【完全解説】在留資格「技能」とは?|制度の基本から申請のポイント【Q&A付き】

今回は、外国人の在留資格のうち「技能」について、入管法に基づいた制度の概要から、実際の審査の注意点、さらに現場で多い質問Q&Aまで、徹底的に解説します。

この記事を読めば、「技能」ビザの理解が格段に深まり、申請の精度もアップするはずです。


1. 「技能」とはどのような在留資格か?

「技能」は、出入国管理及び難民認定法の別表第一に規定された就労系の在留資格で、法的には次のように定義されています:

「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う、産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動」

つまり、日本企業等との契約のもとで、高度な技能を持つ外国人が特殊な分野で働くことを目的とした在留資格です。


2. 「技能」の対象業務とは?〜「特殊性」と「熟練性」が鍵〜

「技能」に該当するには、以下2つの要件を満たす必要があります。

(1)産業上の特殊な分野に属する業務であること

入管実務では、以下の3つに分類されます:

① 外国に特有な産業分野

例:中華料理、タイ料理、インドカレーなど

② 外国の方が技能レベルが高い産業

例:宝石・貴金属・毛皮の加工(第4号)、家具製作(第5号)

③ 日本国内で技能者が少ない分野

例:航空機操縦士(第7号)、スポーツ指導者(第6号)

(2)熟練した技能を要すること

単に「料理ができる」「加工技術がある」だけではダメです。
長年の実務経験を通じて体得された高度な技能が求められます。


3. 出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令に定める「9つの活動類型

「技能」の対象業務は、基準省令により以下の9類型に分類されています:

類型内容代表例
第1号調理・食品製造中華料理、インド料理
第2号建築大工特殊構造の伝統的木造建築
第3号石材加工・加工技術者仏像・石塔などの加工
第4号宝石・毛皮加工海外のジュエリー技術者
第5号家具製作手工芸家具の職人
第6号スポーツ指導プロスポーツのコーチ等
第7号航空機操縦パイロット(250時間以上)
第8号動物調教馬術・競技用動物の調教師
第9号ソムリエワイン・酒類の専門知識を持つサービス提供者

4. 審査の実務ポイント(特に調理師分野)

「技能」で最も申請件数が多いのは、「飲食店で働く外国人料理人(特にアジア系料理)」です。
ここでは、調理師を例に実務的なチェックポイントを解説します。

✅ 必須条件①:10年以上の実務経験

技能は「熟練した技能」が必要なため、実務経験が原則10年以上求められます。

  • 証明書類の例:
    • 在職証明書(期間・業務内容明記)
    • 職業資格証明書(調理師免許など)
    • 給与明細・社会保険支払記録
    • 店舗の営業許可証、契約書

※タイ人調理師については日タイ経済連携協定(EPA)により一部緩和あり。

✅ 必須条件②:店舗の実在性と営業実態

  • 店舗の登記・契約書・営業許可証
  • 店舗の内外観写真
  • 水道・電気の使用量(営業の実態確認)
  • Googleマップ・SNS情報との整合性も見られる

✅ 必須条件③:料理内容の適正性

  • 「外国に特有な料理」であること
  • 居酒屋メニューばかりでは✕
  • メニューに中華・インド・ネパール料理が主であることが必要

✅ 必須条件④:業務内容・体制の妥当性

  • 小規模店舗に対して調理人が過剰でないか
  • 調理師が給仕等を兼務していないか(実態が不明瞭になる)

✅ 必須条件⑤:報酬が日本人と同等以上

  • 最低賃金を下回っていないか
  • 週労働時間との整合性
  • 雇用契約書の提示

5. 【実務で多い質問】在留資格「技能」Q&A

ここからは、実務でよくいただく質問をQ&A形式でご紹介します。


Q1. 調理師学校を卒業したばかりの外国人でも、「技能」ビザは取れますか?

A. 取れません。
技能ビザには「熟練した技能」が必要であり、原則10年以上の実務経験が必要です。
学校卒業後すぐでは、経験が不足しており不許可になります。


Q2. 実務経験が6年しかありませんが、在職証明に「高度な技能」と書けば許可されますか?

A. 書き方だけでは許可されません。
たとえ「熟練している」と記載されていても、経験年数の実体が重要です。
経験が10年未満であれば、EPAなどの特例がない限り許可される可能性は極めて低いです。


Q3. 飲食店の料理がインド料理ではあるが、メニューに和食も載せています。問題になりますか?

A. 問題になる可能性があります。
技能ビザは「外国に特有な料理」を提供することが前提です。
和食や日本の居酒屋メニューがメインであると、外国料理専門の調理師としての活動とは認められず、不許可になることもあります。


Q4. 申請者が2年前に飲食業を一時離れていた期間があります。10年の経験と認められますか?

A. 条件付きで認められます。
中断期間が短く、通算して10年以上の実務経験が証明できれば問題ありません
ただし、在職証明書に「継続勤務」のような記載があると誤解を招く可能性があるので、中断の理由と再就業の経緯を説明する書類を添付することが望ましいです。


Q5. 報酬が月18万円ですが、ビザ申請は通りますか?

A. 地域や職種にもよりますが、慎重な検討が必要です。
報酬水準が日本人と同等以上である必要があり、地域の最低賃金や生活水準に照らして不十分と判断されれば不許可の可能性があります
また、住居手当や交通費が含まれているかも確認されます。


6. まとめ|「技能」ビザは”経験”と”実態”が鍵

在留資格「技能」は、表面的な肩書きや業務内容ではなく、本質的に熟練技能があるかどうかが審査されます。

特に「調理師」分野では申請数が多く、入管も慎重な審査を行います。
以下の点をしっかり押さえた申請書類の準備が重要です。

✅ 10年以上の明確な実務経験
✅ 店舗の実在・営業実態の明示
✅ 提供される料理内容の明確化
✅ 労働環境・報酬水準の妥当性


今後の更新予定

  • 「技能」ビザでの更新・転職の注意点
  • 飲食店側(受入機関)に求められる義務とは?
  • 不許可事例と改善策まとめ

この記事が、申請実務や顧客対応にお役立ていただければ幸いです。
ご質問や記事化してほしいトピックがありましたら、お気軽にコメントまたはお問い合わせください。


※この記事は最新の入管実務に基づいて執筆しておりますが、法令・運用は予告なく変更される場合があります。最新情報については出入国在留管理庁の公式情報をご確認ください。