
【はじめに】
日本に在留する外国人の方にとって、引っ越しによる住所変更手続きは欠かせない大切なステップです。とりわけ、在留カードの発給を受けている場合には、引っ越しによる住居地の変更があったときに適切な手続きを行わないと、在留期間の更新許可や在留資格変更許可などで不利益を被る可能性があります。
本記事では、在留カードの基本情報と記載事項、住所変更の具体的な手続き、そして提出を怠った場合のリスクについて詳しく解説します。最後には、行政書士萩本昌史事務所が提供するサポートについても触れていますので、ぜひ参考にしてみてください。
1.引っ越しで住所が変わった場合の手続き:14日以内に届出が必要
1-1.市区町村に対する手続きの義務
在留カードを持っている外国人が、新たに住居地を定めた場合や引っ越しにより居住地を変更した場合には、14日以内にお住いの市区町村に届け出をする必要があります(入管法に基づく定め)。この届け出を怠ると、後で在留資格の更新や変更などの申請を行う際に「正しい手続きを行っていない」という理由で許可が下りないリスクがあり、大きな不利益を被る恐れがあります。
1-2.手続きを行わない場合のリスク
- 在留期間更新許可の審査に影響: 住居地変更の届出をしていないと、「適切な在留管理に協力していない」と判断される場合があります。
- 在留資格変更許可の難航: 別の在留資格へ移行したい時に、書類審査で問題視される可能性があります。
- 不法滞在と見なされる恐れ(極端なケース): 長期間届出を怠った結果、在留実態が把握できないとみなされるリスクも完全に否定はできません。
このように、住居地の変更は「些細なこと」では決してなく、本人の在留を左右するほど重要な手続きなのです。
2.在留カードの記載事項とは?
2-1.在留カードに記載される内容
在留カードには、以下のような情報が記載されています。
- 氏名・生年月日・性別・国籍(または地域)
- 住居地
- 在留資格・在留期間・満了日
- 許可の種類・許可年月日
- 在留カード番号・交付年月日・有効期間満了日
- 就労制限の有無
- 資格外活動許可の有無
- 写真
- 長官の職名・官印
- 在留資格変更許可申請または在留期間更新許可申請があった旨
- 資格外活動許可の概要
この中で、(2)住居地 は市区町村に届け出る必要がある項目に該当し、引っ越しをするとカードに記載された情報が実態と合わなくなるため、速やかに更新のための手続きを取る必要があります。
2-2.その他の変更があった場合
住居地以外にも、氏名や国籍・地域、生年月日、性別などの変更があった場合は、地方出入国在留管理局に届け出る必要があります。また、転職や起業などで所属機関が変わった場合、あるいは日本人や永住者と結婚・離婚した場合なども、入管法に基づく別の届出が求められるケースがありますので、注意が必要です。
3.どこに届出をすればいいの?
