配偶者・子が家族滞在から永住申請する際の「収入要件」解説と証明書類まとめ

はじめに

「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で日本に在留している外国人が、配偶者や子(=家族滞在)を帯同しているケースは多くあります。長期間日本で安定的に生活している場合、「永住者」への変更を目指すご家族も増えています。

この記事では、家族滞在の在留資格にある配偶者・子供が「永住者」への変更申請をする際に必要な収入証明のポイントと、書類収集にかかる期間、配偶者の収入を含めるべきかどうかについて、行政書士の視点から詳しく解説します。


基本の考え方:「主たる生計維持者」の収入で審査される

永住許可の審査では、申請者個人の収入ではなく、「世帯全体の経済状況」、特に家族の中で主に家計を支えている者(生計維持者)の収入を中心に審査されます。

例えば:

  • 夫が「技術・人文知識・国際業務」で在留し、妻と子が「家族滞在」の場合 → 永住申請時は、夫の収入・納税状況・勤務実績が主たる審査対象となります。

🔶 収入要件の水準:どれくらい必要?

法務省の明確な基準はありませんが、実務上、次のような年収目安が審査基準とされています:

扶養人数必要とされる年収目安
単身約300万円以上
配偶者+子1人約400万円以上
配偶者+子2人約450万円〜500万円程度

✅ 家族構成が多いほど、生活を安定して支えられるだけの収入が求められます。


🔸 収入証明に必要な書類(家族滞在→永住の場合)

【主たる生計維持者(例:夫)の書類】

  1. 源泉徴収票(直近2〜3年分)
  2. 住民税の課税・納税証明書(市区町村役所)
  3. 在職証明書(勤務先発行)
  4. 給与明細(3ヶ月分程度)※補足資料として
  5. 雇用契約書の写し(勤務条件が明確であれば望ましい)

【その他の収入がある場合(例:妻がパートなど)】

  • 妻の収入証明書も提出可能ですが、あくまで補強資料扱い。
  • 妻が主たる生計維持者でない限り、「夫の収入」で審査されるのが原則です。

🔸 書類収集にかかる期間の目安

書類名取得先所要期間の目安
源泉徴収票勤務先通常は年末に交付(再発行1週間程度)
課税・納税証明書住民票のある市区町村役所即日交付が一般的(マイナカード利用可)
在職証明書勤務先数日〜1週間
年金加入記録年金事務所・オンライン数日〜10日程度

🔍 できるだけ永住申請の1ヶ月前にはすべて揃えるのが理想です。


🔹 よくある質問(FAQ)

Q1. 妻に収入があっても提出する必要はある?

主たる生計維持者が夫であれば、必須ではありません。 ただし、

  • 世帯全体の経済力を示す意味では提出した方がプラス評価となる可能性があります。
  • 妻が扶養を外れてフルタイムで就労している場合などは、積極的に提出を推奨します。

Q2. 子どもが未成年でも個別に永住申請が必要?

→ はい。子ども1人ずつに対して永住申請書を提出する必要があります。 ただし、主たる収入を示すのは父または母です。


✅ まとめ

ポイント内容
誰の収入を基準にする?主に「技人国」在留の父(生計維持者)の収入
妻の収入任意提出、補強資料として有効
子の永住申請1人ずつ必要。父の収入で審査される
収入証明書類源泉徴収票、納税証明、在職証明など複数必須

📌 行政書士からのワンポイント

  • 配偶者・子どもの永住申請は「同時申請」が推奨されます。
  • 書類に不備があると全員の審査が遅れるため、世帯全体の資料整備がカギとなります。
  • 家計負担の大きさや教育費なども勘案されるため、申請前の収支見直しや計画づくりも重要です。

当事務所では、世帯単位での永住申請をトータルでサポートしております。お気軽にご相談ください。