日本に在留する外国人にとって、在留期間は滞在を継続できるかどうかを左右する重要な要素です。一般的に、就労や留学などの在留資格を持つ外国人には一定の在留期間が与えられ、期間満了までに次の行動を決める必要があります。
もし在留資格をそのまま維持し、引き続き日本で同じ活動を行うのであれば、在留期間更新許可申請を行うことになります。本記事では、在留期間更新許可制度の概要や注意点、事例などをわかりやすく解説します。


1. 在留期間更新許可制度の意義

1-1. 在留資格を変えずに滞在を延長できる仕組み

入管法(出入国管理及び難民認定法)第21条第1項では、「本邦に在留する外国人は、現に有する在留資格の変更を伴わず、在留期間のみを更新できる」と定められています。たとえば、就労ビザで働いている方が、同じ就労ビザのまま継続して日本で働き続けたい場合は、この制度を利用します。

  • 在留資格のままで活動を継続
  • 在留資格の種類は変えず、期間のみ延長する

なお、資格外活動許可(アルバイトなど)を受けている留学生や就労ビザの方は、同時に資格外活動許可も更新しなければなりません。これを怠ると、更新後の期間にアルバイトを続けると「資格外活動違反」になってしまうので注意が必要です。

1-2. 「永住者」や「高度専門職2号」は別枠

  • 永住者への変更は、在留期間更新ではなく永住許可申請(法第22条)を行う必要があります。
  • 高度専門職2号への移行を希望する場合も、一般の在留期間更新とは扱いが異なるため、ここでは取り扱わない内容となります。

2. 在留期間更新許可の要件

2-1. 相当の理由があるときに限り許可

入管法第21条第2項・第3項によれば、在留期間の更新を希望する外国人が申請した場合、法務大臣(実際には出入国在留管理庁)が「適当と認めるに足りる相当の理由がある」と判断したときに限って許可されます。
つまり、下記のような条件を満たせば原則更新が認められますが、要件を満たさないと不許可になるリスクもあるため、書類準備や活動内容の明確化が重要です。

  1. 法令やガイドラインに適合した活動であること
  2. 在留資格に定められた範囲で実際に活動しており、適切に在留していること
  3. 素行や違反歴などに問題がなく、滞在継続が社会的にも相当と認められること

2-2. 特定活動・定住者等への原則

  • 在留資格「特定活動」や「定住者」で在留している外国人は、それぞれ告示で定められた要件に該当し続ける必要があります。
  • 他の在留資格でも、「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」に定められた基準(上陸許可基準等)に適合することが基本の判断要素になります。

3. 在留期間更新許可処分の効力発生時期

在留期間更新が許可されると、新たに定められた在留期間が開始します。具体的に効力が発生するタイミングは以下のとおり(法第21条第4項、法第20条第4項・第5項を準用)。

  1. 中長期在留者に該当する場合
    • 在留カードが交付されたときに効力が生じる
  2. 中長期在留者以外で旅券を所持している場合
    • 旅券への「在留資格および新たな在留期間」の記載がなされたときに効力発生
  3. 旅券を所持していない場合
    • 在留資格証明書に新たな在留資格・期間が記載された時点、または既存の資格証明書に記載が追加された時点で効力が生じる

4. 特例期間(いわゆる“更新申請中”の在留)

在留期間の更新許可申請をしたものの、申請した時点の在留期間(ビザの期限)までに処分が下りないことがあります。その場合、法第21条第4項・法第20条第6項の準用によって、以下の特例期間が認められます。

  • 在留期間の満了後も、
    1. 許可・不許可の処分が下りる時 もしくは
    2. 従前の在留期限の日から2か月が経過する日
      どちらか早い方まで、引き続き同じ在留資格で在留が可能

※この特例は、在留期間が30日以下と決定されている人については適用されないので要注意。


5. 特定技能1号の在留期間更新の特例

在留資格「特定技能1号」で働いている方については、通算5年が上限と定められています(入管法施行規則第21条の2)。「特定技能1号」で日本に滞在した期間が合計5年に達している場合、原則として在留期間の更新許可は認められません。
これはあくまで「特定技能1号」の枠内での通算であり、特定産業分野が変わっても合算される点に注意が必要です。


6. 具体的な事例と注意点

6-1. 留学生の就職(在留資格「留学」を継続)

すでに日本の大学や専門学校を卒業し、就職活動を続けたいがあと少し時間がほしいという場合、在留期間更新を行うか、特定活動(就職活動)への変更を検討するかなど、状況によって異なる判断が必要になります。また、資格外活動(アルバイト)の更新も忘れずに申請しましょう。

6-2. 就労ビザの期限間近

就労ビザ(技術・人文知識・国際業務など)で働いている方が引き続き同じ会社や業務で活動する場合も、在留期限が切れる前に更新手続きをする必要があります。
もし在留期限が切れてしまうと、不法滞在や資格外活動のリスクが生じるので、余裕をもって3か月前くらいから準備しておくと安全です。

6-3. “退職”後の在留資格

たとえば、就労ビザの方が会社を辞めた場合、同じ業務内容・同じ在留資格で別の会社に就職すれば在留資格の変更は必要ありません。ただし、所属機関の変更届出を怠ると在留資格取消制度の対象になる可能性があります。さらに、在留期間更新時には新たな雇用契約書などが必要です。


7. 実務上の流れ:在留期間更新許可申請

  1. 書類準備
    • 在留期間更新許可申請書(出入国在留管理庁指定様式)
    • 在職証明書、雇用契約書、学業成績証明書 など、在留資格の種類に応じた書類
    • パスポート、在留カード、写真など
  2. 申請方法
    • 本人、または代理人(行政書士など)を通じて管轄の出入国在留管理局へ提出
  3. 審査結果
    • 許可の場合、新たな在留期間が付与される(在留カード交付やパスポート記載など)
    • 不許可の場合は在留期限内に出国するか、別の手続きを検討

8. まとめ

在留期間がもうすぐ満了する外国人にとって、在留期間更新許可申請は日本での生活やキャリアを継続するための重要な手続きです。正しく申請し、要件を満たしていれば通常は更新が認められますが、書類不備や活動実態の不一致などがあると不許可になる可能性もあるため、以下のポイントを押さえておきましょう。

  1. 期限切れ前に余裕を持って申請(3か月前からの準備がベター)
  2. 資格外活動を含めて許可を受け直す必要性に注意(アルバイト継続など)
  3. 特定活動・定住者・特定技能1号などは、告示や特例ルールが適用される
  4. 処分が遅れる場合、特例期間により最長2か月間は同じ資格で在留を継続可
  5. 提出書類や活動内容が上陸許可基準ガイドラインに合致するかを確認

特に、特定技能1号で合計5年以上滞在している場合は、更新が認められない特例が設けられている点にも注意が必要です。
万一わからないことがあれば、出入国在留管理庁や**専門家(行政書士・弁護士)**に相談し、確実に手続きを進めることをおすすめします。


在留期間更新許可申請は、外国人の日本滞在を支える非常に大切な制度です。しっかりとルールを理解し、書類やスケジュールを整えたうえで申請することで、安心して日本での生活を続けられるようにしましょう。