. 在留資格の維持には「配偶者としての実態」が必要
「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」の在留資格を保持するためには、単に法律上の身分を持つだけでは不十分であり、「配偶者としての活動」を行っていることが求められます。
📌 「配偶者としての活動」とは?
- 夫婦が協力し、扶助し合いながら共同生活を営んでいること
- 同居し、互いに支え合う関係であること
- 婚姻関係が社会生活上の実態を持っていること
したがって、単に法律上の婚姻関係が続いているだけで、実態として夫婦関係が破綻している場合は、「配偶者としての活動」を行っていないと見なされ、在留資格の更新が認められない可能性が高くなります。
2. 婚姻関係が破綻している場合の在留資格更新の可否
✅ 在留資格の更新が困難なケース
以下のような場合、在留資格の更新は認められない可能性があります。
📌 更新が困難なケース
- 夫婦の一方または双方がすでに婚姻生活を完全に解消している
- 同居しておらず、互いに生活の扶助をしていない
- 婚姻関係の修復の可能性が全くない
このような場合、婚姻はもはや社会生活上の実質的基盤を失っており、配偶者の身分に基づく在留資格に該当しなくなるため、更新が認められない可能性が高いです。
⚠️ 重要なポイント
- 有責配偶者(不倫などにより婚姻破綻の責任を負う側)からの離婚請求の有無は、入管の判断に大きな影響を与えません。
- 法的に離婚していなくても、事実上の別居や婚姻生活の実態が失われていると判断されると、在留資格の更新は難しくなります。
✅ 在留資格の更新が可能なケース
一方で、以下のような場合は、在留資格の更新が認められる余地があります。
📌 更新が可能なケース
- 婚姻関係は破綻していないが、一時的に別居している(例:仕事の都合や家庭内の調整期間)
- 婚姻関係が完全には破綻しておらず、夫婦としての協力関係が維持されている
- 夫婦関係を修復し、継続する意思があると認められる
このような場合は、「配偶者としての活動」を完全に失ったとは言えず、在留資格の更新が認められる可能性があります。
📌 判断基準のポイント
- 夫婦が共同生活を営んでいる証拠(同居の有無、生活費の分担など)
- 夫婦関係の実態がどの程度維持されているか
- 社会的に夫婦としての生活が認められるか
3. まとめ
✅ 日本人の配偶者等や永住者の配偶者等の在留資格を持つ場合でも、婚姻関係が事実上破綻していると在留資格の更新は困難。
✅ 単に法律上の婚姻関係が続いているだけではなく、「配偶者としての活動」の実態が求められる。
✅ 夫婦関係が完全に破綻している場合、在留資格の更新は認められない可能性が高い。
✅ 別居中でも婚姻関係の継続意思があり、夫婦としての実態が部分的に残っている場合は、更新が認められる可能性がある。
✅ 在留資格の更新については、個別の事情による判断が大きいため、専門家(行政書士)に相談するのが望ましい。
在留資格の更新が心配な方は、専門家に相談し、適切な対応を取ることをおすすめします。
東京都世田谷区で行政書士事務所です。消防計画、建設業許可、在留許可、相続、防火管理などでお悩みの方はお気軽にご相談ください。
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