在留期間更新手続きの注意点

1. 在留期間更新とは

外国人が現在有している在留資格で日本に滞在し続けるには、在留期限が切れる前に必ず「在留期間更新許可(入管法第21条)」の手続きを行わなければならない

  • 在留資格には「永住者」を除いて在留期限が設けられている
  • 在留期限が過ぎてしまうと「不法残留」になり、退去強制のリスクあり
  • 申請すれば必ず更新が認められるわけではなく、資格外活動や犯罪歴などがある場合は不許可となる可能性もある

2. 法的根拠

なぜ在留期間更新が必要なのか?

根拠条文:入管法第21条

  • 第21条第1項:外国人が同一の活動を継続して行うために在留期間を延長したい場合、法務大臣に申請できる。
  • 第21条第3項:法務大臣は「在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるとき」に限り、更新を許可できる。

つまり、外国人に対する在留資格(活動許可)は期限付きで与えられており、継続して日本に滞在するには「適正な申請手続」が不可欠というわけです。

また、もし在留期限を超過してしまうと、不法残留として退去強制(強制送還)の対象となるリスクがあります。企業などで外国人を雇用している場合は、従業員の在留期限を把握し、更新漏れを防ぐ措置が重要です。

3. 在留期間と更新の注意点

3-1. 在留期間の一般的な長さ

  • 「1年」「3年」「5年」が主流だが、一部には「3か月」などの短期も存在
  • 「永住者」以外は在留期限が設定されるため、期限前に更新が必要

3-2. 申請する際の注意点

  • 申請可能時期:在留期限の3か月前から受付開始
  • 申請手数料:更新許可が下りた際に4,000円(収入印紙で納付)
  • 不許可となりうるケース
    • 資格外活動許可なしで認められた範囲外の就労をしていた
    • 犯罪による処罰やそれに準ずる状況がある
    • 虚偽申請や書類不備が著しい
  • 必要書類
    • 在留カード
    • パスポート
    • 申請書(出入国在留管理庁指定様式)
    • 活動内容を証明する書類(雇用契約書、在職証明書、会社案内等)
    • 変更がある場合は、新たな活動内容を示す資料

3-3. 活動内容の変更の有無 同じ企業に留まる場合と転職する場合

① 従前の活動内容に変更を伴わない更新

  • 例:「技術・人文知識・国際業務」で同じ企業・職務に引き続き従事
  • 単なる更新なので提出書類も比較的少なく手続きが容易

② 従前の活動内容に変更を伴う更新

  • 例:同じ在留資格で転職した場合(雇用企業・職務内容に変更あり)
  • 在留資格は同じでも新規で在留資格を取得するときと同様の書類が求められるケースが多い
  • 変更点がある場合は必ず事前に確認し、追加資料を早めに用意することが必要

4. 外国人を雇用する企業・外国人本人がとるべき措置

4-1. 企業・雇用主が取るべき措置

  1. 在留期限の管理
    • 外国人社員の在留カードをコピー保管し、期限をリスト化
    • 定期的に社内でチェックし、本人にも更新時期を通知
  2. 就労資格範囲の遵守
    • 採用時に、在留資格と実際の業務内容が合致しているかを確認
    • 資格外活動に該当しないか、異動や部署変更時にも注意
  3. 書類確認のサポート
    • 変更内容がある場合は、転職先・職務内容の証明書類を整備
    • 必要に応じて専門家(行政書士や弁護士)に早めに相談
  4. コンプライアンス体制の構築
    • 不法就労助長罪のリスクを避けるため、在留資格確認と適正な就労管理を徹底

4-2. 外国人ご本人が注意すべき点

  1. 期限前の早期申請
    • 遅くとも在留期限の2週間前、できれば1か月~3か月前には動き出す
  2. 活動実態に合致した申請
    • 転職・副業などで活動内容が変わる場合は、事前に在留資格変更や資格外活動許可の要否を確認
  3. 書類準備の正確性
    • 在職証明書や雇用契約書などの書類不備があると許可が下りにくくなるため注意

4-3. まとめ

在留期間更新の申請は、外国人が日本で安心して活動し続けるために極めて重要な手続きです。 入管法第21条の定める要件を満たしているかどうかはもちろん、資格外活動の有無や犯罪歴などが審査のカギを握ります。

  • 企業側は在留期限管理と就労資格範囲の遵守を徹底し、不備があれば速やかに対処する体制を整える
  • 本人側も「在留期限を守る」ことはもちろん、「活動実態と在留資格が合っているか」を常に確認

これらをしっかりと実行していけば、更新許可が下りる可能性も高まり、不法残留などのリスクを最小限に抑えられます。今後、外国人材の活用はさらに広がると考えられますので、企業と外国人の双方にとってメリットのある適切な在留管理を進めていきましょう。


【さいごに】

本記事では、在留期間更新許可の概要と具体的なポイントを解説しました。

  • 在留期間更新は「必ず許可が下りるものではない」
  • 不法残留を防ぐために「期限前に正しい手続きを行う」
  • 雇用主側は「在留期限の管理」と「資格範囲内の就労管理」が責務

今後も外国人の在留手続きや企業側の実務対応について、わかりやすく発信していきます。疑問点や相談事がありましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。日本での活動を円滑に継続するためにも、早め早めの対策と正確な申請を心がけてくださいね!