東京都で焚き火は?屋外の火災予防を詳しく解説

皆さんは、屋外で焚き火やバーベキューなどを楽しむ際、「火災予防上、どんなルールがあるのだろう?」と考えたことはありませんか。実は、屋外における火災予防については消防法によって細かく規定されており、必要に応じて“焚き火の禁止や制限”などの命令を出せる仕組みが整っています。さらに、東京都では**「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」(以下、環境確保条例)第百二十六条**において、屋外焼却(焚き火を含む)を原則禁止する旨が定められています。本記事では、消防法第三条を中心にした火災予防上の措置とあわせて、東京都内での焚き火規制についてご紹介します。


1.なぜ屋外の火災予防が重要なのか?

 屋外での焚き火やバーベキューは、適切な処置をしなければ火災の原因となるおそれがあります。特に、乾燥した季節や風の強い日は火の粉が飛び散り、周囲の草木や建物などに燃え移る可能性が高まります。また、不適切に放置された可燃物なども火災を拡大させる要因となるため、日ごろからの注意が欠かせません。

 こうした火災リスクに対処するため、消防法では屋外における火災予防上危険な行為や物件に対して、必要な措置をとるよう命令できる制度を設けています。そのうえで東京都内では、**環境確保条例(第百二十六条)**により屋外焼却自体を原則禁止する仕組みが加わり、さらに厳格な規制がなされています。


2.東京都内の焚き火禁止について

● 都民の健康と安全を確保する環境に関する条例 第百二十六条

 いわゆる「東京都火災予防条例」だけでなく、東京都内の焚き火や屋外での焼却行為を大きく規制しているのは、「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」(通称:環境確保条例)です。
 この条例の第百二十六条では、下記のように定められています(概要):

第百二十六条
何人も、廃棄物その他の物を屋外で焼却してはならない。
ただし、日常生活に伴うごく軽微な焼却行為であって知事が定めるものなど、一定の条件を満たす場合はこの限りでない。

 つまり、一般的には焚き火や野焼き、廃棄物処理のための焼却などが原則禁止となります。バーベキューやキャンプファイヤーも、状況によっては“屋外焼却”と見なされる場合があります。どうしても屋外で火を使用する必要がある場合は、事前に管轄の消防署や自治体へ相談し、条例やルールに抵触しないかを確認することが重要です。


 例外として認められる焼却行為は以下のものがあります。ただし、例外として認められる場合でも、周辺地域の生活環境に支障のないようできる限り配慮してください。

1.伝統的行事及び風俗慣習上の行事のための焼却行為
    お祭り、どんど焼き、お焚き上げ 等

2. 学校教育及び社会教育活動上必要な焼却行為
    キャンプファイヤー、焼き芋 等

3. 区長が特にやむを得ないと認める焼却行為
    災害時の応急対策のために行うもの
    農林漁業のためのやむを得ない焼却
    消火訓練・消防訓練のための焼却
    落ち葉等の一過性の軽微なたき火
    風呂・暖炉の加熱のための焼却等


3.焚き火の禁止・制限は誰が行うのか?(消防法の視点)

 環境確保条例によって東京都が焚き火を原則禁止している一方、消防法第三条でも屋外で火災を引き起こす危険性がある行為に対して、必要な措置命令を出すことができます。命令権者と受命者は以下の通りです。

● 命令権者

  1. 消防長(消防本部を置かない市町村では市町村長)
  2. 消防署長
  3. 消防吏員

 これらの者が、危険な行為や物件があると認めた場合に法的根拠をもって禁止・制限などの命令を発します。

● 命令を受ける者(受命者)

  1. 行為者
    • 実際に焚き火や火遊び、火器使用など火災の危険がある行為を行っている人。
  2. 物件の所有者・管理者・占有者で、正当に命令の内容を履行できる権原を有する人
    • 物件を適切に処分・管理できる権限がある者。

4.対象となる行為・物件

 消防法第三条では、屋外における**火災の予防上危険であると認める行為や、火災の予防上危険と認める物件を取り締まります。

  • 行為: 火遊び、喫煙、焚き火など、火を使用する設備・器具の使用
  • 物件: 火災の予防上危険な物件、または消防活動に支障をきたすおそれのある物件(可燃物の大量放置など)

 これらに該当すると判断された場合には、禁止・制限や撤去命令などがなされることがあります。


5.具体的な命令内容(消防法第三条)

消防法第三条第一項に基づき、命令権者が出せる命令には例えば次のようなものがあります。

  1. 火遊び、喫煙、焚き火等の禁止・停止・制限
  2. 火を使う場合の消火設備の設置
  3. 残り火や灰、火の粉の始末
  4. 危険物の除去・整理・破棄
  5. 放置・存置された燃焼のおそれがある物件の除去・処理
  6. 4.や5.以外の放置物件の整理・除去

6.命令対象者が不明な場合

 所有者不明などで命令相手が特定できない場合、命令権者は消防職員(消防本部を置かない市町村では消防団員)に指示して、危険物件の除去や処理を行うことができます。除去した物件は保管が義務付けられており、後日所有者が判明した場合に備える形となります。


7.消防団員には命令権限がない

 意外に思われるかもしれませんが、消防団員には「必要な措置を命じる権限」はありません。彼らは地域の防災活動を担う住民主体の組織であり、消火活動や応急対応は行いますが、法的な命令発出は消防長や消防署長、消防吏員といった常備消防側が行います。


8.命令に従わなかった場合の罰則

 火災予防のために出された命令に従わない場合、消防法第44条第一号によって、30万円以下の罰金または拘留に処される可能性があります。これは、火災の被害拡大を防ぐために欠かせない措置であることから、違反者に一定のペナルティを科すことで抑止力を高めているのです。


9.条例違反のリスクと適切な事前確認

 前述のとおり、環境確保条例 第百二十六条は、屋外での焼却行為を原則禁止しています。これは家庭や野外での「焚き火」も含まれるため、東京都内でバーベキューやキャンプファイヤーなどを行う際には、消防署や自治体のホームページなどで条例上の許可や例外規定をあらかじめ確認する必要があります。条件を満たさないまま焚き火等を行うと、条例違反として指導や罰則を受ける可能性もあります。


10.まとめ:安全かつ法律を守って屋外活動を楽しもう

  1. 消防法による火災予防の措置命令
    • 火災リスクのある行為や物件について、消防長や消防署長、消防吏員が禁止・制限・除去などを命令できる。
  2. 東京都内では環境確保条例第百二十六条により屋外焼却(焚き火を含む)が原則禁止
    • バーベキューやキャンプファイヤーなどを行う場合でも、条例やルールを守らなければ処分対象となる場合がある。
  3. 命令不履行の罰則
    • 消防法における命令違反:30万円以下の罰金または拘留(消防法第44条第一号)。
  4. 消防団員は命令を出せない
    • 消防法上の命令権者は常備消防側のみ。

 これらの規則は決して「屋外で火を使った楽しみを奪う」ためのものではなく、私たちの生命と財産を火災から守るために設けられています。特に東京都内では条例による規制が厳しく、「ちょっとした焚き火なら大丈夫だろう」と考えるのは大変危険です。

 もし屋外での火を使用したレジャーを計画する際は、必ず事前に自治体や消防署に相談・確認し、許可やルールをしっかり守りましょう。消火器やバケツなど万全の準備を整え、燃え残りや灰の後処理を徹底するのはもちろんのこと、風向きや周囲の状況に十分な注意を払い、安全に配慮した行動を心がけてください。私たち一人ひとりがルールを守ることで、火災の発生を未然に防ぎ、安心して屋外活動を楽しむことができます。

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