
特定技能(特に1号)で在留する外国人が、将来的に日本で永住権(永住者)を取得することは「可能」ですが、永住許可要件を満たすためには、段階的な“キャリアアップ”戦略が必要です。以下では、特定技能から永住に至るまでの道筋と、それぞれのステージで必要な要件・注意点を、在留資格に精通した行政書士の立場から詳しく解説します。
🔰 1. 特定技能とは何か(簡単におさらい)
区分 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
---|---|---|
就労内容 | 一定の専門性・技能が必要(現場労働可) | 熟練した技能(作業責任者レベル) |
対象分野 | 12分野(建設、介護、農業、外食、製造 等) | 現在は建設・造船・自動車整備等のみ |
在留期間 | 最長5年間(更新可能) | 制限なし(永住・家族帯同可) |
家族の帯同 | ❌ 不可 | ✅ 配偶者・子の帯同可(条件あり) |
永住申請 | ❌ 原則不可 | ✅ 永住要件を満たせば可能 |
🪜 2. 特定技能から永住に至るステップ(3つのルート)
✅ ルート1:特定技能1号 → 特定技能2号 → 永住
最も現実的なルート。建設・造船等の分野で特定技能2号へ移行後、永住要件を満たせば申請可能。
ステップ詳細:
- 特定技能1号で最長5年間在留
- 技能検定1級等を取得して特定技能2号へ移行(分野限定)
- 安定収入・在留期間10年などを満たして永住申請
メリット:
- 家族帯同可能
- 就労制限が緩和され、長期的に日本で生活可能
✅ ルート2:特定技能 → 技人国ビザ(高度人材) → 永住
学歴や実務経験を活かして、「技術・人文知識・国際業務」等の在留資格へ切り替えることで永住を目指す。
条件:
- 専門職(設計、施工管理、ITエンジニア等)に就く
- 学歴(短大・大学卒)や実務経験が要件に適合
- 日本語能力や職歴を積み上げ、最短で**5年(高度人材なら1〜3年)**で永住可能
例:
- 外食分野の特定技能者 → 店長補佐として勤務 → マネジメント職 → 技人国に変更 → 永住へ
✅ ルート3:結婚ビザ(日本人配偶者等)→ 永住
日本人または永住者と結婚し、「日本人の配偶者等」へ変更 → その後、永住申請が可能
要件:
- 婚姻の実態性(偽装結婚でないこと)
- 安定収入・住居の確保
📌 ただし、このルートは「キャリアアップ」とは少し方向性が異なるため、あくまで参考です。
📊 3. 永住権の主な要件(特定技能からの移行後)
要件 | 基準(一般) | 備考 |
---|---|---|
在留期間 | 通算10年以上(うち就労系資格で5年以上) | 技人国→2号→永住などで達成可 |
素行要件 | 納税・年金・保険の適正履行、交通違反が少ないこと | 軽微な違反も影響することがある |
経済的安定 | 年収300万円以上(扶養家族がいれば400万〜) | 雇用契約が継続していること |
日本語能力 | JLPT N2程度が望ましい(明文要件ではない) | 地域活動歴なども加点対象 |
永住申請時の在留資格 | 特定技能1号では不可。特定技能2号・技人国などへの変更後に申請可 |
🧩 4. よくある誤解と注意点
誤解 | 実際の運用 |
---|---|
特定技能1号でも永住できる? | ❌ できません。永住申請の要件を満たさない在留資格です |
技能実習→特定技能→永住の順が最短? | ❌ 技能実習期間は原則「就労年数」としてカウント不可 |
2号への移行は簡単? | ❌ 技能検定1級や実務経験、企業側の受入体制が必要でハードルは高いです |
永住後は無条件で就労自由? | ✅ 永住者は日本人と同様の就労自由・在留制限なしです |
✅ 5. 特定技能から永住を目指すキャリアアップ戦略(まとめ)
ステージ | ビザ | 主な行動 | 目標 |
---|---|---|---|
ステップ1 | 特定技能1号 | 日本語学習、技能評価試験、就労経験 | 信用実績の蓄積 |
ステップ2 | 特定技能2号 or 技人国 | 技能1級合格、役職昇進、契約継続 | 永住申請資格の獲得 |
ステップ3 | 永住者 | 安定生活、長期滞在の自由 | 家族帯同・転職・独立が可能に |
🔍 行政書士からのアドバイス
- 特定技能1号のままでは永住申請はできません。早期に「2号」や「技人国」への移行を視野に入れてキャリア設計を行うことが非常に重要です。
- 技能評価試験の対策、日本語力の向上、会社選び(在留資格に理解ある企業)なども大きなカギとなります。
- ご希望があれば、キャリア計画、在留資格変更、永住申請書類一式の作成支援も可能ですので、お気軽にご相談ください。
東京都世田谷区で行政書士事務所です。消防計画、建設業許可、在留許可、相続、防火管理などでお悩みの方はお気軽にご相談ください。
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