
はじめに
近年、日本の製造業では労働力不足を補うために外国人労働者の雇用が増加しています。しかし、入管法や労働法に基づく適正な雇用手続きを行わないと、企業側が法的リスクを負う可能性があります。
本記事では、製造業が外国人を雇用する際の注意点や必要な手続きについて詳しく解説します。
1. 製造業で雇用可能な外国人の在留資格とは?
製造業で外国人を雇用するには、適切な在留資格(ビザ)を持つ外国人であることが前提となります。製造業で雇用できる主な在留資格は以下の通りです。
✅ 1-1. 雇用可能な在留資格
在留資格 | 対象となる職種 | 主な要件 |
---|---|---|
特定技能(1号・2号) | 機械加工、金属プレス、溶接、塗装、鋳造、電子機器組立、食品製造など | 技能試験合格・日本語能力試験(N4以上)・監理団体不要(1号) |
技能実習 | 溶接、鋳造、鍛造、板金、機械検査、金属プレス加工、工場板金、塗装など | 技能実習計画の認定・監理団体の管理が必要 |
技術・人文知識・国際業務 | 生産管理、品質管理、設計・開発など | 大学卒業または専門学校卒業が必要・単純労働不可 |
永住者・定住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等 | すべての職種 | 就労制限なし |
⚠️ 注意点
- 「技能実習」や「特定技能(1号)」は、単純作業が認められるが、「技術・人文知識・国際業務」は単純労働不可
- 「特定技能(2号)」は永住に近い在留資格となり、転職や家族帯同も可能
2. 外国人を雇用する際の注意点
外国人を雇用する際には、日本人と異なる法律や規則が適用されるため、適切な管理が求められます。
✅ 2-1. 適正な在留資格の確認
雇用する外国人が適正な在留資格を持っているか必ず確認しましょう。
📌 確認方法
- 在留カードを確認(在留資格・在留期限・就労制限の有無)
- 入管オンラインシステムで在留資格の有効性をチェック
- 「資格外活動許可」の有無を確認
- 留学生や家族滞在ビザの者が働く場合、資格外活動許可が必要
- 雇用開始前に地方出入国在留管理局へ確認
✅ 2-2. 外国人雇用状況の届出
外国人を雇用した場合、または雇用を終了した場合は、「外国人雇用状況届出」をハローワークに提出する義務があります。(職業安定法第28条)
📌 届出義務
- 新規雇用時 → 雇用から10日以内に提出
- 雇用終了時 → 終了から10日以内に提出
🚨 届出を怠ると、事業主に罰則(30万円以下の罰金)が科される可能性があるので要注意。
✅ 2-3. 適切な労働条件の確保
外国人労働者も、日本人と同様に労働基準法や最低賃金法が適用されます。
📌 主な労働条件の注意点
- 最低賃金を下回る賃金を設定しない(地域ごとに異なる)
- 法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えた労働は割増賃金を支払う
- 技能実習生や特定技能外国人は労働契約書を母国語で提供
- 社会保険・雇用保険に適用されるか確認
🚨 違法な低賃金や長時間労働は、「外国人技能実習機構」や「労働基準監督署」から指導を受ける可能性あり。
✅ 2-4. 企業側の義務と責任
外国人を雇用する企業には、労働者の安全と適切な生活環境を確保する責任があります。
📌 企業が果たすべき義務
- 雇用契約書を外国人が理解できる言語で作成
- 労働環境の整備(安全衛生管理の徹底)
- 住居の手配(特定技能や技能実習生の場合、適切な住環境を確保)
- 日本語教育や生活サポートの提供(特に技能実習生)
- 不法就労防止(無資格就労は企業にも罰則が適用される)
3. 外国人を雇用するための必要手続き
外国人を雇用する際には、適切な手続きを行い、法令を遵守する必要があります。
✅ 3-1. 採用前の手続き
📌 事前確認
- 適切な在留資格を持っているか
- 在留カードの確認
- 資格外活動許可の有無
- 雇用条件を明確にする(契約書作成)
✅ 3-2. 採用後の手続き
📌 ハローワークへの「外国人雇用状況届出」
- 提出期限:雇用開始から10日以内
- 提出方法:オンラインまたはハローワーク窓口
📌 社会保険・税務手続き
- 社会保険・雇用保険の加入手続き
- 給与支払報告書の提出(市町村)
📌 特定技能・技能実習の場合
- 監理団体への報告義務
- 技能実習生の生活指導・相談対応
- 特定技能支援計画の実施
4. まとめ
✅ 製造業では「特定技能」「技能実習」「技術・人文知識・国際業務」などの在留資格を持つ外国人が雇用可能。
✅ 雇用時には「在留資格」「就労制限の有無」「在留期限」などを必ず確認する。
✅ 外国人雇用状況届出をハローワークに提出する義務がある(雇用開始・終了時)。
✅ 最低賃金・労働時間の遵守、労働契約の明確化が重要。
✅ 特定技能や技能実習の場合、適切な支援体制が求められる。
外国人労働者を適切に雇用し、企業の発展に活かすためには、法令を遵守し、適正な管理を行うことが重要です!
東京都世田谷区で行政書士事務所です。消防計画、建設業許可、在留許可、相続、防火管理などでお悩みの方はお気軽にご相談ください。
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