技術・人文知識・国際業務(以下:技人国)」の在留資格で在留中の外国人が転職後、研修期間中に現場作業を経験することが可能か

✅ 1. 技人国の在留資格と「活動内容」の範囲

「技術・人文知識・国際業務」の在留資格は、以下の活動に限定されています:

専門的な知識を要する自然科学・人文科学の分野に属する業務、または外国の文化に基づく思考・感受性を必要とする業務

● 認められる業務例:

  • 技術開発、設計、システムエンジニア(技術)
  • 企業の経理・企画・貿易・人事(人文知識)
  • 語学指導・翻訳・通訳・外国人向け研修指導(国際業務)

✅ 2. 現場作業が「技人国」で原則認められない理由

● 法務省ガイドライン上の制限

「単純労働・肉体労働(例:建設現場、製造ライン作業、清掃等)は、技人国の活動には該当しない」と明示されています。

技人国は「ホワイトカラー職向け」の在留資格とされており、現場実務(特に単純労働)は原則不可です。


✅ 3. 例外的に「現場経験」が可能となるケースとは?

● 教育・訓練目的で限定的に現場を「見学」または「同行」する場合は認められることもあります。

ケース判断のポイント
技能実習生を指導する立場にある者が、研修の一環として現場を理解する必要がある指導教育業務の一部として位置づけられるか
1年間限定の教育担当職として雇用契約を結び、その中で現場経験を取り入れるあくまで研修業務の範囲内であることが明確である必要

📌 ポイントは「主たる活動が現場作業ではないこと」。現場作業が中心になると不許可の可能性が高くなります。


✅ 4. 実務で認められやすい構成例

  • 在留資格:技人国(教育・通訳・国際業務)
  • 職務内容:外国人従業員の教育・定着支援
  • 職務構成比率:
    • 教育・書類対応・通訳業務:80%
    • 技能理解のための現場同行・体験:20%未満
  • 研修期間内での短期的な現場参加(座学では理解できない工程の補足説明)

→ このように、「現場経験」が補助的・教育的な目的であることを職務内容書・雇用契約書で明記すれば、実務上容認されることがあります。


✅ 5. 在留資格更新・変更への影響

  • 更新・変更時には職務内容の整合性が厳しくチェックされる
  • 現場作業が多い場合、更新・変更が「不許可」となる可能性あり
  • 「特定技能1号」に切り替えを検討するほうが適合性が高いケースも

✅ まとめ

項目可否解説
技人国での現場作業❌ 原則不可単純労働に該当するため
技能実習指導の一環としての現場理解⚠ 限定的に可教育目的で補助的に経験する場合に限る
主たる業務が現場作業❌ 完全に不適合「特定技能1号」など別資格での対応が必要

✅ 行政書士からの実務アドバイス

  • 雇用契約書には「研修目的での短期現場同行」「教育支援業務の補助」として明記しましょう。
  • 就労資格証明書の取得も有効です(職務内容が在留資格に適合しているかを確認可能)。
  • 不安がある場合は、入管へ事前相談または専門家への確認を強く推奨します。

📌 現場経験を含む転職計画でも、在留資格との整合性をきちんと取れば、法的にクリアに進めることが可能です。計画段階でのご相談も随時承っております。