3-1.最寄りの地方出入国在留管理局に届け出が必要なケース
- 氏名・国籍/地域・生年月日・性別 など、いわゆる身分事項に変更が生じた場合
- 所属機関(学校・会社など)が変わった場合
- 配偶者と離婚したり、亡くなったりして配偶者ビザの前提が変わる場合
こうしたケースでは、市区町村ではなく、地方出入国在留管理局に対して届け出を行わなければならない点に注意が必要です。
3-2.お住いの市区町村に届け出が必要なケース
- 居住地を新たに定めた場合
- 引っ越しにより居住地(住所)が変わった場合
このうち、本記事で焦点を当てているのは「引っ越し」のケースで、住居地の変更手続きを行う必要があります。
(1) 異なる市区町村への引っ越し
- 旧住所地の市区町村への転出手続き
- 14日以内に「転出届」と在留カードを提出し、転出手続きを行う。
- 新住所地の市区町村への転入手続き
- 上記と同様、14日以内に「転入届」と在留カードを新しい市区町村に提出する。
(2) 同一市区町村内の引っ越し
- 転居届 を14日以内に提出し、在留カードを提示する。
4.届出を出さないと在留に重大な影響が及ぶ可能性
「住居地の変更ぐらい、大したことではない」と思って放置していると、後々大きな問題となるかもしれません。具体的には、在留期間の更新許可申請や在留資格変更許可申請の際に、書類審査で「住居地の届け出をしていない」という事実が判明し、許可が出ない可能性が高まります。
4-1.不利益の具体例
- 在留延長が認められず、帰国を余儀なくされる
- 在留資格の変更申請が却下され、希望する活動ができなくなる
- 最悪の場合、オーバーステイや不法滞在とみなされるリスクが上昇
こうしたリスクを避けるためにも、必ず14日以内に住所変更の手続きを行いましょう。
5.在留カード変更手続きの流れとポイント
- 引っ越しが決まったらすぐ準備
- 引っ越しの日程が固まったら、余裕をもって役所の開庁日や開庁時間を確認し、書類を整える。
- 旧住所地での手続き(転出届)
- 引っ越す前に、在留カードを持参して旧住所地の市区町村役場へ。
- 転出届を提出し、在留カードに必要事項を記載してもらう。
- 新住所地での手続き(転入届)
- 引っ越し後14日以内に、新住所地の市区町村役場へ。
- 転入届の提出と、在留カードの提示を行う。
- 転居の場合(同一市区町村内の引っ越し)
- 転居届を14日以内に提出し、在留カードを提示するだけ。
このように、基本的には日本人の住民票手続きと似ていますが、「在留カード」を必ず持っていく点と、外国人特有の在留資格管理との関連性を考慮する点が大きな違いです。万が一、手続きを忘れたり遅れたりすると、在留に支障をきたす恐れがあるので注意が必要です。
6.まとめ:14日以内の手続きが最重要!
6-1.引っ越しをしたら、必ず市区町村役場へ
- 住居地の変更手続き: 14日以内に行う
- 在留カードの提示: 必須
6-2.手続きを怠るリスク
- 在留期間更新や在留資格変更が不許可になる
- 在留実態が不透明と見なされる可能性がある
「単なる住所変更だから…」と軽視せず、重要な在留管理の一環として必ず届出を行ってください。これにより、安心して日本での生活や仕事を続けることができ、在留延長や資格変更の際にもスムーズに手続きが進められます。
7.具体的な相談は専門家へ:行政書士萩本昌史事務所
もしも「もう引っ越してから14日が過ぎてしまった…」「在留カード以外の手続きとの関係がわからない」といったお悩みがあれば、行政書士萩本昌史事務所にお問い合わせください。当事務所では、在留資格や各種届出に関する豊富な実務経験をもとに、個々の状況に合わせたアドバイスを行っています。
- 在留資格の相談: ビザの更新や変更に関する手続き
- 書類作成サポート: 必要書類の作成、役所への提出方法のレクチャー
- 入管法全般に関する業務: トラブルシューティングや裁判所手続き以外の法的サポート
ホームページ: 行政書士萩本昌史事務所の公式サイトより詳細情報をチェックできますので、ぜひご覧ください。
最後に
在留カードを持つ外国人の方にとって、引っ越し後の14日以内の住所変更手続きは、今後の在留資格維持・変更を円滑に行うための極めて重要な作業です。手続きを怠ると、予想外のトラブルに巻き込まれてしまうことも珍しくありません。自分自身の滞在を守り、安心して日本での生活を続けるためにも、必ず市区町村で必要な届出を行いましょう。
もし手続きについて不明な点や不安がある場合には、行政書士などの専門家に相談することで、スムーズかつ正確に手続きを進められます。大切な在留を守るため、しっかりと対策をとっていきましょう。
具体的な事案のご相談については、ご遠慮なく当事務所にお問い合わせください。
東京都世田谷区で行政書士事務所です。消防計画、建設業許可、在留許可、相続、防火管理などでお悩みの方はお気軽にご相談ください。
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